仮面ライダー対プリキュア   作:狼と踊る男

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『助けて3人ライダー!? 止めてくれプリキュア鬼化計画!!』後編(終)

 

 

 

 

南乃島の空は、嘘のように晴れ渡っていた。

 

先ほどまでネオショッカーとの激しい戦いが繰り広げられていたとは思えないほど、海は青く、波は穏やかに砂浜を撫でている。

 

ひかる「わぁっ!?冷た~い!」

 

ララ 「ひかる!水をかけるなら先に言うルン!?」

 

ユニ 「言ったら避けられるでしょ?」

 

えれな「あははっ、二人とも元気だね?」

 

まどか「本当に……ですが、皆さんが無事で何よりです」

 

事件が終わり、ひかる達は浜辺で少しだけ休息を取っていた。

 

夏ではない為、水着ではない。泳ぐつもりはない。ただ、靴を脱ぎ、波打ち際で足を濡らしたり、貝殻を拾ったり、波から逃げたりしながら、年相応にはしゃいでいるだけだった。

 

 

 

その少し離れた場所。

 

 

 

筑波洋、城茂、一文字隼人の三人は、そんな少女達の姿を静かに見守っていた。

 

茂  「やれやれ。さっきまでネオショッカー相手に戦っていたとは思えんな」

 

一文字「それでいいんだ。あの子達は戦士である前に、普通の女の子なんだからな」

 

洋  「えぇ……」

 

洋も微笑んでいた。

 

だが、ほんの一瞬。

 

波打ち際でことは達と話している李苺鈴の姿が視界に入った時、その表情に影が差した。

 

一文字「どうした、洋?」

 

茂  「浮かない顔だな。まだ足が痛むのか?」

 

洋  「いえ、足の方は大丈夫です。ただ……」

 

洋は少し言葉を選ぶように、海へ視線を向けた。

 

洋  「苺鈴ちゃんが、アブンガーを見たと言うんです」

 

一文字と茂の表情がわずかに変わった。

 

茂  「アブンガーだと?」

 

一文字「ネオショッカーの怪人か」

 

洋  「えぇ。僕は、かつて元の時代でアブンガーと戦いました」

 

その名を口にしただけで、洋の脳裏にあの戦いがよみがえる。

 

アブのような不気味な姿。

 

人の隙を突く狡猾さ。

 

そして、普通の怪人とは違う、嫌な気配。

 

洋  「アブンガーは恐ろしい奴です。奴の狙いは僕だったのか。それとも……」

 

洋は、波打ち際で笑い合うひかる達を見つめた。

 

スターカラーペン。

 

プリキュア。

 

そして、平行世界を巻き込んだネオショッカーの計画。

 

アブンガーの狙いが、スカイライダーではなく、ひかる達『スター☆トゥインクルプリキュア』である可能性も否定できなかった。

 

洋の顔が、自然と険しくなる。

 

一文字「洋」

 

一文字の声は静かだった。

 

一文字「そのアブンガーの目的が何であれ、俺達は負けない。負ける訳にはいかない」

 

茂  「そういうことだ。相手が何を企んでいようと、叩き潰すだけだ」

 

洋  「……えぇ」

 

三人は再び、海で遊ぶ少女達へ視線を向けた。

 

遠目には、苺鈴が花海ことはに向かって情けないほど平謝りしているように見えた。

 

一文字「はははっ。どうやら苺鈴ちゃんは、ことはちゃんには頭が上がらないらしいな」

 

茂  「なるほどな。あの子も相手によっては弱いわけか」

 

洋  「ですね」

 

三人の表情が、少しだけ和らいだ。

 

 

 

ひかる「筑波さーん!」

 

 

 

突然、ひかるの声が浜辺に響いた。

 

 

 

悲鳴ではない。

 

 

 

呼びかけだ。

 

洋  「ん?」

 

次の瞬間、白いボールが洋の方へ飛んできた。

 

洋は片手でそれを受け止める。

 

ひかる「皆でビーチバレーしましょうよ!」

 

ララ 「せっかくコートもあるルン!」

 

洋  「コート?」

 

洋が砂浜を見ると、いつの間にか立派なビーチバレー用のコートが出来上がっていた。

 

ネットも張られ、ラインまで綺麗に引かれている。

 

ことは「はー! 作ってみた!」

 

みらい「すごいよ、はーちゃん!」

 

一文字「よし、いっちょやるか!」

 

一文字は軽く肩を回した。

 

洋も、茂も、苦笑しながら少女達の方へ歩き出す。

 

その直後だった。

 

空の上から、何かが落ちてくる音がした。

 

ロロ(G)「たーすーけーてールゥゥゥン!?」

 

全員「え?」

 

時間差で、空から「がんがんじい」が真っ逆さまに落ちてきた。オカッパ奉仕の皿が割れてから何故か今頃になって落ちてきた。

 

ドスンッ!!

