幻想郷の犯罪者による異変解決 作:ピリオド
神聖な場所は嫌いだ
一人の16歳くらいの少年は心情でそう呟く。
スキマで作った結界を壊し、抜けた後神社に祀られる神のオーラを感じたからだ。
「嫌いな場所に降り立ってしまったな……だが懐かしいなァ? 博麗の巫女さんよォ」
「いいお茶ね。はぁ~生き返るわ」
私の名前は博麗霊夢よ。幻想郷と呼ばれる外から隔離された世界で、長年続く妖怪退治及び異変解決を仕事とした博麗家の現代巫女よ。
博麗家は代々昔から受け継がれ私は13代目。私が産まれたのもこの博麗神社。だけど親の顔は知らないし、見たことも無い……。
博麗神社とは私が住んでいる神社で幻想郷の二大柱。幻想郷の東の端にあるとされ、幻想郷と外の世界を隔てて、博麗大結界の境目に位置しているわ。
おっと。また魔理沙ね。
「おーい。霊夢ぅ! 」金髪の少女言う 「弾幕ごっこしようぜ」
この金髪で男勝りの少女は、私の数少ない友達。背は私より低く、名前は『霧雨魔理沙』よ。服は白黒で白い部分は何時もエプロンと思ってしまう。初めて聞いた時もあったが返答は忘れちゃった。この際どうでもいいけど。その白黒の服と同系色の帽子を被り箒に跨り空を飛んでいる。だって彼女は魔法使いだから。ま、幻想郷で弾幕ごっこする人間、妖怪は殆ど飛べるのだけどね。
「毎日、毎日弾幕ごっこだなんて。程があるでしょ」
「いやいやいや。毎日するからこそやりがいがあるんじゃないか?」
弾幕ごっこと言うのは……と言うより先に『スペルカードルール』について話した方がいいかもね。
スペルカードルールは、幻想郷内での『異変』を解決するための手段とし、 人間と妖怪が対等に戦う場合や、強い妖怪同士が戦う場合に必要以上に力を出さないようにするための戦闘ルールであるわ。格闘で戦う例外もあるけど、主に弾幕で戦闘するため、『弾幕ごっこ』と魔理沙はよんでいる。最近作ったばかりでやってる人は私たちぐらいだけど。あ、作ったのは私と八雲紫という大妖怪が創ったの。
『スペルカード』とは、基本的にあらかじめ技の名前と命名してお いた名前の意味を体現した技をいくつか考えておき、それぞれの技名をカードに記した契約カードを任意の枚数所持して、カードを主に弾幕を形成した物が使われることが多い。人によって使う系統が違い、私は結界や札を使ったスペルカードや弾幕が多いわ。
体力が尽きるかすべての技が相手に攻略された場合は負けを認め、たとえ余力が残っていても使う枚数を全部攻略されたら、負けを認めなくてはならない。技の美しさにも一目置かれていて、美しさを競うという面もある。
魔理沙は必死にその弾幕ごっこをしようと私に縋ってくるが、お茶を啜り「はい、はい」と適当に返事する。
でも、面倒臭いという理由もあったけどもう一つ理由があった。それまでは平穏としていた博麗神社。しかし、博麗神社の階段を登る妖怪の妖気に私は気付いていた。こんな
「博麗ちゃんよォォォォ! またまた時代が代わったようだが現時代の博麗の巫女も……御世話になるぜェ!!」
「な、なんなんだぜ!? こいつ! 霊夢の友達か!?」
「知らないわよ、こんなヤツ。だけど一つ言える事は歴代博麗の巫女に何回もお世話になっている様ね!」
「ああ。今世紀こそ殺してやりゃァ!!」
この妖怪がいた階段の最上階から、私達がいた賽銭箱の所まで何mかあるのに一気に攻め込んで接近戦に持ち込んで来た、男の妖怪。どんな脚力しているのよ! そして、性格。なんて、狂気に堕ちた狂喜の笑みよ。全く不気味じゃない。
