あ、あとタイトルで分かると思いますが時間飛んでます。
―助けて…誰か、僕を助けて―
「って感じの夢を見たんだけど、リニスはどう思う?」
「私も見ました。恐らく、広範囲に無差別で念話を送ったのだと思います」
「ふーん。あ、ご飯おかわり」
いやあ、リニスの作るご飯は美味い。俺が作るより材料少なく、しかも上手に作れるから凄いわ。
「もしかしたら魔法関係かもしれません。気をつけて下さいね」
「ありがと。それじゃ、行ってきます」
「はい、行ってらっしゃい」
「あ、蒼くん。おはよう」
「すずか、おはよう。待ったか?」
「ううん、ちょっと前に出てきたとこだから。行こっか」
いつものようにすずかの家まで行き、すずかと少しだけ話してからバス停に向かう。
「あ、蒼くん達だ。おーい!」
「蒼!すずか!おはよー!」
「なのはちゃん、アリサちゃん、おはよう!」
「おっす、二人とも」
なのはとアリサにあいさつをし、バスに乗る。
これもいつもの光景だ。俺がこの3人の家族と知り合って以来、ずっと続いている。なんだよ、リリなのって平和な世界じゃんか。よく滅びる寸前まで行ってるとか聞いたけど全然そんなのないじゃんか。
「蒼?どうしたの?」
「ああいや、何でもない」
「ならいいけど…ねえ、今週末って空いてる?」
「うん?予定は何も入れてないけど…何かあるのか?」
「えっとね、今度皆でプールに行こうって話になったの」
「お父さん達はお仕事で来られないけど、蒼くんはどうかなーって」
「んー…リニスに一応話しておくよ。でも、参加できると思うよ」
ここまでですめば良かったのだが…
「本当に!?」
「お、おう…だからすずか、ちょっと離れてくれ」
このように、皆で遊ぶ時の約束が決まった時に時々すずかが急に近寄ってくる。しかも、その時は毎回アリサがジト目でこちらを見てくるので居心地が悪い。なのは?苦笑しながらこっち見てるよ。
「将来の夢、かぁ…」
「どうした、なのは?将来がなんだって?」
「あ、えっとね。私、将来の事何も決まってないなって思って。皆はどうなの?」
「あたしは、パパの会社を継ごうと思ってるけど」
「私は工学系に進もうかなって考えてるけど…」
「俺は未定。何か新しいことがあったらそれに進もうかと考えてる」
「そっか…でも、アリサちゃんとすずかちゃんは凄いね。もうそこまでしっかり考えてるもん」
逆にこの歳でここまで考えてるのは正直言って怖い。
「でも、なのはは翠屋の2代目になるんじゃないのか?ほら、恭也さんは剣一筋だし、美由希さんはアレだし」
「アレって…まあ、それも将来の夢の一つではあるんだけどね…なんかこう…自分にしか出来ないこと、ないのかなって」
自分にしか出来ないこと、ねぇ…本当、この子達の精神年齢高すぎだろ。
「ほら、私って取り柄ないし…」
と、なのはが言った瞬間、アリサがなのはの頬にレモンを投げ立ち上がった。
「このバカチン!何言ってんのよ!」
「そうだよ。なのはちゃんにしか出来ないこと、きっとあるよ」
「別に焦らなくたっていいんだぞ。落ち着いて、ゆっくり探していけばいいんだから」
「アリサちゃん…すずかちゃん…蒼くん…」
と、なのはを励ましたのだが…
「だいたい、アンタ理数はこのアタシより上なのに取り柄がないってどういうことよ!」
「い、いひゃいよあいはひゃん」
アリサがなのはの頬を引っ張った。実際、アリサは全テストで90超えは当たり前なのだが、理数はなのはには負けているため、悔しいところもあったのだろうが…
「ふ、二人ともやめてよー!」
すずかが仲裁に入った。まあ、スキンシップのようなものだから、俺はお茶を飲みながら見守っていた。
放課後。なのは達は塾に通っているのだが、俺は通っていない。だが、もしかしたらまた攫われる可能性も0ではないので送り届けるためについて行っている。
「あ、そうだ。ここ通ると近道なのよ!」
「そうなの?」
アリサが道を変更し、それに着いていく。そして、少し開けた湖の見える所に出たのだが…
「あれ?人が集まってるよ?」
警察やらマスコミやらが集まっていた。どうやらちょっとした事故があったらしく、桟橋が壊れていた。だが、俺は違和感を覚えた。
(少し魔力反応がある…もしかして、昨日の念話ってこれに関係しているのか?)
ほんの僅かだが、魔力が残っていた。辺りを見渡して他に何かないか探してみたら、なのはの様子が少しおかしかった。
「…なのは?どうした?」
「え?な、何でもないの」
…これって、なのはは昨日夢で見たとかそんな感じか?
