リアルが忙しかったり二、三年ぶりにアークス復帰してたら数ヶ月過ぎてました。
姫の中で最も好きなキャラクターは戦極姫5の大内義隆です。ビジュアルもボイスもドンピシャだったのです。
さて、前回が曹操の魏馬伝だとすると今回は銀河の魏馬伝となっております。
どうぞコンゴトモヨロシク!
―――戦場を男が駆け抜ける
男は女に仕える将だった。
かつては敵として女の行く手に立ち塞がり直接刃を交わす事もあったが、その武を買われ配下となり、いつしか腹心となった。
そんな男に併走するように二人の将が近づいてくる。
二人のうち背の低い将が男に声をかける。
「銀河!こっちには見当たらなかったぞ!」
次いでもう一人の背の高い将も声をかける。
「銀河殿、そちらは?」
「いや、まだ見つからないな」
銀河と呼ばれた男が馬を駆けながら返事をする。
次は何処を探そうかと考えていたところに前方から伝令兵が向かってきて叫んだ。
「馬超の一隊が曹操様の本隊に突撃を仕掛けています!」
「っやられた! 曹仁、曹洪、俺は先に行く!」
伝令を聴くやいなや銀河はなりふり構わず駆け出す。
心の中ではわかっている、曹操の横には夏侯惇がいるのだ。
万が一にも曹操の身に危険が及ぶ事は無いと、それでも心配でたまらなかったのだ。
曹操のもとにたどり着いたとき、銀河の眼に映ったのは馬超と夏侯惇が切り結ぼうとしている場面だった。
―――それは偶然だったのか必然だったのか、銀河は距離が離れているにも関わらず馬超の眼が夏侯惇を映していない事に気付いた。
それが意味する事を直感で察し、無我夢中で駆けて曹操の前に立ち塞がっていた。
「ぐっ」
鈍い痛みに銀河の苦しげな声が漏れる。
銀河の胸には深々と馬超の槍が刺さっていた。
銀河はその傷が致命傷であることを察しながらも途切れそうな意識を必死に繋ぎとめ目の前を見据える。
―――馬超をこれ以上進ませるわけにはいかないのだから。
「・・・・・・・・・・・・」
だが、銀河の視線の先に居たのは既に息耐えた馬超の亡骸だった。
銀河が無意識のうちに放った剣が馬超の胸を貫いていたのだ。
(・・・な・・・んだ・・・俺も・・・やりゃあ・・・できるじゃ・・・・・・ないか・・・)
薄れ行く意識の中で曹操を護れた事に銀河は安堵した。
徐々に体から力が抜けていく中、誰かが自分を呼ぶ声が聴こえた気がしていつの間にか閉じていた瞳を開くとそこには今まで見た事が無いほど狼狽した曹操の姿があった。
「・・・曹・・・操」
かすれながらも銀河が何とか声を出すと俯きかけていた顔を曹操が上げる。
「ぎ、銀河!!生きていたのだな!!」
「・・・・・・あぁ。・・・曹操は・・・無事か?」
「私は大丈夫だ、だから銀河も早く手当てを・・・」
そういいながら薬師を呼ぼうとする曹操を止め、銀河は告げる。
「・・・いいんだ、曹操・・・。必要・・・ない・・・。」
「なにを、なにを言っているんだ・・・銀河。早く傷の手当てをしないとだめだろう!!」
「もう・・・・・・わかって・・・るんだろ。俺が、・・・もう「わからん!!」」
銀河の言葉を遮り、曹操は震える声を絞り出す。
「わかって、わかって堪るか。私は許さないぞ、そんな勝手な事。これから、これからではないか。」
「・・・こまった、・・・奴だな・・・」
銀河は曹操の気持ちが痛いほど嬉しかった。だからこそ言わなければと言葉を紡ぐ。
「・・・お前は・・・・・・王だ・・・。なら・・・迷・・・うな、・・・立ち・・・止まるな。・・・安心・・・しろって、・・・ちゃんと・・・みて・・・いてやるから。」
