牙狼-紫月の救済-   作:ドンじゃらほい

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魔戒の迷宮やってます(なおフリック追いつけない老害
牙神 玖牙なんてのがいたらフレンド飛ばしてみるといいかもね(露骨なフレ募集


休-daily

【休-daily】

 

あくる日の朝、如月は流牙と莉杏に連れられ、二度目のグリント通りにやってきていた。

前回の、夜のグリント通りとは違う、朝のグリント通りは、また違う雰囲気と賑やかさを見せていた。

 

「相変わらずここはすごいなぁ」

 

「この街でここで手に入らないものはない、って話よ。そうしたらまずは服屋を探しましょうか」

 

「はいっ」

 

今日グリント通りに来た理由は、如月の日用品や服などを買うためである。

今まではなんとか騙し騙しやってきたものの、いつまでこの世界に居るのか、いつ元の世界に戻れるのかわからない以上、きちんとそう言った物は揃える必要があるのは明白であった。

 

「とりあえず動きやすい服と可愛い服と寝巻きと……」

 

「……俺別の店見てていい?」

 

早速女性の買い物に飽きた流牙に、呆れて溜息を吐きながら金を渡す莉杏だった。

 

「ならせめて別の買い物してきてよね!」

 

「わかってるよ……うっさいなぁ……」

 

ぶつくさ言いながら別の店に向かっていく流牙を見送り、如月と莉杏は再び服屋の中に入っていく。

いくつか目ぼしい服を見つけては試着し、組み合わせてはあーでもないこーでもないと悩む。

結局流牙が他の買い物を済ませて戻ってきてもまだ悩んでいるのであった。なお流牙は長いとキレた。

 

 

 

「髪は女の、私の命です」

 

「ハイ」

 

結局服屋で更に30分ほど悩み、選んだ服を買った次の店で、如月は服の時よりも真剣に整髪料を選んでいた。

 

「確かに凄くよく手入れされていたけど……そこまで執着は無かったわね……」

 

莉杏も感心する。確かに髪は大事なものであるためきちんと手入れはしてきたが、ここまで本気で髪を手入れしたことは無い。

流牙も口を出せずにいると、如月は思いの外早く商品を選んで戻ってきた。

ちなみにだが、このアスピナシティは英語も使われているが、日本語も使われているため、異世界からきた如月でも文字を読むことが出来る。日本語の形は変わらないようだ。

 

「お待たせしました」

 

「服屋の時より待ってないからいいよ」

 

「悪うございましたね」

 

「なんでもいいから、次行こうよ。俺もう腹減ったよ」

 

「朝にサンドイッチ10切れ近く食べてましたよね……」

 

談笑しながら店を出て、また別の店に向かおうとする3人。

だが歩いている最中、如月はふと視界に入った露天商の店に目を奪われる。

 

「……?如月ちゃん、どうしたの?」

 

それに気付いた流牙が如月に呼びかけると、如月はハッと気が付いたかのように視線をこちらに向ける。

 

「あ、あぁ、ごめんなさい、なんでもございません」

 

作り笑いを浮かべて近寄ってくる如月が見ていた店を見ると、その店にはいくつかの髪飾りが並べて置かれていた。

 

「あの店見てたの?」

 

「う……はい、あのピンクの花の髪飾り、あれと良く似たものを付けてたのですけれど……」

 

如月が指さしたピンク色の花びらの髪飾りは、確かに如月に良く似合うだろうと直感した。

だがなぜ今その髪飾りをつけていないのか、その答えは如月の話を思い出すことで簡単に導き出せた。

 

「……その、轟沈した時に、か……」

 

「……はい。睦月ちゃん--姉の元に届いていると、いいのですけれど、それも……」

 

悲しそうな表情を浮かべる如月を見て、流牙はその露天商の元へ向かう。

露天商は痩せぎすで禿げた老人で、こんな奴がこんな髪飾りを売っていることに驚き、店を間違えたかと思いそうになったが、気を取り直してすぐに声をかける。

 

「なぁ、これらの髪飾りいくらだ?」

 

「流牙さん!?」

 

