撃沈王の土産話   作:vs どんぐり

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正直、自分が何を書いたのか分かってません。
大和型戦艦撃破50%Speedrun(RTA)に挑戦していたせいかもしれません。


艦船ステータス

「ふむ……」

 

 大和はオフィスで考え込んだ後、Android版を終了して、今度はPC版でもう一度やってみた。

 まず『母港』画面から『編成』に行く。

 すると第1艦隊編成員が表示される。最大で6人まで編成可能だが今は旗艦大和が1人いるだけだ。

 大和、彼女が編成されていることを表示する箇所には『詳細』と『変更』のボタンがあり、『詳細』をクリックすることで現在の大和の艦船ステータスを確認できる。

 

 まあ、大和のステータスを見る限り……通常の装備スロットが他多数の戦艦同様つまり平凡に4つしかないことと、速力が低速なこと、索敵と運が微妙なことを除けば、戦艦として極めて優秀であることが分かる。しかもこの『詳細』な情報は言わば、良くも悪くもカタログスペック。本来の撃沈王はもっと――。

 

「いや今は私のことはどうでもいいのよ」

 

 画面をクリックして大和は自分の表示を消し、第1艦隊の2番艦に、今となりに初月の椅子を借りて座っている『ヤーナム歌劇団』神風型零番艦(ゼロ番艦!)駆逐艦の黒風を選択し彼女を編成した後、『詳細』をクリックした。

 

「…………黒風さん?」

「ハ、ハイッ」

 

 黒風――長い黒髪を右でまとめて縦ロールにして、黒い振袖、黒い腰帯、黒い袴、黒いロングブーツ姿の子は、カチンコチン一歩手前ほど緊張している。特にこれといった理由を聞かされず大本営に1人だけ「ちょっと来なさい」と命じられたものだから、普通の艦娘なら誰でもそうなる。もちろん黒風も普通だからそうなった。「どこかで……海戦で会わなかった? お互い友軍じゃあない立場で」などまったく失礼な勘違いである。

 

 今日はまさか撃沈王が直々に、今更、艦これのUIをマンツーマンで教えようとしているのか? んなわけがない。

 

 大和は黒風のステータスをとても渋い顔で見ている。そう、ここに表示されるのはあくまでカタログスペック。戦場では常に100パーセントの力を発揮できるわけではないし、逆に根性で120パーセントの力を出すこともできるかもしれない。

 しかし、だ。

 

「ねえ黒風さん?」

「ナ、ナニカ変ナトコロデモ?」

「変なところでも! あなたはそうおっしゃる!」

「ヒイッ!?」

「あなた……本当に駆逐艦?」

「エッ? ソレハ、ドウイウ意味デ?」

「それとも、そうね、『ナノマテリアル』って知ってる? 私とは別の『ヤマト』から不思議な電波を受信してたりしない?」

「イエ、何ノコトカ」

「本当に? 知らない? あなたはただの艦娘で、ただの駆逐艦?」

「ソウデス。……ケド、何故デスカ?」

「自分は普通の駆逐艦だ、って神様に誓って言える?」

「勿論デス」

「ふぅーん。いったいど」の神様に誓うのかしら? と大和はしょうもない鎌かけをしかけてギリギリ踏み止まった。重桜のみならず多数の海外陣営が手を組み一大勢力(見方によっては敵対勢力)と化している『ネオサイタマ鎮守府』に、撃沈王が宗教差別的な発言をしたなどと伝わってしまえば話は面倒臭いでは済まなくなってしまう。

 

「コホン……。まあいいでしょう。今はあなたの言うことを信じておくことにします。――で、なのだけれど」

 

 大和は改めて黒風のステータスに目をやった。

 防御面で大和型を圧倒し、火力はなんとか戦艦の面子を保てるとはいえ黒風は駆逐艦なのだからもちろん水雷能力があって、これがまた冗談じみて高い。装備スロットも水上機運用ができないとはいえ大和と同様に4つある。

 

