隣の男子はよく分からない男子だ   作:刹那的

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♯05 女子も歩けば男子に当たる。その2

 

 

ふと、時計の針を見てみると午後1時を過ぎていた。

 

今日は土曜日。

自室で返却されたテストの復習と次の授業の予習をしていたらすっかり昼を過ぎていた。

椅子に座ったまま大きく伸びた後、お腹が空いたので台所へと向かう。

 

台所に入るとお母さんがテレビを見ていた。

 

「あら皐月、勉強終わったの?」

 

「うん、昼はもう終わりにする。 夜にまたやるわ」

 

「勉強も大事だけどあまり根を詰めすぎないようにしてね?」

 

ええ、とわたしは短く返事をして椅子に座る。

 

「お父さんが焼そば食べたいって言ったから作ったけど皐月もお昼は焼そばでいい?」

 

「うん」

 

わたしが返事をすると、お母さんはフライパンの中の焼そばを温め直しす。

 

「皐月、この土日は何処か出かけるの?」

 

「ん? 今日は特に予定ないけど明日は友達と買い物に行くつもり」

 

わたしはテレビのリモコンを操作しながら応える。

と、何やらお母さんから視線を感じる。

 

「…………なに?」

 

ジロリと、母に問い掛ける。

 

「友達、友達ね~(笑)」

 

にやにやと嫌な笑みを浮かべるお母さんの顔を見て、ため息が洩れる。

きっとお母さんの頭の中では「明日は好きな男と買い物」に変換されている事だろう。

 

この前の図書委員の件からお母さんは(お父さんも)勝手にわたしに好きな人が出来たと勘違いしている。

わたしがあの男を好き?

仮にこの世界の男がアイツだけになったとしてもわたしがアイツと付き合うなんてあり得ない。

 

「はぁ~………」

 

わたしのため息なんてお構い無し。

その後もお母さんのマシンガントークが続く。

わたしが母親になったら絶対に娘にはこういう想いはさせないであげよう。

 

 

※※※※※

 

 

お腹を満たし、簡単な身支度をして家を出た。

1日中勉強ばかりだと流石に集中力が持たない。

早い話が気分転換というのはとても大事だとわたしは思う。

 

明日、みなぎと買い物をするのだからショッピングモール等をぶらぶらするのは勿体無い。

 

わたしは駅の近くの『ミツバ図書』に行くことにした。

『図書』と言ってもそこのお店は本だけではなく、CDやDVD、テレビゲームという物も取り扱っており暇潰しや気分転換の場所としてちょくちょく利用している。

 

少しばかりの運動がてら、歩くこと20分。

わたしはミツバ図書にたどり着く。

 

封がしてないファッション雑誌を読み、最近の流行や新作の服などをチェックする。

 

ここ2週間はテスト勉強でろくに遊んでなかったから本当に明日が楽しみだな~。。。

 

明日のプランを考えながらわくわくしてるその時だった。

 

 

「あれ? 青柳じゃん」

 

 

………………。

とてつもなく耳障りな幻聴が聞こえてきた。

 

あれ? 可笑しいわね。 勉強のし過ぎかしら?

さて、雑誌の続きを読み―――――――

 

「青柳もミツバ図書によく来るのー?」

 

…………………………………………。

わたしはギギギっと壊れた人形のように首だけを動かす。

 

「よっすーッ」

 

そこにはニカっと笑いながらわたしに挨拶をしてくる宿敵、楠木 京弥の姿があった。

 

最悪だーーーーー!

わたしの至福の休日が粉々に砕け散る。

何故コイツがここににいるの!?

 

あ!?

アンタ今わたしの生足チラ見したでしょ!!!

休日だからラフな格好でショートジーンズ掃いてるだけなのよ!!!

見るな! 変態!!!

 

「ええ、こんにちは」

 

わたしは素早く首を雑誌へ戻すと同時に楠木から2歩程遠ざかる。

 

「いやさ、テストも終わったからほしい小説を手に入れる為に俺ん家の近くの本屋行ったんだけどさー、そこに無くてよー、気が付いたらここまで来てるってわけ」

 

「そうなの、大変だったわね」

 

楠木が聞いても無いことを喋り出した。

 

「んでやっとここで買えたんだよ!」

 

「そう、おめでとう」

 

「そして帰ろうと思ったら青柳を見掛けたからさ、超ビックリしたんよー! 青柳ってこの辺に住んでるの?」

 

「………ええ」

 

「因みに俺はさ隣町に住んでるんだ~」

 

「そうなの」

 

「そーなの! はははは!」

 

笑う要素が何処にあったのよ………。

―――あ~、ダメだ。

やっぱり楠木と会話してたらイライラしてくる。

 

大体、今の会話でわたしがアナタを嫌ってると分からないのかしら?

意図して投げやりな返答しかしてないでしょ?

 

帰ろう。

わたしの脳がそう導き出す。

 

「楠木君、わたし――――――」

 

用事があるからもう帰るわ。そう言おうとしている最中だった。

 

「え? さ、皐月!?」

 

これまた聞き覚えのある声。

わたしは声が聞こえた方を向く。

 

そこには親友のみなぎの姿。

 

チャンス!!!

楠木から逃げれる!!!