如月が驚いて声を上げるが気にせずに老人を見据える。

老人は流牙を見上げるとまるで値踏みするように見つめ、しわがれた声で値段を言った。

 

「5000」

 

「なっ……高すぎよ!いくらなんでもそんなの暴利だわ!」

 

叩きつけられた値段に莉杏が抗議するが、流牙は莉杏の名前を呼んで静止すると自身の財布から金を取り出し老人に差し出す。

 

「好きに持って来な」

 

金を受け取った老人はあろうことか商品から目を外し、新聞を読み始めたではないか。

莉杏と如月が驚いている中、流牙は如月の言った髪飾りと、他に2.3個の髪飾りを手に取り、挨拶もなしに店を後にした。

そのまま莉杏と如月の元に来て、髪飾りを如月に渡した。

 

「はい。ついでだから予備とかもと思って多めに買っちゃった」

 

「は、はい……」

 

キョトンとしながら受け取る如月に対し、莉杏はどういうことか流牙に問いただす。

 

「これはどういうこと?一体なんだったのさっきのは」

 

そんな莉杏の問いに、流牙は歩きながら答え始める。

 

「別の店で聞いたんだけど、あの店主は観察眼が凄いらしくてね。こっちの身なりや連れ添い、何のために買うのかとかを瞬時に判断して、売る個数と値段をその場で決めるんだってさ。そりゃ少しは盛られるだろうけど、買う人にとっては十分適正な値段に感じられる。だからいいんだよ」

 

「へぇ……凄いのね」

 

流牙の話に莉杏は老人に対して感心する。

あの数秒でそんなことまで考えていたのかと思うと、老人の能力は凄まじいものだとわかる。

 

一方如月は押し黙り、髪飾りを見つめていた。

 

(……こんなにたくさん、いいのかしら……)

 

計4つの髪飾りを手に、器用に人を避けながら歩く。

いつも付けていた髪飾りを付ければいいのだろうし、流牙も予備と言っていたのだから全部無理につける必要はないのだが、どうにも悩んでしまっていた。

どれもが可愛らしい飾りであるのもそうだ。流牙の見立ては実際素晴らしく、どれもが如月に似合うし、如月の髪色を映えさせるだろう。

だからこそ悩んでしまう。

そしてそれ以上に、せっかく貰ったものを使わないでいるのが、本当に嫌だった。

元の世界にいた頃はここまで悩むことはなかった。そもそも物を貰うという経験が少なかったのもあるが。

だがここにきて余るほど物を貰う経験をして、どうしたらいいのかわからない。

それが、如月に悩ませる最大の原因となっていた。

 

「お昼何食べようか。この辺じゃあのカレー屋が美味しいらしいけど」

 

「いいんじゃないかしら。でも流牙、カレー跳ねさせないでよね」

 

「そんなことしないよ、子供じゃないんだから」

 

「下手な子供より子供っぽいところあるじゃないあなた。如月ちゃんの方が大人っぽいわよ」

 

「……反論出来ないのが悔しいな」

 

そうこうしながらも歩み進む流牙と莉杏に、一旦悩むのをやめて早足でついていく。

 

 

そしてそのカレー屋で食事をしている時、如月は一つの答えを見るのだった。

 

 

 

 

[ヂュユピサユミョルチナチカ]

 

「わかりました。今晩決行してください。調べた結果ターゲットの近くに居るのは旅行者達……男は消しても構いませんが女は残しておきなさい」

 

[ジョリ]

 

 

 

 

夜、部屋に帰宅した3人は順に風呂に入っていた。

風呂まで備え付けなあたり本当に凄い部屋である。

今は如月が入っていた。とは言っても入ったのが1時間前で、髪の手入れもそろそろ終わるだろうと踏んでいる莉杏は次に入る準備をしていた。なお流牙は一番最初に10分で出ている。

 

「……なんか、今日は楽しかったな」

 

唐突に、流牙が莉杏に話し始めた。

 

「何よ急に。まぁ、確かに楽しかったけど」

 

「『こっち』を知らない如月ちゃんが居るってだけで、違うもんだね」

 