男の癖に獣耳まで生やして……そして、あの黒いオーラ。それは体から常に出ている。初めて見たものでも無いし、妖力の力は入っていても妖力とは別物だったわ。そう、あれは影を妖力で具現化したものだった。つまりコイツは『影の妖怪』とも考えれるが、獣耳が生えているということは、獣人系の妖怪と影の妖怪のハーフなのだろうか。そう考えなければ新種の妖怪だろう。だが、それも有り得ない。何故なら奴は『歴代博麗の巫女』を何代か知っている様な言葉を発した。負け惜しみをしているという事は毎回負けているということであろうけど昔の人を知っているということは新種では無い。
そして、他に不気味なのは瞳が普通よりも小さい赤で、白目部分が大きい。白目範囲が広いせいかそれも不気味だったわ。
赤目は狂気を感じった。小さい目が小さいのに大きい禍々しさの狂気を出していたわ。
「あんたは誰? 何の為にこの博麗神社を狙ってきたの?」
「名前は虚鵜夢 無影様だ。目的はねぇーよ!」
「霊夢! そこを退け! 恋符『マスタースパーク』」
「あぁぁ?」
魔理沙の持つ八卦路と呼ばれる陰陽が描かれた非緋色金で作られたアイテム武器。そして、そこから放たれる魔理沙の切り札『マスタースパーク』。黄色の光線が轟音を鳴らし無影と呼ぶ男の影を消し去る。
攻撃が終わったのか、八卦路をしまう魔理沙。そして、肩目を閉じ私にウインクする。我が友達ながら呆れるわ 。 勿論敵の姿は消し沈んでいた。
「とでも思ったか!? 糞ガキ共がァ」
「なに!? アレをもろに当たってどう無事でいられるんだ!」
「……。やはり、影の妖怪という事ね」
「勘がいいな? 霊夢だっけ? ギャッヒャ! 今までの博麗の巫女で一番頭が良さげな霊夢ちゃんよォォ?」
この男、私を褒めると同時に弄ぶ。が、ペースに乗らないよう私は無視する
「そう、俺は半分影の妖怪の血が流れている。 さっきの魔法使いの攻撃。あの攻撃を受ける直前、影に入り込んだ。俺は影に入ると一部の技を除き無敵状態になるんだ。そして、移動することが出来る。 普通影は動かねぇが、俺なら動かせる。しかも、普通影がない部位にもな!」
「こ、これは!」
「影の鞭か!」
「ギャヒャヒャヒャヒャ!
影の妖怪の肩から出る数本の黒い影の鞭。それぞれ長いが伸びたり撓る長さに一定距離があるそうで、私と魔理沙は空に逃げる。幻想郷の住民は霊力や魔力を一定量持っていれば人間でも空を飛べる。妖怪等は生れつき飛べる。だけど、この妖怪は……
「テメェーら! 降りてぇ来い!」
「なんだ!? アイツ空を飛べねぇのか?」
「影の妖怪だから空は飛べないのかしら?」
「まぁいい……。空に飛べなくともこの遠距離殴打攻撃からは逃げれねーからな!」
「遠距離に、殴打……矛盾しているぞ?」
「フン。
そう言うと、影の妖怪がいる地面の影の範囲が広くなり何かが渦めいた。そして、一回水が下るようなトプンという音が鳴るとグワッと黒い手の拳が現れ私は避けるが魔理沙は避けると言うよりも逃げたの。それは何故なのか……それは何処までも追跡する遠距離の拳だったからだわ。
その
あくまで単一単技の技というデメリットを持つが、弾幕のような技みたいに古い弾が消えさる事はなく、伸び続ける腕は空中に一ミリも動かずに残ったままである為に、逃げるれば逃げるほどスペルカードルールで必要なスキマがどんどん狭くなる。
箒で逃げる魔理沙もこれには苦戦していた。
「ちくしょーしつこいんだぜ!?」
「魔理沙! 拳以外にも腕も当たり判定だわ。それとこの技はあなたの逃げ道を少し先読みして腕に当たるように誘導しているわ! 同じところばかりではなく遠くにも逃げるように。追跡スピードはあなたよりも遅いわ」
「チィ(こいつ! そこまで。金髪女よりも先に狙えばよかったか?)」
「分かった。サンキューな霊夢」
「さてと、私は……」
「クッ! こっちを追跡し直せ!
