スター・プロファイル   作:さけとば

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9. しばらくのお別れ

《おひさー、みんな元気でやってるー?

 いかにも重大イベントありそうなクロスではちゃんと自粛してた、この私が再び来ましたよ! 

 

 私これでも、みんなの冒険の邪魔しないようにめっちゃ気ぃ使ってるんだからねっ!

 ……つーかぶっちゃけ、こんなとこで見つかっちゃったら目も当てらんないしい?

 

 

 という事でまあ……

 最終的にとっちめられるかもしんないとか、もう知った事じゃないって開き直る事にしたよね私はうん。

 これからも外野は外野らしく、あのコ達を勝手に見守っていこうじゃないの、そうしようじゃないの。

 

 

 うふふ、みんなの冒険がどういう結末になるのかもさっぱりわからない!

 楽しみだなあ、マジで!

 あは、あはは、あーっひゃっひゃっひゃっ……ごふっ、げふ、げふん……》

 

 

 ☆★☆

 

 

 王様やら城下町の人達に話を聞き、クロス周辺も至って平和であるという事を改めて確認したレナ達一行は、翌日さっそくクロスを発った。

 今は全員で、街道上を東に向かって歩いている。

 

 道が二手に別れる所まで行けば、クロードやセリーヌ、マリア、ソフィアの四人とはお別れだ。

 クロード達は街道を北上して、港町クリクへ。

 残るレナ達四人はこのまま東へ歩き、マーズを経て、港町ハーリーに向かう事になる。

 

 

 今日中に二手に別れるという事で、出発前にパーティーで共有していた荷物を二つに分けておいた。

 前の冒険で残っていたわずかなお金に加え、アーリアを出る時に村長レジスに貰った餞別金、それと昨日クロスの王様からも貰ってしまった餞別金も、クロードとレナで半分に分けた。

 贅沢さえしなければ、他三人が全くお金を持っていなくとも十分に旅ができる額である。

 

 それにしても今思えば、みんなお金の事なんて全く考えずに旅していたわけだ。

 レナ達含めて行きあたりばったりとしか言いようがない行動だが、まあこうして人様のご好意でなんとかなっているのだから、その辺は細かく気にしない事にしよう。ようは旅ができればいいのだ。

 

 

 そんなこんなで準備に多少時間がかかったので、宿を出たのも少々遅い時間になった。

 現在はお昼ぐらいには分岐点の辺りに着くだろうか、といった具合である。

 

 このままの調子だと、今日は街道の途中でそのまま一泊する事になりそうだ。旅慣れている自分達はともかく、他のみんなにとって、野宿というのはどうなのだろうか。

 そう思ったレナがクロスを出た直後に、野宿がダメそうな人筆頭、お嬢様のレナスに聞いてみたところ。

 

「今日はバーニィ使います?」

「歩きましょう」

 

 むしろ徒歩以外ありえない、みたいな答えが返ってきたので、現在もこうしてひたすらてくてくと歩いているわけだ。

 ……まあお嬢様はお嬢様でも旅が趣味だって言ってたし、野宿とかも比較的大丈夫なんじゃないだろうか。現にこうしてアーリアからサルバの間を徒歩で移動し、クロスからさらに歩き続けていても、特に疲れた様子はなさそうだし。

 

 

 ちなみに未来人のみんなも、「野宿なら野宿でも別に」といった様子だった。せいぜいソフィアが「キャンプと言ったらカレーですよね、マリアさん!」とはしゃいでいたくらいか。

 

 フェイト達はどういうわけだか旅にも慣れているらしい。

 十賢者倒せそうなほどに戦い慣れしている様といい、なんかよくわからないけどさすがは未来人だ。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 分かれ道に着いた後。昼食を食べたレナ達は、いよいよ二手に別れる事になった。

 向こうの方では、セリーヌとレナスが最後の挨拶を交わしている。

 

「あなたの顔を見るのもこれで最後ですわね。さみしいけど、そうなることを願っていますわ。向こうに帰っても元気でね、レナス」

 

「ありがとうセリーヌ、いろいろ親切にしてくれて。短い間だったけど、あなたといられて本当に楽しかった」

 

 他のみんなは一通りエクスペルを巡った後、何もなければまたこのクロス大陸に戻ってくる事になっているけれど、レナスだけは違う。旅の途中で探している“帰り道”が見つかったら、そのままその道を通って、彼女が元いた世界に帰る事になっているのだ。

 

 最後とはいっても通信機があるわけだから、本当の本当にお別れ、というわけではないけれども。

 それでもこうやって直に話す機会がなくなるというのは、今まで仲良く旅してきただけに、寂しさもひとしおなのかもしれない。

 

 二人とも本当に気が合いそうだったものねと、自分がお別れするわけでもないのに、二人を見てレナがなんだかほろ苦い気分になっていると。

 セリーヌが声をひそめてレナスになんか言っている。

 

「それじゃ、レナの事は任せましたわよ」

「……。ねえセリーヌ、あの話は」

「私にできる事なら協力は惜しまないって、あなたもちゃんと言いましたわよね? 忘れてませんわよ、わたくしは」

 

 聞こえてるし。一瞬でも感動した自分があほらしい。

 恋のキューピッドとか間に合ってますから。人の事より自分の恋愛どうにかしてくださいよ、王様の言葉伝えても結局「そうですの」の一言で終わりだし。

 

「……ええ。できる事があるなら協力するとは言ったわ」

 

 レナスさんもなんでそんな口約束しちゃうかなあ、とレナが呆れて見ている中。

 レナスは仕方なさそうにセリーヌに答えている。きっとそんなのどうでもいいから早く寝たかったんだろう、その時のレナスさんは。ものすごい眠そうだったもの、次の日の朝。

 