と、考えているうちに、昨日聞いた声がまた聞こえた。助けてだけだったけど。その後、なのはが急に走り出した。
「ちょ、どこにいくのよなのは!?」
「なのはちゃん、どうしたの!?」
「…念話が聞こえてる」
夢を見たかどうかは別として、念話が聞こえてるってことはリンカーコアがあるのだろう。まあ今は関係ないが。取り敢えず追いかけよう。
「おーい、なのはー」
「あ、皆…」
「どうしたの…って、フェレット?」
「うん…なんか、怪我してるみたいで…」
「大変!じゃあ、病院に連れていかなきゃ!」
「そ、そうね!確か、近くに病院があったはず!」
そう言って、皆は駆け出して行った。だが、気になることが幾つある。それは、あのフェレットに見覚えがあること。何処でみたのかは覚えていないが。そしてもう一つ。
「あいつら、塾のこと忘れてないか?」
案の定、皆はフェレットを届けた後にもう始まっていると慌てていた。…連絡変わりにしとけばよかったな。
その日の夜。あのフェレットは飼っている人がいないため、飼い主が見つかるまで自分達で預かれないか、という話になった。が、うちにはリニスが暮らしており、過去に何があったのかは未だに聞いていないが、恐らく魔法関連でトラブルがあったのだろう。そして、あのフェレットは魔法に関わっている。何か問題が起きるかもしれないので、出来ればうちで預かるのは避けたい。なので、皆には猫がいるのでうちはたぶん無理、と伝えておいた。嘘言ってないからな。
で、どうやらなのはがOKを貰えたらしく、後日病院に行って引き取ることになった。まあ、何か起きるんだろうな。主人公が魔法関連の出来事に遭遇して何もない訳が無い。
「そういやリニス」
「なんでしょう?」
「今日、魔力反応がある場所に行った」
食器を洗っているリニスに対して話したのだが、動きが止まった。手滑らせたりしないか心配。
「ど、何処ですか!?」
「なのは達が通っている塾の近く。フェレットが怪我して倒れてたから、それに関係してると思う」
「何も起きなかったのですか?」
「今のところは何も」
と、2人で話していたが、突如周りの風景に赤みがかかった。結界魔法を使ったときは、こんな風景になるのだが…
「リニス、これって…」
「勿論、私ではありません。そのフェレットが使用したのかと思いますが…」
「ちょっと出掛けてくる」
「って、まさか行くつもりですか!?危ないですよ!」
「大丈夫だって。リニスにちゃんと魔法教わってるし。それに、もしかしたらなのはが行ってるかもしれない。念話が聞こえたタイミングとほぼ同時に辺り見回してたから」
それに万が一何か起きても能力あるし。
「なのはさんが?…分かりました。では、私も…」
「あ、リニスは残ってて。もし知り合いがいたらややこしくなるだろ?」
「…はい……」
「心配しなくても大丈夫。すぐ帰ってくるから」
「分かりました。でも、終わったら報告してくださいね」
「了解」
さて、何が起きてるのかね?
取り敢えず、さくっとスキマで病院に移動した…が、なんか壁に穴が空いてる。外にも攻撃らしき跡が残っているから、フェレットは逃げているのだろう。
「スキマとサーチャー展開。周囲の状況確認」
…あ、いた。案外近かったな。って、案の定なのは来てるし。
「はいどーも。スキマ運送の八雲蒼でーす」
「え?え、なんで蒼くんも来てるの!?」
驚かれた。まあ急に出てきたら驚くだろうけど。
「貴方も、助けに来てくれたんですか?」
「ん?今誰が喋った?何処にいるんだ?」
「あ、えっとね、蒼くん。このフェレットさんが…」
「ほー…って、そういやなのははなんで急いでたんだ?」
「ふえ?…そうだった!黒いのにフェレットさんが追いかけられてたの!」
「黒いの?」
なのはが言った黒いのを探そうと辺りを見渡すと、なんか黒くて大きい丸いのが飛んできた。
「あ、あれ!あれが追いかけてきたの!」
「ふーん…ほいっと」
取り敢えず、自分の境界を操り、腕力を強化した。そして、こちらに向かってきたあいつを掴んで地面に叩き付けた。ビターン、というよりは、ドゴォ、と言う感じになっている。
「え?え?」
「今のは…もしかして魔法強化?」
ちょっと違うんだよな。魔法一切使ってないし。そして、あいつは起き上がり、飛びかかってきた。今度は足を強化し、ハイキックで蹴りあげてから少し飛び、回し蹴りで蹴っ飛ばす。が、またあいつは起き上がり、向かってきた。…もしかして、ダメージが通ってない?