「黒風さん、あなたなんか……強過ぎない? おかしくない?」

 

 

◆――――◆

 

 

「どー考えてもおかしい、いえ、おかしいってレベルじゃあないわよ! 異常よ!」

 

 ハングド・キャットのカウンター席で撃沈王は吼えた。

 スマートフォンを取り出し、保存しておいたスクリーンショットを武蔵に見せた。艦娘のステータスを一般客もいる猫喫茶でホイホイ表示してよいはずがないにもかかわらず。

 ここでの会話のせいで『大和型戦艦はバッテリングラムを装備していて、実は深海棲艦の潜窟に踏み込むことを想定しているらしい』という誤解を広めてしまった後だというのに何も学んでいない。大和型はかしこいはずなのだが。

 

「ほら見て信じられる? しかも練度1のステータスなのよこれ」

「どれ――。ふむ。なるほど。大和、お前を私の炎で強化してみた時のこと、覚えてるか」

「ええ。まあお巫山戯で? 確かにあの時の私は『見掛け』ではかなり強くなったけれど?」

「あの時のお前すら超えてるな、この黒風とやらは。練度1でこれなら経験を積むことで擬似イージスシステムにすら届くかも分からん」

「それがこの子、いくら戦っても『経験を積んだ感』がなくて練度もまったく上がらないらしいのよ」

「当たり前だ。これ以上インフレしてたまるか」

「擬似イージスシステムはどこに行ったのよ。いろんな人が天照大艦隊の軽巡球磨を手に入れようと画策してるっていうのに」

「冗談を真に受けさせた私が悪いのか?」

「努力したり、工夫したり、死闘を経験したりして、強くなった分を記録という形で数値にして、他の誰かと比べて一喜一憂するものでしょうよ」

「だが事実、その黒風は確かにいる」

「それがおかしいと言ってるの、私は」

 

 世界は広いのだから、最初から強い代わりに経験値を一切積めないロールプレイングゲームのお助けキャラのような艦娘だっているだろう――はずがない。そんな艦娘がいるのならば徹底的に研究して、最優先で建造して、電撃的に戦争を終わらせようと考えない方がおかしい。

 大和はスマートフォンで『編成』画面を開いた。今この店内で編成できるのは彼女と、武蔵、アルバイトとして働いている2人の艦娘だ。もちろん外部の猫喫茶でやってよい作業では断じてない。まさか大和型は……かしこくない?

 大和は自分以外に選択できる3人から武蔵を選んで旗艦自分の艦隊2番艦に勝手に組み込んだ。

 

「ほら見なさい。練度上限まで到達してる私よりも、まだそこまで至ってない大和型改二さんの方が改造を重ねてステータス的には……ん? んん?」

 

 大和は武蔵のステータスを見て首を傾げた。それもたった2秒のことで――大和は見抜いた。

 

「ちょっと武蔵あなた、これ……なに堂々と改ざんしてるの?」

 

 

◆――――◆

 

 

「改ざんだと? なにを根拠に――」

「この私の目を、しかも姉妹艦が欺けると本気で思ってる? 私、そんなに舐められてる?」

「…………どこで気付いた?」

「全部よ」

 

 ほら見なさいあなたの嘘の証拠を、と言うように大和は武蔵の艦船ステータスを見せつけて指でビシビシつついた。

 

「特に、異常なほど盛られた運。ふざけるんじゃあないわ。私たち大和型は運がないし、運に頼った戦術なんて端っから捨ててる。なのにこの画面の中の武蔵改二は、大口径主砲を論者積みして必然力でダメージレースするのが最適解になっちゃってるの。お分かり? それに――」

 

 アルバイトの1人は「(普通の艦娘はこれだからwww現実にキャップなんてありませんぞwww)」と思うだけで口には出さなかった。顔には出ていたが。

 もう1人の方、働いていた駆逐艦が大和の背後で、そろ~り、と逃げようとするも飛び火しないわけがない。

 ずっと観察を続けていた。今の今まで「こういうもの……なのかしら……?」と納得せざるを得ず、事実そう見せられていた『普通の駆逐艦っぽいステータス』の意味を大和はやっと理解した。いや、なんの意味もなかったことが分かった。

