いや~……三連休がまさかのインフルエンザでダウンしてました。
わたしの三連休はどこへ……明日からまた仕事か……。
てな事で皆様は風邪やインフルエンザには十分注意して健康に過ごせれるように。
毎度の駄文ですがお付き合いして頂ければ幸いですm(__)m
「ただいま……」
やっとたどり着いた我が家の扉を開けた。
天秤座であるわたしの今日の運勢は1位、とか朝の占いで言っていたけど、本当にデタラメだ。
しかもラッキーアイテムが裏目に出るとかなんなの?
1周廻ってもう笑うしかないじゃない。……やっぱり笑えない。
「あら皐月、おかえりなさい」
台所からエプロンを着たお母さんが出てきた。
「ご飯もうすぐ出来るけど、どーする?」
「先にお風呂に入りたい」
「それじゃあ今から準備するね」
お母さんはスリッパをパタパタさせながらお風呂場へと向かう。
「お母さん」
お風呂場にいるお母さんに聞こえるように少し大きめの声をあげた。
「な~に~?」
「わたし、今週の木曜から少し帰るの遅くなるから」
「あらどーして? ……まさか好きな人が出来たの?」
お母さんはお風呂場から顔を覗かせる。
何でそうなるのよ。
お母さんは最近、何かとわたしの恋愛事情を気にしたがる。この人のこういう所が友人のみなぎとよく似ているのよね……。
「違うって。 ……委員会活動があるの」
「委員会? 皐月が? 何に入ったのよ?」
「……図書委員」
「え? 皐月が図書委員? ……まさか好きな人が図書いい――――」
「だから違うってば!」
わたしはそう言うと勢いよく自分の部屋に入り扉を閉めた。
扉の向こうでは「まぁまぁ大変大変。 お父さんが聞いたら倒れちゃうかも」等と未だに勘違いしている母の声が聞こえる。
「そんなんじゃないわよ……」
わたしはそのままボフっとベッドに倒れ込んだ。
「はあぁぁ~……」
そう、わたし、青柳 皐月は本日を持って『木曜日限定』の臨時図書委員となった。
嫌いなアイツと一緒に、ね。
…本当に笑えない。
※※※※※※
とてつもなく面白くない話しなので簡単に話しましょう。
今日の放課後の事だ。
わたしは新井先生の【ゲーム】により図書委員とされ、図書室に赴いた。
そこで図書委員長の末武 美琴(すえたけ みこと)先輩から木曜日の放課後に図書室での受付業をお願いされた。
今の図書委員の人員では都合上、どうしても木曜日の放課後に受付業を出来る人が居ないそうだ。
そこでわたしとコイツの2人で木曜日の担当となった。
本当は図書委員の仕事は放課後だけではなく、毎月の第4金曜日の放課後は図書室の清掃と本棚整理等、色々と仕事はあるそうだ。
しかし、わたしとコイツはあくまで臨時要員として雇われた身であるからその辺は免除となった。
正直、他の仕事が免除とかどうでもいい。
嫌いな男子と図書室で受付業とか、どんな罰ゲームだ。
ね? 全然、面白くもない話しでしょ?
※※※※※※
木曜日の放課後なんて、あっという間にやってきた。
生徒が持ってきた本のバーコードを読み込み、生徒手帳を確認する。そしてパソコンに貸し出した本と生徒名を保存する。
「返却日は来週の木曜日になります」
マニュアルに書かれた通りの台詞を言いながらわたしは本を手渡した。
とても簡単な仕事だ。
わたしの前には【貸出係】と書かれたプレートが置かれている。
一方、隣に座る男子は、返却された本のバーコードを読み込み、パソコンを操作している。
「……確認しました。 ありがとうございました」
コイツもマニュアル通りの返答をした後に返却された本を受け取る。
わたしが貸出係、楠木が返却係。
この前、末武先輩の説明を受けた時にくじ引きで決まった事だ。
お互い、受付カウンターに生徒が来るまで、また自由に過ごす。
わたしは用事もないスマホを操作。楠木は小説のようなモノを読んでいる。
コイツが本を読むなんて意外だったが、もっと意外なのはコイツがわたしに話掛けてこない事だった。
図書委員が始まって30分が経過している。
正直、楠木が面白くもない世間話をわたしにしてくるとばかり思っていた。
どうやって上手くコイツの話しを回避しようかと色々悩んでいた所だったから拍子抜けだ。
いや、別に楠木なんかと話したくないからこれでいいのか。
この男の、あのバカ見たいな話しとバカみたいな笑い声を聞くだけでイライラしてくる。
どうやら流石の楠木 京弥と言えども『図書室では静かにする』という一般常識は持ち合わせていたようだ。
何ならこのまま一生黙ってもらえるかしらね。
「なあなあ、青柳」
小声で楠木が話掛けてきた。
……何でコイツはいつもいつもわたしが期待した途端、それを裏切るのかしら?