さっきまで魔理沙ばかりを狙い撃ちにしていた影の追跡腕。だけど私が妖怪に向かい、魔理沙が遠くに逃げたと同時に、向きをいきなり変え追跡腕は私を狙うようになる。だけど無駄よ。もう貴方の弱点は分かったわ。私は今からそれを検証する為、一つのスペルカードを出す。
「 神技 『八方龍殺陣』 」
「何ぃ。糞が」
やはり。彼は私が全方位弾幕、 神技 「八方龍殺陣」を出すと腕を目にも止まらぬ速さであれ程の長さを全部元に戻し、自分自身は影の中に逃げる。いきなり殺人衝動を私たちに見せつけた癖に陰気な奴なのよこの妖怪は。
技や能力はチートだけどコツが分かれば馬鹿でも避ける技だわ。後はどうやって影に入り切る前に倒すかが問題だわ。あの伸縮スピードでは現段階では更に弱点を見つけない限り倒すことは出来ないわ。残りスペルカードは5枚……。魔理沙は……まだ帰ってこないか。一対一。瞬時に決めなければ私は負ける。
「私の残りスペルカードは5枚」
「あぁん?」
「5枚無くなりあんたが立っていればあなたの勝ち。突破できなくって貴方が立っていろうが無かろうがその時は私の勝ちよ」
「ホオォ。知らん間にそんなルールが幻想郷にあったのか。随分優しくなっちまったなぁ? 俺の憎しみは解決してねぇっていう話なのによぉ?」
「憎しみ?」
「あぁ。俺は随分前の博麗の巫女に親を殺されたんだァ。更には、紫は幼い俺を抹殺しようとした。種族が危険だからだとよぉ。」
「紫が!」
「だから俺は憎しみを無関係の人にぶつける殺人鬼になっちまった」
「……」
「さてと、やるか。影よ集まれ! 圧縮圧縮、影を圧縮ゥゥ!」
「……。はぁ」
私は彼の過去の話を聞き同情した。何故普段、普通の人間にも同情したりしない私が同情するのか自分自身に深いため息をついた。
が、一つ分かったこと。それは親のいない哀しみ。そのせいなのかもしれない。私にも、彼にも親はいない。だからなのかな?
これは恋……なのかな。いや、ないないないない。私に限ってそんな事は。でも私はこの妖怪を倒した後助けたい。と思った。初めてだわ。この気持ちわ。でも手加減だけはしない。
私はスペルカードを出す。「 夢境『二重大結界』」 名前の通りに二重に結界を張る弾幕形式で、そこに赤御札弾、黒御札弾を発射するもの。
弾幕は私から白い結界と、それなりの大きさになる青い結界と陰陽玉を8つ展開し、 陰陽玉の半分から白クサビ弾、 もう半分から赤 クサビ弾が連なって射出され、 白クサビ弾は反時計回り、赤クサビ弾は時計回りに回転する。撃たれた弾は青い結界で消え、白い結界の内側から出てくる。 そして、再度青い結界に触れると消滅する…… ように見えるが実際は白い結界の外側へと射出されている。
「グッガァ!!? くそ、頭が」
「ん? (こいつ! 結界系や封印系に弱いのかしら?)」
「くそ、このままではこれがラストになるかもなぁ」 そう言うと、圧縮した影が玉になる。 「酷玉!」 無影は腰と脚から八本以上の影で作った脚を何回にも渡り地面にぶつける事で飛べないはずの妖怪が飛ぶ。
掌で圧縮・乱回転させた影の塊を対象に叩き込む、直接攻撃のようね。当たったらさすがの私でも耐えれないわね。だけど彼は私がスペルカードを発動させたと同時に痛み出した。つまり……今は弱っている。
「それにしても凄い脚力ね」
「影脚……必要最低限の影の手足を地面に何本も着けその脚力で飛んだり跳ねたり、移動したり避けたり。攻撃は出来ねぇが優秀な力だ。さて、くらいな! 酷玉!」
「弾幕が、次々とその玉で消される……力が弱ってもその程度の威力という訳ね。だけど。終わりよ霊符『夢想封印』!」
「な! 罠だったのか! 俺は……そんな」
見慣れない天井……。この感じ神社か。……神聖な場所は嫌いだ。って事は俺はまた負けたのか。
「起きたようね」
「……。あぁ。負けたようだな。俺は」
怒った表情の巫女。博麗霊夢って言ったか? まぁ、そりゃそうだろうな。さて、焼くなり煮るなり消すなり好きにしろ。
だが、巫女は何故か普通の顔に戻す。
「ねぇ? あなた、一緒に住まないかしら?」
「はぁ?」
考えも見なかった言葉が帰ってきた。俺は今まで歴代の博麗の巫女を攻撃したどころか、今世紀の博麗の巫女とは初対面だ。なのに帰ってきた言葉は「一緒に住まないかしら?」という言葉だった。あんな酷いことをしたどころか俺は犯罪者なのにだ。
「あなた、家族が居なくって寂しかったんでしょ? 私も居ないからその気持ち凄くわかるわ。しかも、博麗の巫女に殺されたから恨んでいる。だったら償いとして一緒に住まないかしら?」
「……考えてみる」
「ええ。すぐにとは言わないわ」
俺は何故か反論出来なかった。
その時、茶の間にあの金髪の魔法使いが居たらしく、そいつが大声で博麗の巫女を呼ぶ。
「おい! 霊夢! 空を見てみろ! 」
「空が……真っ赤な霧に包まれている…… 」
「異変か……」
「ふふふ。今日、幻想郷は私達、紅魔館の主……私の物になる」
ヒロインは博麗霊夢にします。
あと、今作では厳しい霊夢よりも優しい霊夢よりにしました。