そして傷から来るものとは違う痛みに顔をしかめながら、銀河は言葉を吐き出す。
―――別れの言葉を
「だ・・・から・・・・・・さよ・・・なら・・・だ・・・・・・。」
乱世に生まれ、乱世に生きた男は、その生涯を乱世の終結と共に閉じたのであった。
涼州の戦場跡に二人の子供が居た。
二人は孤児だ。盗みや物乞いなどは数え切れないほど行ってきた。
そうしなければ生きていけなかったからだ。
二人は死体の身ぐるみを剥がし金目のものを集めそれを取引して日々を凌いでいた。
二人の心休まるときは夜に揃って空を見上げながら他愛も無い話をするときだった。
だがその日はいつもと違い、未来についての話をしていた。
「なぁ、銀よぉ。」
「どうしたんだ、河?」
銀と呼ばれた子供が眠そうな顔をしながら聞き返す。
「いつか、二人であの夜空に負けないくらい綺麗なところに行かないか?」
「夜空に負けないくらいって、どこだよ?」
「そんなのわかんねぇけどさ、とにかく綺麗なところだよ。」
「まぁ、行けるのなら行きたいな。」
「じゃあ約束だからな、銀!」
そういいながら河は顔に笑顔を浮かべるのだった。
それからしばらく経った頃、二人の住処の辺りを豪雨が襲った。
近くを流れていた川が氾濫し、逃げ遅れた二人は濁流に流された。
辛うじて命を拾った銀は、自分と同じ様に河が助かっていることを信じて来る日も来る日も探し続ける。
そうして居る内に季節が一巡りし、銀は河がもう居ない事を認めざるを得なかった。
銀は慣れてしまった一人で眺める夜空に向かって誓う。
「河、俺は約束を果たしてくるよ。きっとあの夜空と同じくらい綺麗な場所を見つけてみせる。」
そして銀は意を決したように言葉を紡ぐ。
「二人で行くって約束だからさ、考えたんだ。俺は今日から【銀河】だ、俺たちはいつも一緒だ。」
そうして銀―――銀河は先の見えない道を歩み始めた。
それから三年、銀河は―――
―――銀河は森で行き倒れていた。
「うぅぅ、め・・・めしぃぃぃぃ・・・」
うなり声をあげながら。
ここ数日はおかしかった。
森で獣を狩ることにも大分慣れてきた銀河であったが、ここ数日は全く狩れなかったのだ。
別に銀河の腕が鈍ったとかそういったことではない、単純に獲物が全く見当たらないのである。
そうして居る内に限界が来て倒れたのだった。
「仕方ねぇ、その辺の草食べるしかねぇか・・・」
銀河は諦めて食べた事のない野草を食べる事を視野に入れ始めたとき、ガサガサと目の前の茂みが揺れた。
(・・・・・・キターーーーーーー!!)
銀河は獲物にばれない様に心で叫ぶ。
数日振りの獲物だ、逃げられるわけにはいかない。
茂みから出た瞬間を狙おうと息を潜めていた銀河は、其処から飛び出てきたものをみて固まってしまった。
何故なら出てきたのは待ち望んでいた獲物ではなく人だったからだ。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
二人の無言が続く。
銀河はとりあえず心を落ち着かせて相手を観察して再び固まった。
何故なら現れたのは少女だったのだが、とても美しく神秘的ですらあったからだ。
流れるような銀髪とそれに良く似合う白銀の美しい甲冑を纏い白磁の肌と幼さが仄かに残る顔に凛とした瞳を宿すその姿はまるで絵画から出てきた天女の様であった。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
二人の沈黙は続く。
(・・・え、何なの?俺から声をかけるべきなの?)