 やっぱりあの時「夜ふかししちゃダメでしょ!」って言いに行くべきだったな、と思いつつ二人から目を移す。

 フェイト達の方は、仲間内で最後にもう一度旅の目的を確認しているようだ。

 

 

「んじゃ、それなりに探し回ってみるか」

 

「せめて転送妨害装置か何かは見つけたいわね。聞いた話だと、エルリアタワー辺りが怪しいと思うんだけど」

 

「うーん。こんな嫌がらせする奴が、そういう設備が整ってる安直な場所選ぶかな? 妨害装置ってそもそもそんな場所とるような物でもないだろ? どこかその辺のダンジョンにひっそり潜んでる可能性の方が高いような……」

 

 嫌がらせ前提で話が進んでいる。

 どうやら“宇宙ヤバい”原因探しはそこそこに、転送装置が使えない原因および、ふざけきった信号送りつけた今回の元凶を探し出す事に力を入れる事にしたようだ。

 なにやら未来っぽい小型の機械を手に、数値が変化したポイントが怪しいからそこを重点的にどうたらこうたらなどと、レナには全く分からない話を繰り広げている。

 

「どういうわけだか重力波の数値は正常そのものだから、電磁波の変化を探るしかないわね。自然現象を除外できないのは歯がゆいけど……まあゼロから探るよりは全然マシでしょ。幸いにしてここは未開惑星だし。これであぶり出せるかはともかく、考え方としては間違っていないはずよ」

 

「とりあえず今は変化なしか。クロス洞穴にでもいてくれたらよかったのに」

 

「ちょいと乗り込んで絞めあげれば終わりだしな」

 

 あの機械はかなり遠くの場所の数値とやらまで調べる事ができるらしい。

 ここから少し離れた場所にあるクロス洞穴の方角を向いて、フェイトがやれやれと呟き、クリフが肩をすくめて話をまとめた。

 

「結局、地道に歩き回るしかねえってことだな」

 

 憂鬱そうなみんなに対して、ソフィアだけはなぜか楽しそうだ。

 たぶんキャンプしたいだけなんだろう、きっと。真面目な話し合いの中でも、ひとりだけ緊張感ない顔してたもの。

 

「帰りたいって言ってたのは、どこの誰だったかしらね」

 

「考えたんですよ、わたし。せっかく英雄のみんなと旅できるんだったら、思いっきり楽しんじゃった方がいいんじゃないかって。どうせ宇宙の危機なんてありっこないんですし」

 

 にこにこ笑顔で言うソフィアに、マリアはありえないとばかりに眉をひそめる。

 代わりに、隣で聞いていたクリフがぽんと手を打って答えた。

 

「なるほど、状況を楽しめってか。こりゃ嬢ちゃんに一本とられたな」

 

「何も考えてないだけでしょ、この子の場合」

 

「まあいいんじゃねえの? どうせいたずら犯とっちめるだけの旅なんだしよ。一般人なら一般人らしく、たまにはバカになる事も必要だぜ」

 

「……。どうだか」

 

 クリフがなにやらいい感じにマリアに言って聞かせている横で、「バカは否定しないんだな」と口をすべらせたフェイトがソフィアに睨まれた。

 

「どうしてそういう事ばっかり言うのよ!」

「あ、いや、今のは、そういう意味で言ったんじゃなくてさ……」

 

 

 そんなみんなの様子を、レナはクロードと二人でさっきから見ているわけだ。

 

「賑やかな旅になりそうだね」

「ふふっ。そうね、わたしもそう思うわ」

 

 みんなを見ながら言うクロードに、レナも笑顔で答える。

 どうせ何か大変な事があるわけでもない。レナもソフィアみたいに、せっかくだからこの旅を十分に満喫しちゃうつもりである。

 

 ただひとつ、レナスの旅の目的の方は大変な事だけど──

 

 それにしたって真面目に考えすぎても、どうにかなる話でもないし。

 頑張って“帰り道”を探すついでに、せっかくだからこの際彼女やフェイト、クリフと一緒に、仲良しこよしで旅をしたいと思ってもバチは当たらないはずだ。

 

 

 レナスさんが帰れなかったらどうしようといった心配は、なぜかレナの頭には浮かんでこない。

 たぶん、きっと大丈夫。

 旅を続けていけばフェイト達の事もレナスの事も、きっとどうにかなるはずだ。

 

 フェイト達はこの時代のエクスペルの平和を確認して、元の時代に帰り。

 レナスは“帰り道”を無事見つけ出し、元いた世界に帰っていくのだろうと。

 根拠もなにもないけど、レナはごく自然にそう考えているのだ。

 

 

 

「それじゃ、そろそろ行こうか」

 

 みんなの話が終わった頃に、クロードがこれからの旅の仲間に声をかける。しばし時間をおいて、セリーヌ達がクロードの周りに集まってきた。

 レナもクロードと距離をとり、レナを待っていた三人の仲間の元へ向かう。

 

「これからよろしく、レナ」

「頼りにしてるぜ、嬢ちゃん」

「どこまで一緒に行けるか分からないけど、もう少しの間世話になるわね」

「みんな、これからもよろしくお願いします」

 

 四人でそんなやりとりを交わした後。

 

「じゃあレナ。また後でね」

「ええ、クロードも頑張って」

 

 クロード達に別れを告げたレナ達四人は、いよいよ東の方角──、ラクール大陸へと向かって歩き出したのだった。

 




一章終了。
次回はSO3三人組のプロローグです
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