定食屋兼居酒屋の店主になった俺の店に知り合いばかり来店するんだが 作:やましょー
あ、どうも皆さん。筑波隼人です。
朝と夜はまだ冷えますけれども昼間はポカポカとした陽気で、運動をしている方々からしたら辛くなってくるであろうこの季節。今日はあの2人の話をしようと思います。
俺が密かに応援しているあの2人の出会いの話を。
あれはμ'sが解散してから数週間後の春真っ盛りの季節の事。
彼女、西木野真姫は音楽室にてピアノを弾いていたそうです。
「〜〜〜♪」
学年が上がり学校も騒がしくなっていたが、桜の葉が散り、代わりに青葉が茂り始めると同時に学校の雰囲気も落ち着いてきたようだ。
しかし真姫は新学期になってから毎日放課後、音楽室にてまるで1年前の真姫に戻ったかの様にピアノを弾いていた。
μ'sが解散してからまるで自分が自分で無くなったような感覚に襲われていた真姫。
父の病院を継ぐ為にも日々勉強に取り組んではいるが、どうも集中出来ないでいた。
みんなはもう前に進んでいる様に見え、自分だけが取り残され未だにこうやってピアノを弾き歌わなければそれこそ本当に自分を見失いそうになっている自分が真姫はもどかしく、でもどうしようもできずにいた。
「はぁ…今日はもう帰ろうかしら」
そう言い音楽室を施錠し、職員室に音楽室の鍵を返して学校を後にした。
μ'sの影響で学校の入学希望者は増えたが、新入生が憧れたμ'sのみんなは、μ'sの『西木野真姫』はもういない。
「私。どうしたらいいの?」
きゅっと唇を噛み俯いて歩いているとドンッと誰かにぶつかってしまった。
「あっ、すみません!」
すぐさま頭を下げ謝る真姫だったが相手が悪く誰の目から見ても関わると面倒だと言わんばかりのチャラそうな2人組の男だった。
「あれぇ〜もしかしてμ'sの西木野真姫ちゃん?」
「うわラッキー。実際に見るとホント可愛いね!ねぇ俺たちと遊ばない?」
「いや、そうゆうのはちょっと…」
μ'sとして有名になってからはよく色々と話しかけられたりしいていたが、いつも隼人や光太郎と一緒にいたので2人が追い払ってくれていたが今日はあいにく1人だった。
「つれないねぇ〜ぶつかっといてそんな事言うんだぁ〜」
「どうせμ's辞めたんだし暇でしょ?だったら俺らと遊ぼうよ!」
1人の男が真姫の手を掴もうと手を伸ばした
が、
「なぁあんたら。彼女怖がってるだろ」
突如真姫の背後から手が伸びてきて男の手を振り払った。
いきなり現れた手に驚き1人の男が声を上げる。
「何だお前!関係ねぇだろ!」
「んなの当たり前だろ。でも困っているだろこの娘」
そう言い真姫と2人の男の前に立ち男達を睨みつける。
そんな彼は2人よりも身長が高く髪は真姫ほどでは無いが少し赤い毛が混じっている黒髪で男達を睨みつけている目は鋭く男達が一瞬怯んだほどだった。
「こっのクソガキがぁぁぁ!」
「はぁ、面倒くさっ、と」
「うおっ?!」
1人の男が彼に殴りかかったが彼は殴りかかってきた男を軽く受け流し男はバランスを崩して真姫の後方で倒れた。
「はっ!」
まさか躱されると思っていなかったのだろう。もう1人の男は信じられないといった顔をしており彼がその男に殴りかかろうとした時
「やめて!もういいわよ!」
彼は真姫の言葉で男の眼の前で拳を止めた。
「ヒ、ヒィ!」
「逃げろ!」
2人の男は走り去りその場には真姫と彼だけが残った。
彼は振り向き真姫に向かって歩いてきた。真姫がさっと身構えギュッと目を瞑ると、彼は慌てた様な声を出した。
「そ、そんな身構えなくても大丈夫ですよ」
「へ?」
真姫は予想もしていなかった反応をされ思わず変な声が出た。真姫が彼の顔を見ると先程までと同じ人物だとは思えない程彼はオロオロとしていた。
「すみません。よ、余計な事しちゃいましたかね?でも困っていた様に見えたからつい…」
最後の方は小さな声でボソボソと言ったのであまり聞こえなかった。
「ふふっ、あははははは!」
真姫はそんな彼がなぜか笑いが止められなかった。まるで性格が変わったかの様な彼が面白くて仕方がなかった。
「そ、そんなに笑う事ですか…」
「ご、ごめんなさい。助けてくれてありがと。私は西木野真姫よ」
まだ笑いが止まらない真姫だったがしっかりとお礼と自己紹介をする。
「僕は村雨大介です。真姫さんですか…いい名前ですね」
大介に名前を褒められ、ついドキッとしてしまう真姫だったが1つ気になることがあった。
「自分で言うのも何だけど、私の名前どこかで聞いた事無いかしら?」
「西木野…真姫…」
うーんと深く考え始める大介だったが、すぐにあっと声を上げた。
「μ'sの…西木野真姫さん!?」
「ヴェェ…今頃気づいたの?」
「あまりアイドルとかに興味がなくて…。でもこんな所で会えるなんてホント運がいいみたいですね」
「つッ…!」
男性に対する免疫が全く無い真姫はボッと顔から火が出そうなぐらい顔が赤くなった。
「どうかしましたか?」
「ヴェェ!な、何でも無いわよ!」
「す、すみません…」
「べ、別に怒っていないから大丈夫よ」
しょんぼりとしてしまった大介に慌てて訂正をする。
「大介だったわよね。その…私と…友達にならない?」
「へ?」
「だーかーら、私と友達にならないって言っているのよ!」
「じゃ、じゃあ…宜しくお願いします…」
「真姫さん!」
「って感じだったらしいよ」
「へぇ〜真姫さんと大介さんそんな出会い方だったんだ」
店のカウンターではなく二階の私室にて高坂穂乃果の妹の高坂雪穂とたわいも無い会話から発展した話を終え隼人はお茶を一口飲んだ。
「まぁそこからは真姫が段々と大介のことを好きになっていったらしい」
「でも大介さん気づいてないんじゃないんですか?」
「うーんそこは俺の推測だけど大介は『真姫さんが自分のことを好きになる筈がない』って思っているんじゃないかな?あいつグイグイいくタイプじゃないし」
「確かに」
「まぁいつかあいつ自身も自分の想いを伝えられる日が来ると思っているから大丈夫だろ」
「そうですね。大介はやるときはやる奴ですから」
そう言ってから雪穂はあることを思い出した。
(そういえば大介前に好きな人がいるっていっていたような…)
(まさか…)
「ハァ…ハァ…ハァ」
夜の桜並木を走る一つの青年と思われる男性の影があった。あたりは暗く誰もいないかに思われたがまだ花が殆ど散らずに残っている1本の桜の幹にもたれかかっている女性がいた。
「ハァ…ハァ…真姫さん!」
青年がそう叫ぶと桜の幹にもたれかかっていた女性がふと青年の方を向く。その瞬間ビュオッと強い風が吹き
「誕生日…おめでとう…」
桜の花びらと共に1人の青年の愛する女性への言葉が舞った。
前回も告知しましたが活動報告にてこれからの執筆についてのご報告があるので見てもらえると助かります。