「なあ、フェレット。あれってどうすればいいんだ?」
「は、はい!えっと、あの思念体には物理攻撃は効きません。このデバイス…レイジングハートの封印魔法でジュエルシードを無力化しないと」
「そのジュエルシードってのは何処に?」
「あの思念体の中心部にあるはずです。でも、一体何を…」
何をって、境界操って力なくすんだよ。力出してるんなら、力なくせばいいんだから。
目論見は成功し、思念体は消えてひし形の石が浮いていた。
「そんな…!魔法を使った形跡もないのに、ジュエルシードを封印した…!?」
うーん、全部勘違いなんだけど…面白いからこのまま黙っておこう。さすがに他のやつに言いふらさせそうになったら止めるけど。
「さて、と。んで、なのは、何時までここにいるんだ?」
「え?」
「病院、でっかい穴が空いてたぞ。ここそう離れてないから、警察とかくるんじゃないのか?」
そう、何故かは知らないが結果が解除されてたのだ。これだと人が集まってくるかもしれない。
俺の言葉を聞いたなのはは硬直し、暫くしてから
「…ご、ごめんなさーい!」
と言い、走って逃げ出した。いや何故謝る。まあ近くの公園とかに行くだろうから、まず家に帰らせるべきだろう。俺はそのことを伝えるために走り出した。当然ながら、運動神経のないなのはに簡単に追いつくことができ、家に送り届けて帰宅した。恭也さんと美由希さんへの説明に少し手間取ったが。
「んで、一体どういうことか説明してくれるか?」
「にゃ!?蒼くん、何時から!?そもそも、どうやってうちに入ったの!?」
「なのは、たぶん、転移魔法を使ったんだと思う。でも、魔力反応がないのが気になるんだけど…」
「あー、それに関しては後で話すから。俺は八雲蒼。何が起きてるのか、説明してくれないか?」
「あ、はい。僕はユーノ・スクライアです。実は…」
ああ、ユーノだったのか。そう言えばInnocentでもフェレットだったっけ。で、要点を纏めると、
ジュエルシードを発掘したよ!ロストロギアっていうどんなものかよく分からないものだから、大きい組織(管理局)に預けることになったよ!
でも運んでる船が途中で事故にあって地球に落ちちゃったよ!組織の仕事は遅いし、責任感じたから自分が集めようと一人で来たよ!
でもどうにも出来なかったから念話で助け呼んだよ!そうしたら君達が来てくれたよ!
こうらしい。魔法については以前リニスに聞いたものと変わらなかった。
「でも、それユーノくんは悪くないんじゃ…」
「でも、これは僕が見つけたものだから…僕の責任だから」
「それ言ったら、ジュエルシードを作り出した奴が悪いじゃんか。ほら、ユーノは悪くないだろ?」
「けど…」
「この話はやめよう。何が悪かじゃなくて、今はジュエルシードを集めるのが大事だろ?」
なのはが怪我するかもしれないし、よく分からないもの放置してるわけにもいかないし。
「うん…そうだね。ありがとう、蒼。…あ、そう言えば、蒼が突然出てきてり、あの戦闘のことなんだけど…」
「あー…説明しずらいんだけど…特殊能力みたいなもんで、俺は『境界を操る程度の能力』って言ってる」
まあ元々俺のでもないんだけど。能力の詳細を言っても理解するのは難しいので、取り敢えず人体を引き裂いたりとかいうこと以外は、物事を自分の好きなように変えられる、と説明しておいた。
「うーん…やっぱり一度細かく説明してくれない?」
「いいけど…移動したのは自分がいる空間と移動したい空間の境界を操って道を作って、ジュエルシードを封印したのは力を出しているのと出していないっていう境界を操って…」
「え、えーっと…」
「まあ、なのはにはやっぱり難しいか。結果を好きなように弄れる、とでも考えてくれ」
実際、自分でもよく分からない部分多いし。よくよく考えれば、なんでいくら強力とはいえ自分で理解できてないものを特典にしようと思ったんだろう、俺。
「夜も遅いし、今日のところはこの辺にするか。幸い、俺もある程度は魔法を使えるから、何かあったら念話で話してくれ。じゃあな」
「え、あ、蒼くん?」
そういって、俺はスキマを通って自分の部屋に戻った。
日常面では使わないが、非常時ではこれでもかと能力を使いまくる。魔法使うより手っ取り早いからね。もう少ししたら魔法使い始めます、たぶん。
ちなみに、私個人としては能力の『境界』は物事の事象、と捉えてます。なのではっちゃけます。
ここ変だぞ、と思ったら感想や誤字報告などでお伝えください。罵詈雑言以外受け付けております。