予定より早く書けたので投稿します。
毎度つたない文章力ですがよろしくですm(__)m
※※3月14日に新学年が始まって「1週間」から「2週間」に修正しました。すみませんでした。
『おめでとうございます! 今日の1位は天秤座のアナタ!』
2年生となり2週間がたった。
朝食中、何気に観ていたテレビからそんな声が聞こえてきた。
『今日は何か良いことが起こる予感! 友達とショッピングに行くと更に効果的です! ラッキーアイテムは赤いハンカチです!』
バカらしい。
天秤座のわたしは赤いハンカチを持っていれば良いことがあると?
何の役にたつのよ。
それに、昨日のラッキーアイテムは「銀のスプーン」とか言ってた気がする。
スプーンでどうしろと? 四六時中スプーンを持っていろと?
早い話、わたしは占いなんて信じていない。
「ごちそうさま」
食器を流し台へ持っていき、洗面所へ向かう。
歯を磨き、顔を洗い、髪を整え、簡単にメイクを済ませる。
鏡に映るのはぱっちりと大きな瞳で少しつり目気味な黒髪セミロングの女子高生。
友人の徳山 みなぎ程のレベルではないにしろ、少しは整った顔だと自分でも思う。
「よし」
あとは……。
ハンカチが入っている棚を開ける。
棚の中には色とりどりのハンカチ。
その中の一枚のハンカチが何故かわたしの目に留まった。
『ラッキーアイテムは赤いハンカチです!』
「……はぁ~。 バカらし」
わたしはそう言いつつも1番最初に目に留まった赤いハンカチをポケットにしまう。
これで準備完了。
「行ってきまーす」
玄関の扉を開けて外へ出る。
今日も春の日差しが心地好い、いい天気。
しかしわたしの心はちっとも晴れやかではない。
中学からの1番の友人であるみなぎと一緒のクラスになったのに。
全然少しもこれっぽっちも晴れやかではない。
原因なんて1つしかない
そう、アイツだ。
あの男子こそが全ての元凶。
わたし青柳 皐月は隣の男子、楠木 京弥が嫌いなのだ。
※※※※※※
2限目が終わり、わたしは次の授業の教科書を準備している時にそいつは無駄に大きな声で言い出した。
「だいたいさー! 9回裏だぜ!? 普通、あそこは守備固めだろ!」
その話は今朝も話してたでしょ。
それに楠木が話し掛けているのは後ろの席の男子。
そんな大声で話す必要性はどこにもない。
「まーまー、楠木落ち着けよ。 それは結果論だろ?」
話を聞き付けた別の男子がニヤニヤしながら楠木の席まだやって来た。
この後の展開もわたしは知っている。
楠木は椅子から立ち、オーバーリアクションを取りながら
「結果論だーあ!? 俺の今嫌いなセリフNo.1を言うんじゃねーよ!」
ゲラゲラ笑い合う男子達。
「はぁ~……」
ため息が自然と洩れた。
彼らの会話から察するに、彼らが応援しているプロ野球チームが昨日の試合で逆転負けをしたらしい。
そして試合後の監督が「守備固めしなくて負けたのは結果論」と言ったようだ。
何度も聞いているため嫌でも覚えてしまう。
ホント、バカらしい。
同じ話を何回繰り返すのだろうか?
彼らは今朝話していた事を覚えてないのだろうか?
そこまでのバカなのかしら?