 

浜辺の砂が大きく跳ね上がる。

 

落下した場所には、見事ながんがんじい型の穴ができていた。

 

ララ 「ロロ!?」

 

茂  「やれやれ。しょうがない、助けてやるか」

 

洋  「行きましょう」

 

茂と洋が駆け寄り、砂浜に頭から突き刺さっているがんがんじいを引っ張り出す。

 

ズボッ!

 

ロロ(G)「ぷはぁっ!?助かったルン!」

 

だが、出てきたがんがんじいは、全身海藻まみれだった。

 

頭にも、肩にも、背中の旗にも、べったりと海藻が絡みついている。

 

えれな「ぎゃあ!? 海坊主!?」

 

えれなは驚きのあまり、近くにいた苺鈴にしがみついた。

 

苺鈴 「ちょっ!? えれな!?」

 

迷惑そうに一瞬眉をひそめた苺鈴だったが、すぐにその表情が微妙に変わった。

 

苺鈴 「ぁっ……胸が、ぉぉっ……意外と……」

 

ことは「苺鈴?」

 

ちょっと幸せを感じている苺鈴と背後から、花海ことはの低い声。

 

はな 「出たね、ネオショッカーの新怪人! なんちゃって?」

 

はなが茶目っ気たっぷりに言うと、がんがんじいは海藻を振り払いながら怒った。

 

ロロ(G)「失敬な!? 僕は宇宙一のがんがんじいルン!」

 

ロロは近くに落ちていた木の棒を拾い、ぶんぶんと振り回した。

 

ロロ(G)「こうなったら、がんがんじい怒りの大反撃ルン!」

 

ひかる「わぁっ!? 逃げろー!」

 

ララ 「ロロ、危ないルン!」

 

ユニ 「完全に遊んでるわね」

 

茂  「まあ、いいんじゃないか?」

 

一文字「今くらいはな」

 

木の棒を振り回すがんがんじいから逃げるひかる達。

 

 

 

だが、その顔に恐怖はない。

 

 

 

笑い声が浜辺に広がっていく。

 

 

 

波が寄せては返す。

 

青い空の下、戦士達はほんの少しだけ、年相応の時間を取り戻していた。

 

洋はその光景を見つめ、静かに息を吐いた。

 

アブンガー。

 

ネオショッカー。

 

まだ終わっていない脅威はある。

 

それでも今だけは、この笑い声を守れたことを、確かに感じていた。

 

洋  「……必ず守る」

 

その小さな呟きは、波の音に溶けて消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に少しだけ時は遡りロロ(G)が落ちてくる数分前・・・

 

海で遊んでいたプリキュア組に視点が移る……

 

はな「さっきのお返し!それ!!」

 

『野乃 はな』が両手いっぱいにバシャッ!と海水を『星名 ひかる』に向けて放つ。「さっきのお返し」とは恐らく安請け合いして厄介ごとを押し付けられた事だろう…

 

だが顔は笑っている。遊びの延長でちょっとした仕返しのようだ

 

海水の水しぶきを浴びた「ひかる」とそのそばにいた「まどか」が楽しそうに笑っているのがじゃれ合いの類としてこの行為を完成させている。

 

そしてそんな「まどか」の事をじっと見つめている『李 苺鈴』に気付いた「まどか」は苺鈴に尋ねた

 

まどか「どうかしました?」

 

苺鈴 「いやね?やっぱりあなた、そっちの楽しそうな笑顔の方が似合ってて可愛いなぁっ~て思って」

 

まどか「かわっ!?」

 

そういえばまどかというかひかる達も本編の中で『かわいい』と言われている場面があまりというかほとんど見なかったような気がする……

そんな不意打ちに近い誉め言葉に少し赤面していた

 

まどか「お口が上手な方なのですね苺鈴さんは?」

 

苺鈴 「本音なんだけどな~?」

 

リコ 「苺鈴。あなたはーちゃんの前でよく堂々と口説けるわね?」

 

