…………暗い。
…………………寒い。
………………………そうか、俺、死んだんだ。
「そうだな、"オマエ"は死んだ、早かったな」
……早かった?
「ああいや、"こっち"の話だ、気にすんな」
……ああ…やっと思い出した、ココか。
「覚えてたのか、そりゃ話が早い、んで?どうだったよ」
………まあまあ、かな。
「その感じだと、満足してねえな?」
…………………………
「沈黙は是なり、だぜ?」
………満足なんてできるかよ、アホが。
「オーケーオーケー、なら"オマエ"は何がしたい?」
……何をしたいか、って聞かれると答えづらいな、でも、出来るなら、もうちょっとアイツらと一緒にいたかった………かな。
「ほーう、ならそんなお前に朗報だ」
………………?
「実は一人手違いでこっちに来てるやつがいてな、だがソイツはもう瀕死、後数時間も持たないだろう」
…だからどうした。
「"オマエ"の力をそこに倒れてるヤツに渡せ」
……何故だ。
「そうすりゃあいつは生き返る」
………それが俺にとって何の特になる。
「損得勘定は感心しねーぞ、ってかアイツの精神は既に無い、ただ形だけの、死にかけの人形だ」
……その体を使って生きろと?
「嫌ならいいんだぜ?」
……わかった。
「………問題ない…か?」
「ああ、上出来だ」
「だが俺の力も摩耗してきている、どうせ二年が限界だろう」
「だから俺が"コッチ"に呼んだ」
「……そうか、そろそろだったか」
「ああ…"オマエ"に…呪いを…渡すために」
「構わない、それでお前達が救われるなら、それで俺が生きられるなら一石二鳥だ」
「そう言ってくれると…有難い」
「なら、早く渡せ」
「そう焦るな、ほら、受け取れ、これが俺達の呪い、そして祝福だ、新しい形へとなった"オマエ"への」
「ああ、確かに、受け取った」
「ところで、お前、名前はどうするつもりだ?」
「さあな」
「無関心かよ、ちなみにそいつの元の名前は"神咲麻耶"女みたいな名前だろ?」
「別に気にはならないだろ」
「その名前使う気か?」
「いや……そうだな、真北、真北結絃、これで行こう」
…そうか、オマエはその名前でこれから生きるんだな。
「…時間か」
………ああ、元々俺達の存在は無いに等しいからな。
「……そうか」
……楽しかったよ、オマエと、オマエたちの人生を見れて。
「…俺もだ、悪くは無かった」
………そろそろ時間だ、行くよ。
「ああ、じゃあな」
……じゃあな……。
「行ったか…」
「寂しくなんてないのにな」
「寂しくなんてねえのによ」
「何でこんなに」
「こんなに涙が出てくるんだよ」
「ハハッ……俺もまだまだ子供だ…な」
そこに残された物は、真北結絃と名乗った青年、そして虚無の空間のみ、そして彼はこの先、様々な世界を見る。
時に魔法が一般化した世界。
時にすべてが崩壊した世界。
時に国を分かち戦争を行う世界。
時にとても平和な学生生活を送れる世界。
時に能力具と呼ばれる物を使い戦う世界。
そして彼は今、箱庭と呼ばれる世界にたどり着いた。