 

「逃がさないわよ長月ちゃん」

 

 大和のアプリからは逃れられない。もう少し正確に言うと、大和の権限が及ぶ物理的範囲はそれほど広くないものの、仕事を放り出すことが長月にはできない。

 

「ハイ私の艦隊にもう1名様ご案内。詳細をポチッと――これ、長月ちゃんの姉妹艦のをコピーしてるのでしょう? 大和型戦艦撃破50%Speedrun(RTA)走者が、ハッ、この程度なはずないもの」

「なんだと!? 菊月の力を馬鹿にしてるのかっ!」

「じゃあ隠してないで本当の力を見せてみなさいよ」

「ああ上等だ見せてやるよ!」

 

 武蔵は色々と観念した。

 

 

◆――――◆

 

 

 例えば、火力の数値が999になっているとか、速力が高速最速を超えた音速になっているとか、そういったものを大和は期待していた。

 だが長月が持っていたZippoオイルライターで付箋のような小さな紙を燃やした後で、大和が再び『編成』画面で長月のところの『詳細』をポチッとすると……表示された情報はそもそもフォーマットからして違った。

 

「……あの、長月ちゃん?」

「どうだ大和、分かっただろう。あと菊月に謝れ」

「ええまあ菊月さんには謝罪するけれども……ナニコレ?」

 

 何事においても、見える化して役立てるのが重要となる。

 例えば、不可視の剣を不自由無く振るう剣士と、身に着けることが邪魔そうな杖や衣装で見た目それっぽい魔術師、どちらが強いだろうか? 普通は「魔術師なんかに何ができる? 剣を持つ方が強いに決まってるだろ。まあ俺なら剣や杖より素直にAK-47を選ぶかな」と答えるだろう。まさかその魔術師が剣士の師であるなど思いもしない。だから見える化して、剣士の素の筋力が実は女子高生が使っているバーベルを持ち上げることすら怪しいこと、魔術師はその表情こそ女性を容易く口説けるほど良いが周囲からグランドクソ野郎呼ばわりされていること、様々な情報を知らねばならない。

 

 ――というのは、あくまで比較したり分析したりする必要がある場合の話である。話を戻して、言ってしまえば長月には見える化など必要ない。

 大和型戦艦撃破50%Speedrun(RTA)走者など他にいないし、本気長月の戦場投入など、

 

「もし私たちの知らないところで相互確証破壊が勝手に成立していたら……?」

 

恐ろし過ぎてできない。演習相手として熱望されている大和型がわざわざこっそり短時間撃破されるのも、つまり『核実験』と例えられるような危険・挑発行為に当たらないとは言い切れない。まさか大本営に深海棲艦を招き入れて撃沈王の艦船ステータスを見せる間抜けはいないだろうが、深海の住人に気取られてよいのは「人類は強い」という事実だけである。

 長月の強さを敢えて艦娘という枠に収めて同じフォーマットに書き記すことは不可能ではないにしろ、火力999・速力音速と言われても困る。長月の運用に困るのもあるが、それ以上に情報の扱いに困る。だったら見える化など最初から必要ないし、むしろやらない方がよい。

 

 ――という事情を知るはずの大和が「ナニコレ?」と言ったのは、長月が見せた情報がまったく見慣れないフォーマットだったからなのだが、もし大和がビデオゲームを嗜んでいればピンときたかもしれない。それはどう見ても、アクションゲームの簡易取扱説明書だった。

 

「武蔵。これ説明して」

「うむ。昔のビデオゲームには取扱説明書、操作方法や楽しみ方を記した小冊子が付属して――」

「その話はたぶん、私がいま知るべきことじゃあない」

「チュートリアル娘のルーツとも言える――」

「長月ちゃんのことを教えなさい」

「弱攻撃、強攻撃、青い炎。この3つの組み合わせで多彩なアクションが可能だ」

「知ってる」

「じゃあ聞くな」

「『艦これ』の話をしなさいよー!」

 