苺鈴 「なんでそうなるのよ!?だって私にとってはウニデーモンに操られてた時のこの子の印象がまだ強いからさ!?はっ!?」

 

出会ってからの時間が短いせいで苺鈴の中ではまどかの印象がまだ敵だった時寄りだった。そして背を向けた「ことは」の肩がプルプル震えている。これは早く怒りを鎮めなければ!?の奴だ

 

苺鈴 「あっあのぉ~・・・ことは?これは違くて?」

 

恐る恐る苺鈴がことはの肩にポンと手を置く。振り返ったことはを見て苺鈴は思わず「ひぃっ!?」と浅瀬に尻餅ついた。なぜなら「ことは」は鬼の形相……というよりも鬼面(きめん)を着けていたのだった。それに驚いたようだ?

 

ことは「はー!引っかかった!引っかかった!」

 

苺鈴 「ことはー!」

 

ことは「にしし」

 

苺鈴 「もぉお尻濡れちゃったじゃないのよ。後で乾燥機借りなきゃ」

 

えれな「ことは。すっごく楽しそう」

 

みらい「まぁ当然かも?はーちゃん苺鈴と海に来たがってたし?」

 

えれな「そうなの?」

 

みらい「そうそう。実は私達『元の世界』ではさ今「夏休み」の真っ最中なんだけどね?少し前に皆で海に行く約束してたんだけど苺鈴が急にプリキュア合宿についていくって、一緒に海であそべなくなっちゃってさ?」

 

えれな「あら」

 

みらい「その時に、はーちゃんすっごく怒ってたからさ?正直あの時のはーちゃん。なのはちゃんと一緒になって怒って、すっごく怖かったんだよね。いやぁ~プリキュア鬼化計画がつぶれて本当に良かったよ。鬼になったキュアフェリーチェなんて洒落(しゃれ)にならないだろうし・・・」

 

えれな「そうなんだ・・・」

 

「なのは」とは誰なのか分からなかったが、とりあえず修羅場だったことは想像できたえれなであった

 

苺鈴 「まぁでもお面で良かった。これがウニデーモンに操られたことはだったらどれほど恐ろしかったことか……」

 

ことは「苺鈴ひどい!?もぉ!苺鈴なんか知らないもんね!」

 

苺鈴 「えぇ!?そんな機嫌直してよ?ね?ことは?・・・」

 

ことは「ぷいっ!」

 

苺鈴 「ことはちゃ~ん?・・・ことはさん?・・・ことは大明神(だいみょうじん)さまぁぁ~!?」

 

ひかる「ヨイショが古いな?」

 

ツンとすることはに対して情けない雰囲気で平謝りを続ける苺鈴の様子にひかるは後頭部に汗をかいた・・・

 

そんな様子にリコは「仕方ないわね?」と一息ため息を吐いた

 

リコ 「ねぇはーちゃん。皆でビーチバレーしたいからボールとコート、魔法で作ってくれないかしら?」

 

ことは「いいよ!キュアップ・ラパパ!」

 

リコの頼みにことはが魔法を描く。その隙に苺鈴とリコの距離が近づいた

 

苺鈴 「助かったわリコ。ありがとう!」

 

リコ 「ふふん。狙い通りだし?」

 

苺鈴 「お礼にチューしてあげる。ほらムチュー!」

 

リコ 「いらないし!?っていうかそういうところがはーちゃん怒らせるんでしょうが!?この無節操(むせっそう)!?」

 

3の口でリコの頬に迫る苺鈴とそれに抵抗するリコ。これは完璧にギャグな雰囲気の奴である

 

ひかる「あははは・・・ぉっ?」

 

苺鈴とリコのやり取りを見ていたひかるは視線を変え、洋達へ。ビーチボールを手に、彼らに向き直った

 

ひかる「筑波さーん!」

 

そしてビーチバレーの下(くだ)りへと戻っていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……『もう一つのエピローグ『苺鈴外伝』組』……

 

 

 

 

 

みらい「さようなら~!!」

 

みらいは大きく手を振った。魔法界の空を飛ぶララのロケットに向けて……

 

場所は並行宇宙『仮面ライダーが実在しない』世界。事件が終わり、みらい・リコ・ことは・モフルン・苺鈴はララ達に元の並行宇宙へと送ってもらい、別れを済ませたところであった

 

みらい「行っちゃった・・・」

 

リコ 「大変だったわね」

 

ことは「でも他のプリキュアや仮面ライダーに会えたのはすっごくわくわくした!」

 