「……なに?」
わたしはスマホから目を逸らさずに返答する。
「青柳は静かにしてるの大丈夫な人?」
「そうね、『五月蝿い場所』より静かな場所が好きかしら」
少し皮肉を混ぜてみた。
「そっか~。 確かに青柳っていつも静かだもんな。 クールって感じだし」
バカには皮肉が通じないのかしら?
それに見た目はクールでも腸は結構煮えているわよ? 主にアナタのせいでね。
「あ、でも徳山と話してる時は青柳も笑ったりしてるよな」
「……そうね」
は? なにアンタ? わたしの事見てたの? 本当にそういうの止めてくれないかしら。
「青柳も徳山と下の名前で呼び合ってるさー。 幼馴染ってやつなの?」
「幼馴染って程の長い付き合いじゃないけど中学からの友達ね」
「ふ~ん」
あ~もう! 誰か受付にこないかしら。 これ以上コイツと話したくないのよ。
わたしが辺りを見回すが受付に近づいてくる人はいない。
いっそトイレに行くふりして席を立とうかしら?
「そういやさー、青柳ってさー」
さー、さー五月蝿いね。今度は何よ。
「5月生まれなの?」
「は?」
突拍子もない質問にわたしは無意識に楠木の方を見る。
「いや、だから5月生まれ?」
「違うわよ」
「あれ? 青柳って下の名前は皐月だよな?」
「……そうだけど? それが?」
コイツが何を考えてこんな質問をしてきたのか分からない。わたしは益々とイライラが募り、つい口調が荒くなった。
「あ、まぁ俺の勝手な想像だけど皐月って名前の人って5月生まれなのかと思ってね。 ほら5月の旧暦が皐月じゃん」
「…………」
「なら青柳って何月生まれなの?」
「……10月生まれ」
「10月か~……。 なら何で青柳は皐月って名前になったの?」
…………。
わたしが返答に困っていると返却者が楠木に話しかける。
楠木はそのまま返却係として対応を取る。
わたしが返答に困った理由はとても簡単だ。
早い話しが自分の名前の由来を知らなかった。
その後、楠木がわたしに話し掛ける事はなかった。
楠木は小説を読んだりスマホを操作したりとしている。
……話し掛けてきたり、こなかったり、この男が何を考えているのか本当に分からない。
たまに教室内でも、スカートの丈がどうとか、ニーハイ最高とか話している隣のエロ男子。
図書委員の仕事の間ずっと話し掛けてくると思っていたが……。
コイツはわたしみたいな無愛想女子には興味がないのだろうか?
それはとても嬉しいことだ。
だってわたしもコイツに興味ないもん。
受付業を淡々とこなしていく。
5時半になると下校時刻のチャイムが鳴った。
わたしと楠木は返却された本を本棚へ戻し、図書室に誰も居ない事を確認して扉の鍵を掛けた。
「んじゃ、俺職員室に鍵返してから帰るわ~。 青柳、家に帰るまでが図書委員の仕事だぞ~?」
ギャグのつもりかしら? ちっとも面白くない。
「ええ、さよなら」
「おう! じゃーなー!」
楠木は足早に廊下を歩き消えていった。
アイツと肩を並べて歩くなんて嫌だから助かった。
図書室で静かだった分の反動が押し寄せて来たらたまったものじゃない。
わたしも帰り道に楠木と出会わないように早歩きで廊下を歩いた。
……そういえばアイツとまともに会話したのは今日が初めてだったような気がする。
「何で青柳は皐月って名前になったの?」
そんな言葉がわたしの頭に残った。
※※※※※※
夕食の肉じゃがを食べている時だ。
その疑問をお母さんに聞いてみた。
「お母さん、わたしって何で皐月って名前になったの?」
「あら? 急にどうしたの?」
「……ふとそう思ったの」
「そうね……」
お母さんは持っていたはしを置いて、真っ直ぐにわたしを見る。
「皐月が生まれた時、雪が降って辺り一面真っ白だったのに、不思議と綺麗な月が出ていたわ。 …皐月、アナタは何月何日生まれ?」
「10月 22日だけど」
「そうね」
お母さんはそこでクスクスと笑う。
そして一端テーブルから離れて紙とペンを持ってくる。
「真っ【白】の【月】夜。【十】月【二】十【二】日生まれ。」