 

わたしはこの神様から貰った千載一遇のチャンスを掴み取る為にみなぎへ駆け寄る。

 

「あら、みなぎ偶然ね」

 

「え? ちょっと皐月? な、何やってる?」

 

わたしの挨拶なんてお構い無し。

みなぎは駆け寄るわたし以上の速度でわたしへ積めよって来た。

 

「??? 何って?」

 

みなぎにしては珍しく押してくる感覚にわたしはたじろいだ。

 

暇潰しにミツバ図書に来ただけなのだが? あれ? 怒られる様なことしたかしら?

 

「や、だって……………」

 

みなぎはチラリと楠木の方を見る。

その視線だけでこの恋愛脳のみなぎが何を考えているかが想像付いた。

 

「みなぎ、良く聞きなさい」

 

わたしはみなぎの両肩を掴み顔を近づける。

そしてわたしとみなぎの態度が逆になる。

 

「わたしと楠木君は偶然、偶々此処で出会っただけなのよ。 分かった? 分かったよね? 分かるよね?」

 

反論なんて言わせない。わたしは全力の圧力をみなぎへ掛ける。

 

「は、はい! 分かりました!」

 

みなぎは先程の勢いを無くしてぷるぷると震えている。

しかしこれは勘違いをしたみなぎが悪い。

この男とデートしていた、何て思われるのは風評被害も良いところだ。

 

「やっぱ青柳と徳山って仲良いよな~」

 

楠木はわたし達のやり取りを見ながらゲラゲラ笑っている。

は? 何見てるの? て言うか早く帰りなさいよ。

 

「やっほー、徳山」

 

楠木はわたしにしたようにみなぎに向かい挨拶をする。

しかもアンタ今度はみなぎの胸ら辺見たでしょ?

本当に辞めてよ。アンタのそういう視線バレバレだからね? 気持ち悪い。

 

ここはみなぎを連れて早くこのスケベ男から離れましょう。

 

「それにしても徳山とはよく本屋で出会うよな」

「う、うん。そうだね。 ほ、ホント偶然だよね。 今日も小説?」

「そーそ、ほしい小説があってさー色々廻ってここで買えたんだ~」

「よ、良かったね! おめでとう」

 

 

んんん?

 

いつも通りべらべら大声で話す楠木。

そして何故かもじもじとしながらも楽しそうに楠木と会話するみなぎ。

え? みなぎ、楠木と仲良かったの???

と、言うか、あれ? 何よこれ?

わたしが独りぼっちみたいじゃない!

 

楠木から早く逃げたい反面、みなぎを置いて行く訳にも行かずわたしがおろおろとしていると、

 

「あ!!! そーだ!!!」

 

楠木が突然みなぎとの会話をぶったぎりポンッと手を叩く。

 

「青柳と徳山にさ、相談があるんだけどさー」

 

は? お願い? アンタが? わたしに?

 

「な、何かな? わたし達に出来る事なら相談に乗るよ?」

 

え、ちょ、みなぎさん? 『わたし達』ってわたしもコイツに協力するの?

 

「マジか! 助かるわー!」

 

いやいや、何勝手に話を進めてるの?

わたしの意見は?

 

わたしが途方に暮れてる中、楠木が相談を口にした。

 

「俺、中学2年生の妹が居るんだけど誕生日プレゼントって何にしたら喜ぶと思う?」

 

「プレゼント?」

 

わたしは不意に声に出してしまった。

 

「そそ、妹も中2になってませてきてさ、最近はおしゃれとか化粧とかも少しずつ覚えてきてんだ。

だから少しでも力になりたいし、妹に喜んでもらいたいんだけど俺、そーゆーの分かんねーんだよ………」

 

楠木はそう言いながら頭をがじがじと頭をかく。

 

………へ~。 以外。 妹が居ることも少し以外だったけどちゃんと妹の事考えてる「お兄ちゃん」をやってるんだ。

「少しでも力になりたい」「妹に喜んでもらいたい」

楠木って妹の事をちゃんと大事に考えてるんだ………。

 

わたしが楠木に感心していると、

 

「ま、任せて楠木君! わたしと皐月で妹ちゃんが喜ぶ素敵なプレゼント考えてあげるから!」

 

みなぎは豊満な胸元をどんっ!と、力強く叩いた。

 

え? わたしも?

 

「ありがとーー! 超助かるわー!!! 今からって2人とも空いてる?」

 

「う、うん! 私も皐月も今日は大丈夫だよ」

 

え? 何故みなぎが答えるの?

 

「よっしゃ! やる気がでて来たぜ! 確かこの近くにショッピングモールあったよな?」

 

「あるよ! ね、皐月?」

 

「え? ええ、まぁ………」

 

そこは明日みなぎと行く予定なのに………。

 

「決定やな! いざ行かん! ショッピングモールへ!」

 

ビシッと指を指す楠木。

 

「おーーー!」

 

とても楽しそうにみなぎが拳を空へ掲げる。

 

そして楠木がずんずんとミツバ図書の出口へ向かい、みなぎがその後を付いて行く。

 

―――――――――わたしの意見は?

 

「ほら皐月行くよ!」

 

みなぎに手を引かれてずるずるとわたしは引きずられながらミツバ図書を後にした。

 

 

 




無沙汰ですm(__)m
刹那的です。
毎度毎度の駄文を読んで頂き、本当にありがとうです。

………社会人というのを正直なめてました。
ここまで大変だとは   

とてつもない亀更新ですがゆっくりのんびりと最後まで書いていこうとおもいます。

ではでは~
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