モフルン「プルンスのドーナッツおいしかったモフ!」

 

苺鈴 「そうね?にしても、欲を言ったら解放されてるって話の他の仮面ライダー達にも会って見たかったなぁ~。ナシマホウカイに帰ったら仮面ライダーのDVD見よっと」

 

みらい「そういえば次の仮面ライダーってなんだっけ?ゴーストの次のライダー?」

 

因みに『仮面ライダーが実在しない世界』では西暦2016年だったりじゃなかったりする……

 

苺鈴 「仮面ライダーエグゼイドよ。お医者さんとゲームがモチーフの仮面ライダー。今回のライダーも楽しみだわ!」

 

リコ 「ゲームとお医者さん・・・なんか変な組み合わせね?」

 

苺鈴 「そう?プリキュアにだって色んなタイプがいるんだし変とは思わないけどね?」

 

みらい「確かに。私達は魔法使いのプリキュアで、ひかるちゃん達は宇宙のプリキュア」

 

ことは「はなはチアガールのプリキュアだったよね?」

 

苺鈴 「見た感じそうよね?そのうちゴーストみたいに幽霊なプリキュアとか、エグゼイドみたいにお医者さんとかゲームのプリキュアなんか出てきたりして?」

 

リコ 「幽霊のプリキュアは流石にどうなのよ?」

 

微笑(びしょう)しながらこの場を後にして魔法学校へと帰路に就く5人。

 

まさかこの後、割とすぐに再び並行世界へと迷い込み、『筑波 洋』の先輩である5人目の男とひかる達『スター☆トゥインクルプリキュア』の後輩にあたる地球の医者達と出会うことになるのだが、それはまた「本当に」別の話……

 

 

 

 

     続く

 

 

 




『おまけ』



下書きプロンプト

最初の浜辺で水遊びをするひかる達女子組(水着ではないので泳ぐことはない)→年相応にはしゃぐひかる達を見て微笑ましく見守っている筑波洋・城茂・一文字隼人の3人→苺鈴を一瞬視界に入れた洋は一人浮かない顔を浮かべる→二人に問いかけられた洋は答える→洋「苺鈴ちゃんがアブンガーを見た。と言うんです」→かつて、元の時代でアブンガーと戦った時のことを思いだす洋→洋「アブンガーは恐ろしい奴です。奴の狙いは僕だったのかそれとも・・・」→思わず少し険しい表情のままひかる達に視線を向ける洋(アブンガーの狙いがひかる達『スタートゥインクル!プリキュア』の可能性が考えられた為)→一文字「そのアブンガーの目的が何であれ、俺達は負けない。負ける訳にはいかない・・・」→洋「えぇ・・・」→再び視線を海で遊ぶ皆に向ける。遠目で見ると苺鈴が「花海ことは」に対して情けない雰囲気で平謝りを繰り返している様子が見えた→改造人間特有の鋭い聴力により苺鈴が平謝りしている理由が聞こえた一文字が「はははっどうやら苺鈴ちゃんはことはちゃんには頭が上がらないらしい?」と微笑ましく笑っている→それに同意見で相槌する洋と茂→ひかる「筑波さん!」→ひかるが叫ぶ。絶叫ではない→洋に向かってバレーボールが飛んでくる→ひかる「皆でビーチバレーしましょうよ!?」と3人ライダーを遊びに誘う→一文字「ドッチボールやサッカーじゃ俺達出番無いからな?よし!いっちょやるか!?」とスーパーファミコンのゲームのメタな発言をする一文字→ちなみにいつの間にかことはの魔法で浜辺には立派なビーチバレー用のコートが設置されていた→混合チームに分かれようとしたその直後、空から時間差でがんがんじいがひかる達のすぐ付近に真っ逆さまに降ってきた→茂「やれやれしょうがない助けてやるか?」と茂と洋が浜辺に埋まっているがんがんじいを救出→海藻まみれのがんがんじいを見て『えれな』が「ぎゃあ!?海坊主!?」と恐怖でそばにいた苺鈴にしがみつく。ちょっと迷惑そうな苺鈴だったが、腕に絡む柔らかい感触に「ぁっ胸が、ぉぉっ意外と・・・」とぼそっとつぶやいてまんざらでも表情を浮かべるものだから「花海ことは」に「苺鈴?…」と疑いのまなざしを向けられてた→はな「出たねネオショッカーの新怪人!なんちゃって?」と茶目っ気を見せる野乃はな→怒ったがんがんじいが木の棒を振るいながら一同を襲う(怒り任せではなく、場面の雰囲気としてはじゃれ合いのレベル)→一同も逃げながらも笑い合い、今の状況を楽しんでいた→この話は終了
