 

◆――――◆

 

 

 取り敢えず何か食べさせておけば大和は鎮まってくれる。

 カレーを1皿飲み込んだ撃沈王は「私たち艦娘を数値で表そうなんて考え方が失礼なのよ」と、戦争7周年を迎えた今更になって非難した。

 長月はもう仕事に戻っている。ハングド・キャットが時間帯によらず暇でないことは喜ばしいことである。

 

「ところで、どうやって詳細情報をいじってるの? さっき長月ちゃんが小さな紙切れをライターで燃やしていたけど、アレがその方法?」

「最近になってようやく特性が判明した、ある洞観者の能力でな。簡単に言えばメモした付箋を貼ることで艦船ステータスの上辺を書き換えられる。加えて、前に話したネオサイタマ鎮守府の陛下が提供してくれた特別なライターで誰でも繰り返し書き換え能力を使えるようになった、というわけだ」

「誰でも? 私でも?」

「珍しく洞観者の能力に興味があるらしいな」

「まあ、ほら、あれよ。応用が利きそうかなって。情報セキュリティとか」

「お前さっきまでスマホで――」

「で、どうやるの?」

 

 武蔵は眼鏡越しに大和をジッと見て、

 

「情報セキュリティ以外の使い道を考えている顔だぞ」

「だ、だから応用するのよ。武蔵みたいに改ざんするのも……自分でなく他の誰かのステータスをこっそり書き換えて驚かすイタズラに使えるわ」

「お前が、お前の部隊でそれやったらイタズラでは済まないがな」

「使い道なんて後でゆっくり考えればいいのよ。邪魔にならない手段ならいくら持っていてもいいでしょう。で?」

「……1回分しか渡さないぞ」

 

 カウンターから店の奥に引っ込んだ武蔵が持ってきたのは、日本のどこでも購入できそうな付箋1枚だった。

 

「付箋そのものに特異性はないし、能力者が『メモ紙』と認識したものならスーパーのチラシでも代用できる。その特性の炎に曝すことで紙が特異性を持つわけだ」

「へえ――確かにただの紙だわコレ」

「手順を説明するぞ。まず上書きする非圧縮画像データをアスペクト比35:29で用意する」

「待って。画像なの? 詳しくないけれど、なんというかこう、特定の箇所の数字を設定し直すとかでなく? 画像をベタッと貼り付け?」

「何か文句あるのか」

「別に……」

「アスペクト比は守らなくてもいいし、画素数の大小も問わない。ただし仕上がりにかなり影響するから最低限は拘った方がいい」

「ああ分かった。長月ちゃんの艦船ステータスは姉妹艦のコピーだって私は適当に言ったけれど、本当にコピーというかスクショしたのね」

「そういうことだ。だが実際やってみると自然に仕上げるのは簡単ではないぞ。だがもっとアレなのが次の工程だ。用意した画像を付箋に印刷するのだが――ああ、この段階で結局画像は付箋に収まるサイズで印刷されることになるが、何故か元データの情報は保存される」

「2次元コードみたいなものかしら」

「プリンターの性能も気にしなくていい。それよりインク、あるいは茶だ」

「茶? 茶色?」

「いや、飲み物の茶。えっとだな――」

 

 武蔵は自分のスマートフォンのメモ帳を見ながら説明した。

 

「シアン・マゼンタ・イエロー・キープレートのインクを使うプリンターを用意して、各色の完全に空になったカートリッジにそれぞれ、麦茶・紅茶・烏龍茶・午後の紅茶ストレートティーを補充する」

「は?」

「午後の紅茶ストレートティーだけはそれが最適だと判明しているが、他の麦茶・紅茶・烏龍茶はコレというのが判明していない。ただしマゼンタの紅茶は午後の紅茶では駄目だ」