お母さんはそう言いながら紙に『白、月、十、二、二』と書いていく。
ここまでくるとわたしにも分かった。
だって何百回と書いてきた自分の名前だもの。
「……わたしの名前ってこんな遊び心で決まったの?」
「あ、分かっちゃった? お父さんが考えたのよ」
月はそのままとして、皐月の皐は
皐 = 白 + 十 + 二 + 二
……昔やってたクイズ番組みたいだ。
なんて事はない。
わたしがそう思うと、
「ただね、お父さん言ってたわ。皐月の皐には『神に捧げる稲』って意味があるそうよ」
「神に捧げる稲?」
「お母さんとお父さん、なかなか子供が出来なくてね。 そんな中やっと皐月が生まれてきてくれた……。 お父さん嬉しくて『神様にも生まれた子供にも感謝の気持ちを捧げたい』って意味を込めて、皐月、アナタは【皐月】になったのよ」
「……そっか」
とても照れくさくて、お母さんの顔を見れなかった。
わたしの皐月という名前。
その名前には遊び心と感謝の意味も、色々入っていたんだ。
「ただいま~!」
玄関からお父さんの声が聞こえてきた。
「あら、噂をすればお父さんね」
お母さんは玄関までお父さんを迎えに行った。
家の中ではだらしなく、お母さんに怒られてばかりのわたしのお父さん。
きっとお父さんは一生懸命、わたしの名前を考えてくれたのだろう。
最近、少しお父さんには冷たくしていたが少し優しくしてあげなくちゃ。
そうわたしが思っていると、ドタドタと廊下を走る音が聞こえると台所のドアが音を起てて開けられる。
「さ、皐月!」
「え? あ、おかえり」
「ああ、ただいま。 ……いや、そんな事よりも」
お父さんはそこで一回咳払いをする。
何によ?
「皐月、委員会に入ったそうじゃないか?」
「ええ。 今日、早速仕事してきたわよ」
「そうかそうか……。でだ、その……なんだ」
煮え切らないわね。何なのよ?
「どういうヤツなんだ?」
「……は? 何が?」
「だから……そのだな…………」
あたふたしているお父さんの背中からお母さんが顔を覗かせる。
「お父さんね、皐月の好きな人が気になるのよ」
「は!? 何よそれ!?」
「今日から皐月が委員会って話したから、お父さんってば珍しくこんなに早く帰ってきたのよ」
「お、おい! 母さん!」
意味が分からない。まだお母さん勘違いしていたの?
あれ程違うと説明したのに?
何故わたしの廻りには頭がお花畑な連中が多いのかしら……。
あの男も別の意味でお花畑だし。
「皐月、どーなんだ? その、変な男じゃないんだろうな? 父さんは軟弱な男は許さないぞ?」
「お母さんは皐月が好きになったの人なら誰でもオッケーよ?」
ブチッ!
わたしがよりにもよって楠木を好き? 冗談じゃない。
まだその辺の雑草の方が好感持てるわよ!
「だからあんな男! わたしのタイプでも何でもないわよ!」
「あらあら、やっぱり思い当たる人がいるのね。 でもね皐月、ツンデレなんて今時流行らないってお母さん思うよ?」
「皐月、そいつの写真とかないのか?」
「も~! 違うってば! 何で分かってくれないの!?」
その後、この2人には何を言っても信じてもらえなかった……。
※※※※※※
奇しくもわたしは楠木のおかげで自分の名前の由来と、改めて両親に愛されている事を知った。
アイツもたまには良いことをするもんだ。
だがしかし、わたしの気持ちは変わらない。
未来永劫変わる事はないだろう。
何度だって言ってやる。
わたし、青柳 皐月は楠木 京弥が嫌いだ。
――――と、この時のわたしはまだそう思っていた。
読んで頂きありがとうございますm(__)m
ホントは図書室での末武先輩とのやり取りは丸々1話やる予定だったのですが……正直自分の文章力では面白味のない話しとなったので大幅カットしました。
末武先輩……ごめんなさいm(__)m出番あるかな……?
次から段々と皐月ちゃんと楠木君がお近づきになっていきます。
次話は早ければ今月中には書けるかと思います。
ではでは~。