下書きの流れに沿って、エピローグ第1場面として作成します。事件後の安心感を出しつつ、アブンガーへの不穏さを少し残す形にしました。

 

 

 

 
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南乃島の空は、嘘のように晴れ渡っていた。

 

先ほどまでネオショッカーとの激しい戦いが繰り広げられていたとは思えないほど、海は青く、波は穏やかに砂浜を撫でている。

 

ひかる「わぁっ!?冷た~い!」

 

ララ 「ひかる!水をかけるなら先に言うルン!?」

 

ユニ 「言ったら避けられるでしょ?」

 

えれな「あははっ、二人とも元気だね?」

 

まどか「本当に……ですが、皆さんが無事で何よりです」

 

事件が終わり、ひかる達は浜辺で少しだけ休息を取っていた。

 

もちろん、水着ではない。泳ぐつもりはない。ただ、靴を脱ぎ、波打ち際で足を濡らしたり、貝殻を拾ったり、波から逃げたりしながら、年相応にはしゃいでいるだけだった。

 

その少し離れた場所。

 

筑波洋、城茂、一文字隼人の三人は、そんな少女達の姿を静かに見守っていた。

 

茂  「やれやれ。さっきまで怪人相手に戦っていたとは思えんな」

 

一文字「それでいいんだ。あの子達は戦士である前に、普通の女の子なんだからな」

 

洋  「えぇ……」

 

洋も微笑んでいた。

 

だが、ほんの一瞬。

 

波打ち際でことは達と話している李苺鈴の姿が視界に入った時、その表情に影が差した。

 

一文字「どうした、洋?」

 

茂  「浮かない顔だな。まだ足が痛むのか?」

 

洋  「いえ、足の方は大丈夫です。ただ……」

 

洋は少し言葉を選ぶように、海へ視線を向けた。

 

洋  「苺鈴ちゃんが、アブンガーを見たと言うんです」

 

一文字と茂の表情がわずかに変わった。

 

茂  「アブンガーだと?」

 

一文字「ネオショッカーの怪人か」

 

洋  「えぇ。僕は、かつて元の時代でアブンガーと戦いました」

 

その名を口にしただけで、洋の脳裏にあの戦いがよみがえる。

 

アブのような不気味な姿。

 

人の隙を突く狡猾さ。

 

そして、普通の怪人とは違う、嫌な気配。

 

洋  「アブンガーは恐ろしい奴です。奴の狙いは僕だったのか。それとも……」

 

洋は、波打ち際で笑い合うひかる達を見つめた。

 

スターカラーペン。

 

プリキュア。

 

そして、平行世界を巻き込んだネオショッカーの計画。

 

アブンガーの狙いが、スカイライダーではなく、ひかる達『スター☆トゥインクルプリキュア』である可能性も否定できなかった。

 

洋の顔が、自然と険しくなる。

 

一文字「洋」

 

一文字の声は静かだった。

 

一文字「そのアブンガーの目的が何であれ、俺達は負けない。負ける訳にはいかない」

 

茂  「そういうことだ。相手が何を企んでいようと、叩き潰すだけだ」

 

洋  「……えぇ」

 

三人は再び、海で遊ぶ少女達へ視線を向けた。

 

ちょうどその時だった。

 

ことは「苺鈴?」

 

苺鈴 「ごめんなさい! 本当にごめんなさい! さっきのは違うの! そういう意味じゃなくて!」

 

ことは「ふーん?」

 

苺鈴 「ほんと! 本当に! フェリーチェが鬼化したら怖いとか、そういう意味じゃなくて!」

 

ことは「今、言ったよね?」

 

苺鈴 「言ってない! いや言ったけど! でも違うの!」

 

遠目には、苺鈴が花海ことはに向かって情けないほど平謝りしているように見えた。

 

改造人間特有の鋭い聴力でその理由まで聞き取っていた一文字は、思わず小さく笑った。

 

一文字「はははっ。どうやら苺鈴ちゃんは、ことはちゃんには頭が上がらないらしいな」

 

茂  「なるほどな。あの子も相手によっては弱いわけか」

 

洋  「少し安心しました」

 

三人の表情が、少しだけ和らいだ。

 

ひかる「筑波さーん!」

 