「待って待って何の話?」

「インクの代わりに茶を使って印刷する、という話だ」

「…………」

「考えてもみろ。『自分の炎で炙った付箋に、麦茶・紅茶・烏龍茶・午後の紅茶ストレートティーで画像を印刷すると、その付箋で艦船ステータスを好きに上書きできるようになる』ことを発見するのに、いったいどれほどの苦労があったのか」

「考えられる気がまるでしない。こう言うのは悪いけれど……そのドーカンシャさんは艦娘より他にもっと向いてる仕事があると思う。もちろん良い意味で」

「実は私もそう思っている。深海棲艦のいない世界だったらタイムマシンのひとつやふたつ発明していたかもしれん」

「お茶で動くデロリアン? まあ30年後にはそういうものも……多分ないわぁ」

 

 

◆――――◆

 

 

 読者諸氏はこう思ったことがないだろうか。「証明写真を撮り直したい」と。

 撃沈王はこう思っていた。「艦船ステータスの証明写真を撮り直したい」と。

 

 もちろんプロの仕事に不満があるわけではない。大和自身でどれほど工夫しても逆立ちしても、今以上の写真など撮れっこないし或いはパンツをさらけ出すだけである。十分承知しているつもりである。しかし、それはそれでこれはこれ、「撮り直したい」はプロに失礼だった――言い直すと「自分で撮った写真があってもいい」になった。ひっそり差分modeを楽しんだっていいはずだと思った。

 武蔵から貰った付箋は1回分だけで、また装備をひとつ持ち替えただけでも矛盾が生じてしまうため元に戻さなければならない。だったら……ちょっとだけ、1回くらい試してみてもいいのでは? 大和の背中を強く押した。

 

 深夜、姿見の前で3時間以上はスマートフォン片手に撮りまくった。後から見返すと、1時間が過ぎた頃から少々大胆なポーズが増えてきて、2時間が過ぎた頃には何故か「『キラークイーンッ』!!」と叫びたくなるようなポーズまで出てきて、3時間が過ぎた頃あたりで結局ただ立っているだけに落ち着いた。

 ハングド・キャットから帰る途中、武蔵に聞いた通り、麦茶・紅茶・烏龍茶・午後の紅茶ストレートティー、ついでに冷凍ピザ数枚を買っている。

 警告されていた通り自然な画像を1枚作るのは手間取った。ただ元の艦船ステータスの写真を差し替えるだけとはいえ、サイズ調整のバランスが分かってきても、

 

「ん~……やっぱりさっきの写真の方が……となると切り取る部分はもっと上……下?」

 

ずっと自分の写真を見て比べてしていると、だんだんコレが誰だか分からなくなっていって、髪をほどいた自分を見て、

 

「そっか、せっかくなんだし髪型とか変えてれば……うわっ、外が明るくなってきたじゃあないの」

 

とにかく画像も完成した。

 

 残す作業は小さな付箋に茶で印刷するだけ。急がなければオフィスに誰か来てしまう。幸い複合機の横に、使用済みの『トナー』カートリッジがまだ回収されず残っていた。シアン・マゼンタ・イエロー・キープレートにそれぞれ麦茶・紅茶・烏龍茶・午後の紅茶ストレートティー。

 

 数時間後、大和は高額な複合機を壊してしまった、オフィスには同じものが他にも数台あるとはいえ設定などの関係で大迷惑をかけてしまう、と頭を下げた。

 だが。

 

「駄目です大和さん! 頭を動かしちゃ駄目です!」

 

 照月や扶桑たちは必死になって大和の動きを押さえつけようとした。

 

「照月の言ってることが分かりますか!?  あなたは複合機にお茶を飲ませたんですよ! どうしてこうなる前に……! ぐすっ、SOSを……っ!」

 

 もちろん一晩寝なかった程度でどうこうなる撃沈王ではない。照月が言わんとすることはよく分かる。だからいっそのこと頭を下げるついでに床にぶつけて本当に駄目になってしまいたかった。

 


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