オネェ料理長物語   作:椿リンカ

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Smile!Sweet!Sister!Sadistic!Surprise!Service!

We are Palace chefs!

※最後の部分は固有名詞じゃないです。ついでに言えばグーグル翻訳に任せました。


ニ週間目の物語
ラバックとタツミは夜中の訪問者を迎える話


ラバックとタツミが帝国宮殿の厨房に逃げ込んでから、はや14日・・・2週間が過ぎ去っていた。最初の1週間は何かとトラブル続きであったが、いつのまにか彼らもこの環境に慣れたらしい。

 

途中から巻き込まれたシュラに関しても文句を言いながらもソツなくこなしている。

もちろん彼もナイトレイドの二人のように、ここから逃げたい気持ちはあるのだが・・・なんだかんだで大臣から「しばらくワイルドハントの活動もできませんし、いい薬です」と言われてしまい、ここで料理するぐらいしか行き場がないのだ。

 

 

 

「ラバックちゃん、前菜の皿は?」

「出来上がってます!」

 

「タツミちゃん、ワインの準備お願い!」

「はい!」

 

「シュラちゃん、ちょっと脱いで胸筋見せて!」

「このくそ忙しい時にふざけてんじゃねぇぞ!?」

 

・・・とまぁ、こんな感じで忙しい毎日が過ぎ去っている。

仕事というものは不思議で、既定の時間で仕事を終わらせると、いつの間にか一日が終わっているのだ。ただしブラック企業は含まれない。

 

ラバックやタツミも、なんとかナイトレイドに戻りたいと思いつつ、毎日の激務をこなしていると一日が終わり、夜中に抜け出そうかと思いながらぐっすりと安眠して朝を迎えているという有様だ。

 

 

 

さて、本日の業務も終わったあと、厨房の片づけを新人3人組で片づけることになった。

時間はすでに夜の11時である。

 

今日は料理の下準備のほかに、宮殿内のメニューに加える新作のコンペを行っていたため、いつもよりも片付けが遅い時間帯になってしまったのだ。

 

「はー、もうここに来て2週間か。女装することになったり、皇帝陛下にあったり・・・」

「早いものだよな。あっという間っていうか。ウェイブと普通に会話できたから、俺はいいけどさ」

 

「チッ、てめぇらを捕まえようと思ってたのに・・・なんでこうなったんだ・・・」

 

「お前のは自業自得だろ。つーか人を宮殿に転移させたくせに」

「そもそも宮殿に俺たちを転移させるって、大臣とか暗殺される危険性があったんじゃないのかよ」

 

「うるせぇな。俺の作戦は完ぺきだったんだよ、お前らがこのイカれた厨房に逃げなかったらな!!」

 

・・・・・・まぁ、仲良く掃除に勤しんでいる。

もちろん、仲良くできているのかと言われたら疑問符を浮かべるだろう。しかし、普通に会話をしながら掃除をしている程度には仲が良いのだ。

 

問答無用で殺し合いをしていないだけマシである。

 

 

そんな中、厨房の入り口のドアがそっと開けられる。

 

「あ”ぁ、誰だよ」

 

シュラが声を掛けて扉に視線を向けて、硬直した。

ラバックとタツミもどうしたものかと扉へと視線を向けるとそこには・・・

 

 

「す、すまない・・・その、眠れなくて」

 

 

そこにいたのは、帝国のトップである皇帝陛下であった。

 

 

 

 

皇帝は厨房にある簡素な椅子に座っていた。

彼から話を聞くのは3人の中で一番顔見知りであるシュラである。

 

「あ”-・・・陛下はどうしてここに?」

「少し眠れなくてな・・・厨房の誰かにホットミルクでも頼もうかと思ったのだ」

 

「・・・侍女とかには頼まなかったのか・・・頼まなかったんですか」

「普段はこの時間帯にあまり起きてないから、侍女たちもいなくてな。兵士たちはみんな見回りをしているだろう?」

 

そこまで話を聞いているうちに、”くぅー”とお腹が鳴る音がした。

皇帝の顔が林檎のような色合いになって視線を泳がせる。

 

「・・・す、すまない・・・」

「・・・腹も減ってんのかよ」

 

敬語を忘れてシュラが小さく呟いた。

 

ラバックは「まぁ、この時間帯はお腹が減りますよね」と返す。

 

そして静かに黙っていたタツミが何かを思いついたように皇帝へと話しかけた。

 

 

 

「あの、一緒にホットケーキでも作ります?」

 

 

 

「「・・・は?」」

 

「えっ?」

 

 

 

 

 

宮殿の厨房は食材管理をしっかりとしている。国中の税金で賄っているのだから大量にあると言えばあるのだが、帝国軍が使う兵糧分も確保しなければならないし、帝国の腐った政治家が「これが食べたい」と急に注文する場合に備えなければならない。

 

そうしたもんで、自由に使える食材分は確保されているのだ。

 

「ううむ・・・これで混ぜれたのか?」

「あぁ、これでいいですね。んで、これを焼くんですよ」

 

「おお・・・こういう風に焼くのだな」

「ひっくり返してみます?」

 

「・・・余にもできるのか?」

「それはやってみないと。俺も手伝いますよ」

 

タツミは現在、皇帝と共にホットケーキ作りをしていた。

その様子を眺めつつ、ラバックとシュラは付け合わせの生クリームやジャムの用意をしていた。ホットミルクのための蜂蜜を取り出しつつ、ラバックはため息を吐いた。

 

「・・・タツミ、なんで急にあんなこと言い始めたんだよ」

「知るか」

 

「・・・・・・皇帝を説得する気か?」

「あぁん?無理だろ、親父に相談されて始末されるのがオチだな」

 

「・・・・・・お前、あっちに混ざらなくていいのかよ」

「・・・うっせぇな。やりづらいから行きたくねぇんだよ馬鹿」

 

ラバックにそう返答してシュラも適当に生クリームを作り始めるのだった・・・

 

 




1話で終わるかと思ったら、次回に続くぞい

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