何かにつけて「それ、結果論だから」→「俺の嫌いなセリフだから」と、言っては笑い合っている。
これこそバカの一つ覚えと言うモノだろう。
わたしはイライラに耐えきれず席を立ち、みなぎの席へと移動する。
「ん? 皐月、どしたの?」
わたしの顔色を見てみなぎが心配の声をあげた。
「もしかして……2日目?」
訂正しましょう。この女の頭は恋愛と下ネタしか詰まってなかった。
ブロンド色の髪を腰まで伸ばし、身長167㎝、スレンダー体型のくせして出るとこは出てる。
可愛いか綺麗かで言えば綺麗な女。
早い話が徳山 みなぎとは黙っていれば美少女なのだ。
「やめい」
わたしはそんな美少女の脳天に空手チョップをお見舞いした。
「いった~い、なにさ! 2日目でしかも彼氏いない歴=年齢だからイライラしてるのは分かるけどさ!」
ぶーぶー、と唇を尖らし文句を言ってくるみなぎの両頬を右手でぶにっと押し潰した。
「あなた、周りに人がいるのにそういう事を言うの辞めてもらえるかしら?」
にっこりと微笑みながらも右手に力を加えていく。
「ふぁい! ふぁい!(はい! はい!)」
「分かればよろしい」
「ふひぃ~……怖かった~……。 でも皐月、アナタの顔ちょっと変じゃない?」
「え? 顔? 変ってどの辺りが?」
メイクでも崩れたのかしら?
わたしは制服の胸ポケットから小さな鏡を取り出し、マジマジと自分の顔を見る。
ふむ、別にメイクが崩れた様子もニキビがあるわけでもない。
「どこが変なのよ?」
「皐月って普段から目付き悪いけど、最近は輪を掛けて悪いよ?」
目付きが悪い、とはあまり言ってほしくはないな。
せめて「つり目」と言ってほしい。
わたしはこのつり目とあまり表情を変えない事から「常に怒ってる」と周りから思われているそうだ。
まぁ現在進行形で、どっかの男子のせいで不機嫌なのだが。
わたしの背後で相も変わらず「結果論」「結果論」と騒いでる楠木をチラリと見た。
「ん? 皐月どったの?」
わたしの視線に釣られてみなぎが楠木の方を見ようとしている。
わたしは慌ててみなぎの視線の前に立ち塞がる。
「何でもないの、本当に何でもないからね?」
「んー? ん~……」
わたしの背後を除き見ようと座っていたみなぎが立とうとする。
まずい! 話をそらさなければ!
「あー、そ、そういえば駅前の喫茶店のパンケーキ美味しいらしいわよ?」
根も葉もない、突拍子な思い付き。
でも「駅前の喫茶店」「パンケーキ」の単語はこの女には効果覿面である。
「え? 何それ! 超いきたーい!」
かれこれ4年近い付き合いだ。これくらいの誘導は朝飯前。
というかこの娘、少し天然が入っているのよね。
「みなぎならそう言うと思ったわ。決まりね。 いつ行く? 今週の土曜?」
「ん~…あ~、土曜はちょっとな~……」
「あら? 先約があったの?」
そう言えば、この前の土曜日も遊びに誘ったところ断られた気がする。
そんな事をわたしが考えていると、
キーン、コーン、カーン
次の授業の予鈴が鳴った。
まあ、みなぎにだって家族やわたし以外の友達と遊ぶ予定はあるだろう。
「じゃあ、また予定を経てましょうね」
わたしはみなぎにそう言うと自分の席に向かった。
※※※※※※
授業を余所にわたしは考えていた。
わたしは感情を顔に出さないタイプだ。
そのわたしが、どうやら楠木相手に色々と出ていたようだ。
『あはははは!』
耳に残るバカみたいな笑い声がわたしの頭に木霊する。
何故か隣の男に敗北したような気がしてまた一段と余計に腹が立った。
…………。
…おっと、いけない、いけない。
落ち着きなさいわたし。
こんな底辺の男子に腹を腹を立ててはダメだ。
子供が騒ぐのは至極当然。
子供が騒いで怒るなんてそれは大人気ないことよ。
自分にそう言い聞かせる。
ふと、隣の楠木を横目で見てみる。
「………………」
楠木は黙々と黒板の文字をノートへ映している。
