オネェ料理長物語   作:椿リンカ

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オリジナル帝具が出るので注意してくださいまし


真夜中に始まる物語
ラバックとタツミがオネェ料理長に助けられる話


 

「逃げるぞラバ!」

「あぁ!」

 

ワイルドハントのシュラの罠に嵌まり、タツミとラバックは帝都宮殿内に誘い込まれてしまった。

ワイルドハントのイゾウやドロテア、羅刹四鬼のスズカ、そしてエスデス将軍とブドー大将軍……勝ち目はまずないだろう。逃げなければ、おそらくは拷問部屋行きは確定・・・

 

そう考えてタツミはラバックと共に宮殿内を走った。背後から追いかけてくる追っ手をかわすために彼ら二人はとある部屋に飛び込んだ。

 

 

【宮殿の厨房】である

 

 

追ってきたドロテアとイゾウは中に押し入ろうとするが、スズカとシュラが無言で彼らを引き留める。

 

「な、なにをするんじゃスズカ!」

「シュラ殿、ナイトレイドはこの中に…」

「やめなさい、死にたくないなら開けないことよ」

「イゾウ、ドロテア、死に急ぐな」

「シュラ!何を言っておるんじゃ!」

「本当にやめて!あいつが出てきたら全員死ぬわよ!」

「スズカ殿まで一体何を・・・」

 

厨房ごときでなにを…

 

ドロテアとイゾウは疑問符を浮かべるが、あのブドー大将軍とエスデス将軍ですら、厨房の前で立ち止まっていることに気がついた。

 

「な、なんじゃ…ただの厨房じゃろう?」

 

ドロテアがまわりを見回しながら確かめるが、誰も答えず、少し青い顔になっている。

意を決したという表情のスズカがドロテアにこう答えた。

 

「宮殿の厨房はね、独立国家なの」

「………なにを言うておるんじゃ」

 

「オネスト大臣と料理長の取り決めがあるのよ。帝国の政治や軍事に口を出さない代わりに厨房では料理人が一番なの。すごいでしょ?」

「いやすごいとかすごくないとかじゃなくて、厨房がなんでそんなことに・・・」

 

「そのあたりは大臣しか知らないから直接聞いてちょうだい」

 

スズカの説明があったものの、やはり意味が分かりにくい。

なぜオネスト大臣が料理人とそんな取り決めをしたのかも…

 

ただ、宮殿の厨房が特別なのは理解した。

 

あのエスデスさえ入ることができないのだから。

いや、というか…

 

 

「……ブドー、お前が行け」

「断る。シュラ、お前は料理長と幼馴染みだろう。お前が行け。まだ話が通じる」

「俺を殺す気かよ。あいつと顔をあわせたくねぇよ。エスデス将軍、あんた強いんだから行けよ」

「殺すぞ。私が死んだらどうするつもりだ。ブドー、やはりお前が行け」

「私には皇帝陛下を守るという責務がある。もしここで逆鱗に触れれば私も近衛兵も一網打尽にされかねん」

 

 

THE擦り付けあい

 

 

「……料理長は強者なのか?」

 

イゾウがスズカに尋ねる。

スズカは頷いた。

 

「帝具使いでね、戦闘向きではないけどその気になればちょっと怖いことができるのよ。あと本人に色々問題が……」

 

スズカが何かしらいいかけたその時、厨房の扉が開いた。

 

 

そこにはエプロンを着用したタツミとラバック、そしてコックコートを身に纏った……薄化粧の男性がいた。

 

 

「あら、雁首揃えてなにかしら?夕食のメニューでも直談判に来たの?」

 

その男性は女性のような言葉使いで話しかけてきた。

 

「………料理長、その二人は賊だ」

 

ブドーがそう話しかける。が、料理長と呼ばれた男性は驚く様子もない。

 

「厨房に土足で入った子達は、厨房で片を付けるわ。賊だろうがなんだろうが関係ないわよ。」

「だが賊……」

「厨房の一切に口を出さないで。だしたいなら厨房の中でゆっくりお話は聞くわよ。あたしの私室に行けるしね。大将軍ならあたし抱かれてもいいのよ?」

「やめろ」

「えぇ~、やっだー、もぉ~つれなーい!」

 

確かに性格に難があるらしい。

ブドー将軍はあまり表情は変えてないが迷惑オーラが出ているようだ。

 

「あら、シュラもいるじゃない。ひさしぶりね」

「……アニエル、お前そいつらはナイトレイドで…」

 

「アンって呼べっつったでしょゴルァ!!本名で呼ぶんじゃないわよ!!腹かっさばいてあんたの腸でソーセージ作ってやるわよ!!」

「おいやめろ!お前の帝具ならできることを言うの本当にやめろ!」

 

「もしくは抱きなさい!情熱的に!」

「お前は俺を精神的に殺す気か!気持ち悪いんだよ!」

 

「何よ!スタイリッシュとはいちゃいちゃしてたくせに!どうせあいつのこと毎日抱いてたんでしょ!このスケコマシ!エロ同人みたいにスタイリッシュ掘ってたんでしょ!」

「本当にお前やめろ、今想像して吐きそうになったじゃねぇか、うええええ・・・」

 

「そりゃもう情熱的に愛ある言葉を囁いてあんあん言わせてたんでしょ、あたしは分かっているんだからね」

「やめっ、ほんとまじやめろ・・・」

 

……本当に性格に難があるらしい

 

「…ラバ、俺たち助かったんだよな?」

「いや、ま、一応…」

「ほらあんたたち。いまから食材取りにいくから手伝いなさい。早くしないと股間揉みしだくわよ」

「「はいいいいっ!!」」

 

こうしてタツミとラバックは命は助かったが、宮殿の厨房でオネェの下っ端になることになった。

しかも厨房はオネェとオカマしかいなかった!!

果たして彼らはナイトレイドに戻ることができるのか!?

 

 

 

とぅーびーこんてぃにゅーど!

 

 




アニエル

自称はアン・シャーリー(赤毛のアンを意識してる)
宮殿の料理長をしているオネェ
実は皇帝陛下のめっさ近い親戚。つまり継承権があるが、宮殿の厨房だけを守ることに…
オネスト大臣が毒殺されないのは厨房の守護者たる彼がいるから。
気のよいオネェだが厨房関連では鬼神みたいになる。
シュラとは幼馴染みのため、弱味をたくさん握っている。
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