「……ねえ、どうするの?」

 

莉杏が問いかける。その問いの意味を、流牙はキチンと理解していた。

 

「ここまで関わりあっちゃったけど、もう数日こっちでやれることをやったら警察にでも連れて行くつもりだよ。俺たちと一緒にいるより、遥かに安全だ」

 

笑みを消して、流牙が答える。

そこに迷いは無い。

 

「だったら最初からそうすればよかったんじゃない?今更突き放されても、あの子が苦しむだけよ」

 

「それは悪かったと思うけどさ、あの時持ってた艤装なんかを警察が見たら警戒するだろうし、それにやっぱ、被害者だと思ったからさ」

 

「……『イェルネ』の?」

 

「あぁ。やつがこの街のどこかにいるのは確実だから、奴に襲われて辛くも逃げ切ったのかと思ってさ」

 

「……如月ちゃんのことは一旦置いておきましょう。『イェルネ』はいったいどこにいるのかしら」

 

「全くわからない。ここまで情報が無いと逆にここにいるってのはわかるけどどこに隠れてるのか、さっぱりだ」

 

真剣な表情で会話を続ける二人だったが、浴室に続くドアが開いたことで纏っていた雰囲気を緩めた。

すぐに風呂から上がった如月が現れる。

 

「お待たせしました」

 

「全然。そしたら私が入ってこようかな」

 

「あ、莉杏さん」

 

「ん?なぁに?」

 

そのまま風呂へ向かおうとする莉杏を呼び止める如月が手を差し出す。

その手には、オレンジ色の花の髪飾りが握られていた。

 

「これって……」

 

「せっかく流牙さんが買ってくださったものを取っておくというのももったいないですし、かといって毎日変える……というのも節操なく思ってしまって。だから莉杏さんにもつけてもらいたく思って……」

 

如月が莉杏の目を見ながら話す。

 

それは昼食を取っている時だった。

カレーに舌鼓を打っていた時、ふと少し離れた席が目に入った。

そこに座っていた家族は、父親が子供にわざわざ3人分頼んだデザートを、更に自分の分まで子供にあげていた。

その姿を見て、如月は髪飾りを莉杏にあげることを思いついたのである。

 

「こんなことしたら流牙さんに失礼かもしれません。でも、こうしたいなって思って、だから……ごめんなさい、流牙さん」

 

一旦莉杏に伸ばしていた腕を下げ、流牙に頭をさげる如月に、流牙は笑みを浮かべて、如月の肩に手を置いた。

 

「そんなに気にしないでいいよ。俺が買ったとしても、如月ちゃんにあげた時点で君のものだ。だから君の好きにしていいんだよ」

 

「流牙さん……」

 

流牙の言葉に、如月は微笑む。

そして再び、莉杏に手を伸ばした。

 

「この色が莉杏さんに似合うと思いました。もし良ければ、受け取ってもらえますか……?」

 

心配そうに莉杏を見上げる如月。

莉杏は嬉しそうに微笑んで、その髪飾りを受け取った。

 

「ありがとう、如月ちゃん。大切につけさせていただくわね」

 

そう言って、これから入浴するにも関わらず、髪に飾りをつけていく。

頭の右側、如月と対象になるようにつけられたオレンジ色の髪飾りは、莉杏の美貌をより強調していた。

 

「……うん、よく似合ってるよ」

 

普段そういった服飾などに口を出さない流牙も褒める。

如月も満足そうに笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

その瞬間は、確かに幸せだった。

 

だが。

 

 

 

 

--ドンドンドン!

 

 

 

 

 

 

彼らに『普通の幸せ』は、与えてもらえない。




彼女は知った 自分が闇に見染められたと

彼女は抗った 迫り来る闇を

次回 戦-wolf

そして彼女は見た 黄金の輝きを




お待たせしました。おそらく次回、本格的な戦闘&ガロ登場です。
ただかなり長くなる可能性あります。まとめられないってつらいね!
あと激しいアクションを表現出来るか、挑戦になります。全然伝わらない場合はホラーに才能求めてきま(((
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