銀河が心の中でどうするべきが悩んでいると少女の出てきた茂みの辺りが再び揺れて今度は大柄な男が出てきた。
すると先程まで一瞬たりとも此方から視線を外さなかった少女が男に振り返り驚くべき事を言った。
「父上、あれが欲しい。」と
銀河はぼんやりとしながら、少女が声も凛としているなとかあの大男が父親なのかとか考えていたが先程の言葉の意味を理解したところで思わず叫んでしまった。
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
奇しくもその叫びは大男と重なるのだった。
今、銀河は食料を分けてくれた先程の大男と向かい合って話をしていた。
「ふむ、では名を銀河というのだな。」
「あぁ、あと孤児だから字とかはないからな。」
「そうか、では今度は此方だな。俺は馬騰寿成、一応この近くの地域を治めている。」
「はぁ!?あんた、お偉いさんだったのか?」
そんな銀河の驚きに馬騰は苦笑いしながら首を振る。
「そんな大したもんじゃない、普通に接してくれ。」
「そ、そうなのか。」
「あぁ、変に肩肘張られるとこっちが疲れるからな。で、銀河の上にいるのが・・・」
そういいながら馬騰は銀河の頭上に視線を向ける。
実は銀河の頭上には先ほどの少女が頭を乗せていたのであった。
銀河と馬騰が揃って叫んで立ち尽くしていたとき、少女は銀河に近寄ってきて抵抗する間もなく後ろから抱きしめて頭を乗せてきたのである。
その後なにを言っても離れようとしないので諦めて話をしていたのだった。
時折銀河の髪に顔を押し付けて「モフモフッ」といっている少女は馬騰の娘で馬超孟起という名前で自然の中で育てたからか普段は人一倍しっかりしているのだが時たま今のような謎の行動をするらしい。
それから暫く話をした二人は本質的な気性が近かったのか打ち解けあった。
また、馬超の強い要望もあったことから銀河は馬騰の養子として迎えられる事と成った。
「俺の養子になるんだから名前を考えないといけないな。」
「俺は名前を変えるつもりはないぞ?」
「あぁ心配するな、馬家の名前も必要になるだけだ。銀河が字となれば問題ないだろう?」
「なるほど、それなら構わないぞ」
「うぅむ、何がいいか・・・。」
そうして馬騰が悩んでいる時だった。
ずっと銀河の頭の上でおとなしかった馬超がポツリと呟いた。
「・・・・・・馬岱。」
銀河と馬騰は突然で吃驚していたが存外良い名であったからか二人して笑顔を浮かべた。
「うむ、良い名だ。」
「あぁ、そうだな。・・・養父さん、義姉さん、馬岱銀河これからよろしくお願いします。」
それから何年か経ったある日、手合わせをしていた銀河と馬超のもとへ馬騰は来るなり
「今から洛陽に行くぞ」と告げて二人を連れて涼州を発った。
洛陽に着いた翌日、馬騰が曹騰という人物と会談をするということでその付き添いを銀河と馬超がする事になった。
馬騰の部屋で会談をするとのことで少し待っていると先方が到着したようで扉が開き、一拍置いて入ってきたのは質素ながら上品な服を着た老人とその付き人らしき少女だった。
銀河は少女が部屋に入ってきてからずっと自分を凝視していることに気付いていたがあえて指摘せずに、馬騰や馬超のあまりにも大雑把な自己紹介に苦笑しながら自身も名乗り始める。
「二人とも適当すぎるぞ、まったく。すまないな、家の父上殿と姉上殿は口下手でな。俺は馬騰が子、馬岱銀河だ。銀河って呼んでくれ。」
自分の名乗りを聴いたときの少女の酷く辛そうな表情を見て、なぜか銀河は胸が締め付けられる様な気がした。
銀・・・銀河
河・・・銀の仲間の孤児
孟起様キャラ崩壊甚だしいのはご勘弁願います。
銀河が獲物を狩れなかった理由は馬超がいたからです。