突然、ひかるの声が浜辺に響いた。

 

悲鳴ではない。

 

呼びかけだ。

 

洋  「ん?」

 

次の瞬間、白いボールが洋の方へ飛んできた。

 

洋は片手でそれを受け止める。

 

ひかる「皆でビーチバレーしましょうよ!」

 

ララ 「せっかくコートもあるルン!」

 

洋  「コート?」

 

洋が砂浜を見ると、いつの間にか立派なビーチバレー用のコートが出来上がっていた。

 

ネットも張られ、ラインまで綺麗に引かれている。

 

ことは「はー! 作ってみた!」

 

リコ 「ことは、こういう時だけ妙に手際がいいわね」

 

みらい「すごいよ、はーちゃん!」

 

一文字「ビーチバレーか。ドッジボールやサッカーじゃ俺達に出番は無いからな」

 

茂  「何の話だ?」

 

一文字「いや、こっちの話だ。よし、いっちょやるか!」

 

一文字は軽く肩を回した。

 

洋も、茂も、苦笑しながら少女達の方へ歩き出す。

 

ひかる「チーム分けどうしよっか?」

 

えれな「人数多いから、混合チームにした方が面白そうだね」

 

はな 「いいね! フレフレ、ビーチバレー!」

 

まどか「本気になりすぎないように注意しましょう」

 

ユニ 「それ、ライダーの人達に言った方がよくない?」

 

その場に笑いが広がった。

 

その直後だった。

 

空の上から、何かが落ちてくる音がした。

 

ロロ(G)「たーすーけーてールゥゥゥン!?」

 

全員「え?」

 

時間差で、空からがんがんじいが真っ逆さまに落ちてきた。

 

ドスンッ!!

 

浜辺の砂が大きく跳ね上がる。

 

落下した場所には、見事ながんがんじい型の穴ができていた。

 

ララ 「ロロ!?」

 

ひかる「空から降ってきた!?」

 

茂  「やれやれ。しょうがない、助けてやるか」

 

洋  「行きましょう」

 

茂と洋が駆け寄り、砂浜に頭から突き刺さっているがんがんじいを引っ張り出す。

 

ズボッ!

 

ロロ(G)「ぷはぁっ!?助かったルン!」

 

だが、出てきたがんがんじいは、全身海藻まみれだった。

 

頭にも、肩にも、背中の旗にも、べったりと海藻が絡みついている。

 

えれな「ぎゃあ!? 海坊主!?」

 

えれなは驚きのあまり、近くにいた苺鈴にしがみついた。

 

苺鈴 「ちょっ!? えれな!?」

 

迷惑そうに眉をひそめた苺鈴だったが、すぐにその表情が微妙に変わった。

 

苺鈴 「ぁっ……胸が、ぉぉっ……意外と……」

 

ことは「苺鈴?」

 

背後から、花海ことはの低い声。

 

苺鈴の背筋が凍った。

 

苺鈴 「な、何でもないです」

 

はな 「出たね、ネオショッカーの新怪人! なんちゃって?」

 

はなが茶目っ気たっぷりに言うと、がんがんじいは海藻を振り払いながら怒った。

 

ロロ(G)「誰が怪人ルン!? 僕は宇宙一のがんがんじいルン!」

 

ロロは近くに落ちていた木の棒を拾い、ぶんぶんと振り回した。

 

ロロ(G)「こうなったら、がんがんじい怒りの大反撃ルン!」

 

ひかる「わぁっ!? 逃げろー!」

 

ララ 「ロロ、危ないルン!」

 

ユニ 「完全に遊んでるわね」

 

茂  「まあ、いいんじゃないか?」

 

一文字「今くらいはな」

 

木の棒を振り回すがんがんじいから逃げるひかる達。

 

だが、その顔に恐怖はない。

 

笑い声が浜辺に広がっていく。

 

波が寄せては返す。

 

青い空の下、戦士達はほんの少しだけ、年相応の時間を取り戻していた。

 

洋はその光景を見つめ、静かに息を吐いた。

 

アブンガー。

 

ネオショッカー。

 

まだ終わっていない脅威はある。

 

それでも今だけは、この笑い声を守れたことを、確かに感じていた。

 

洋  「……必ず守る」

 

その小さな呟きは、波の音に溶けて消えていった。

次の2場面目は、**魔法つかい組・はな・苺鈴側の別れ/今後の協力確認**にすると、事件後の整理としてつながりやすいです。




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