たまに色ペンを使うなど遠目で見ても見やすそうなノートだ。
今まで出合ってきた楠木のような男子は大概、授業中も騒いだり、寝たり、と真面目に受けている印象はない。
しかし意外な事に楠木は授業を真面目に受けている。
先生の雑談にノッかり、騒ぐ事はあるが楠木本人から騒ぎ出す事はこの2週間はない。
…………。
ま、2年生になったから頑張ってるだけかも。
どーせ、すぐに化けの皮が剥がれるでしょうね。
わたしは心の中でくすくす笑っていると、
「じゃあコッチ消すぞ~」
先生が黒板の右半分を消し始める。
わたしは、はっとなり、すぐに自分のノートを見るがそこには白紙のページ。
…………あとでみなぎに見せてもらおう。
※※※※※※
放課後のホームルーム終了間際にそれは起こった。
「あーそれから、部活と委員会に所属していない者はちょっと残れよー」
担任の新井が言うとブーイング(主に男子)が起こる。
それは隣の男子も例外ではない。
「えー! 先生! なんかあるんスか!?」
どうやら楠木は部活動も委員会にも入っていないようだ。
てか何で一々そんなオーバーリアクション取るのよ。うっとうしい。
「なんかあるんだよ。 ほらホームルーム終わらすぞ。 学級委員、号令」
その言葉で学級委員の女子が本日最後の号令を掛ける。
「きりーつ、礼」
「「失礼しまーす」」
部活に行く人、委員会に出席する人は教室を後にする。
かく言う『無所属』のわたしは新井の申し出通りにその場を離れない。
と、
「こら、楠木、何処行くんだ?」
楠木が席を立っていた。
「え? 先生、俺、野球愛好会入ってますよ? 今日はエースが投げるんですよ?」
「楠木、いいから早く座れ」
「えーー!!」
残っている数人の男子が笑いだす。
良いから黙りなさいよ。
わたしだって早く帰りたいのよ。
アンタが五月蝿いと余計に帰れないでしょ。
そんな楠木のバカなやりとりからしばらく経ち、やがて教室内には無所属の生徒、10人程度が残った。
因みにみなぎもここに含まれている。
「えーでは始めるか」
新井が改めて口を開く。
「そ~だな~。 よし皆、何か道具を1つだけ机の上に出してくれ」
「何でですか?」
誰かの声が上がる。
「良いから。 ほれ、ペンなり水筒なり何でも良いから1つだけ出してみてくれ」
全く、何が目的なのかしら?
まずは何故わたし達が残らされたのかを説明するべきじゃないのかしら?
この新井のいう教員はどうも抜けている部分がある。
何を出そうかと悩んだが、今さら鞄に締まった筆記具や教科書を出すのも面倒だ。
わたしはポケットの中にあった適当な物を机に出した。
数秒経ち、
「皆出したか~?」
新井は全員が机に出した物を一通り確認したあと、
「おーーー! 青柳!」
「え? あ、はい」
何故か歓喜の声で呼ばれたわたしはとりあえずの返事を返した。
「そして楠木!」
「は? 俺が何です?」
今度は楠木を呼んだ。
「13人中、お前ら2人だけが机に出してる物が見事に、おまけに色まで揃ったぞ!」
は? え? 何? 揃った?
わたしは隣の楠木の机の上にある物を見る。
赤いハンカチ。
そしてわたしが適当に出した物を見てみる。
赤いハンカチ。
…………。
ちょっと待って! だからなんだって言うの!?
「先生~。 揃ったからってどーなるんですか~?」
わたしの疑問をそのまま楠木が口に出した。
コイツと思考が被ったのはシャクだがわたしもいい加減この茶番の理由を知りたい。
「あ! まだ言ってなかったな!」
新井は「わりー! わりー!」と謝りながら、とんでも無いことを言い出した。
「楠木、青柳。 お前ら、今日から図書委員な」
『今日のラッキーアイテムは赤いハンカチです!』
だからわたしは占いなんて信じていない。
読んでいただき有難うございますm(__)m
少しでも読みやすい、楽しい物語が書けるように精進していきます。
では次は早ければ3月末には投稿します。
ではではー