定食屋兼居酒屋の店主になった俺の店に知り合いばかり来店するんだが   作:やましょー

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どうもやましょーです。
今回は番外編のような本編のような少し曖昧な感じになっております。


番外編
お粥に鮭フレークは必需品だと思っていたり


「へぶしゅん!」

 

くしゃみをした事による振動で頭に乗せていた濡らしたタオルがずり落ちたので再び頭に乗せ直した。

あ、どうも筑波隼人です。皆さんもうお分かりかと思いますがそうです。風邪をひきました。

店主である俺が風邪で店を開ける事が出来ないので何時も来てくださっている常連さんには申し訳ないですが今日は臨時休業にさせてもらう事にしたんですが…。

 

「………」

 

やはり1人だと寂しいな。1人暮らしって色々と楽だけど反面寂しさをふとした時に感じるからなぁ。

そんなことを考えていると段々と睡魔に襲われてきた。

日頃の疲れも溜まっていたせいかだんだんとまぶたが重くなってきて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぶしゅぃん!!?」

 

ガバッと起き上がると先程と同じように額から濡れたタオルがずり落ちた。どうやら自分のくしゃみに驚いて起きたようだ…。

時計の針は既に一時を回っており、先程と同じように濡れたタオルを額に置き直す。風邪のせいで普段より熱を帯びている額にひんやりとした感覚が伝わってくる。

…それにしても寝る前と冷たさが変わっていないような。むしろさっきより冷たい。

更にこの家に俺以外にも誰かが居る気配がする。布団から起き上がり、ゆっくりと障子を開け台所へ足音を立てないように向かうと、

 

「…海未?」

 

台所にいたのはμ'sきっての大和撫子にして俺の幼馴染の1人園田海未だった。

そういえば3人は俺の家の鍵を隠してある場所知っているんだよな。といっても海未と会うのは数ヶ月振りになるはずなんだけど、どうしたんだろうか?

不思議に思った俺はまず海未が何をしているのか気になり台所にこっそりと向かうが、気配を感じ取ったのだろうか海未はこちらに気付いた。

 

「あ、隼人!まだ熱があるんですから寝ていなくてはダメじゃないですか!」

 

「あ、すいません」

 

それ以前にもっと重要なことがあると思いながらも反射的に謝った俺は、どうしてここにいるのか聞いてみることにした。

 

「てかなんで海未は此処にいるんだ?俺誰にも風邪ひいてるって言ってないんだけど?」

 

「今日は大学が休みでしたのでお店の方に伺おうと来てみたら、臨時休業の張り紙が貼ってあるうえに連絡も取れないので何かあったのではと思い家に上がってみたら」

 

「俺が寝ていてどうせ何も食べていないから何か作ってあげようと思い台所でなんか作っていたのか?」

 

「その通りです。何故誰にも言わないのですか?」

 

「いや今日平日だしみんな予定あるだろ?」

 

「それでも一言言ってくれればきっと皆駆けつけて来てくれます!」

 

ズイっと顔を俺の方に寄せてプンスカと怒っている海未だがいかんせん顔が近い。

人には誰しも必ずと言っていいほどこれ以上近づかれると困る、もしくは不快に感じる距離があるはずだ。この距離を対人距離いい、これは人間がもっている他人との距離に関する距離についてのことだ。

対人距離は複数の段階に分けることができるが、今海未と俺との距離は対人距離の中でも一番近い密接距離にあたる。密接距離の範囲は15cm~45cmで、この距離はなんとあのダイオウグソクムシが一匹すっぽりと収まるほど近い距離だ。相手の密接距離の中に不快感を与えることなく侵入できるのは親しい間柄の人間のみらしい。

 

「わ、わかった。今後は気を付けるよ。じゃあ色々と任せてもいいかな?」

 

「はい。今日はそのつもりで来ましたから」

 

「じゃあ俺は部屋で待っとくから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隼人?入りますね」

 

障子をあけ、お盆を持って海未が部屋に入ってきた。

お盆には年に数回使うかわからない小さな土鍋と器にレンゲが乗っていた。

 

「お粥を作ったので食べてください」

 

「ありがとね海未」

 

布団から上半身だけを起こしてお礼を言うと何故か顔を赤くしてそっぽを向いた。

 

「分かりましたから早く食べてください!さあ!」

 

「いや、俺一応病人だよ?扱いが荒い気がするんだけど…」

 

海未に言われるがまま土鍋の蓋を開けるとほわっと優しい匂いと湯気が辺りに漂う。

 

お粥には溶き卵とねぎが入っていて、溶き卵は良い具合に固まっており、朝食を食べていなかった事もあってか数割り増しで美味しそうに見えた。

一応言っておくけど別に、普段だったらそこまで美味しそうに見えないって事じゃないから、そこは安心して欲しい。

 

レンゲで鍋から器にお粥を移してからフゥフゥと息を吹きかけて冷ましてから口に運ぶ。

 

口に入れると匂いからも分かってはいたが、優しい味がした。よくよく考えたら誰かの手作りの料理なんて久しぶりに食べたからだろうか、とても美味しい。

 

「味の方は大丈夫でしたか?」

 

「うん、美味しいよ。ありがとね海未」

 

「……」

 

「海未?どうかした?」

 

「…久しぶりですね。こうやって二人で話すのは」

 

「確か…卒業式以来か」

 

思い出すように遠い目を俺は今していると思う。

 

「この間、お墓参りに行ってきました。やはり毎月通っているのですね」

 

「もしもだ。まだ罪悪感とやらが残っているならそんなもの忘れたほうがいい。俺はともかく母さんが知ったら怒るぞ」

 

海未を含めμ’sのメンバーの心に深く傷つけてしまった一生忘れることのできない傷。

俺だけの問題なのに俺のせいでみんなを苦しめることになったあの出来事のせいで一時期皆が俺から距離を取ったことがあった。

 

「でも」

 

「でももだってもない。」

 

こうなると海未は面倒だと知っているので海未の頬をぐにぃ~と引っ張る。

 

「にゃ、にゃにふりゅんでひゅか!」

 

「あの時言った筈だ。あれは俺と母さんが決めたことだって。それをいまさらうじうじと言っている口はどのくちかなぁ~」

 

「わ、わひゃりまひた!にゃのでやみぇてきゅだひゃい!」

 

涙目になっていたので少しやりすぎたかなと思い手を放すと海未は頬をさすりながら怒った顔をしていた。

 

「心配した私が馬鹿でした。」

 

「まあまあほら起こっている顔は似合わないぞ~。にっこにっゲホゲホ」

 

「ほら風邪が治りませんから早く食べて寝てください。今日は私もここにいますから」

 

海未のまさかの発言に一瞬思考が停止しかけたので再度聞いてみたが、

 

「え?まさか泊まる気じゃあないですよね海未さん」

 

「当然です!出なければ誰があなたの面倒を見るのですか!」

 

「わかったよ。じゃあいつもの部屋使っていいから荷物置いてきな」

 

そう言いまた一口お粥を口に運ぶ。

やはり海未が作ってくれたお粥は優しくてあったかい味がした。

 

 

 

 




隼人と母親との間に何があったのか。
これは次回の希の誕生日回で明らかにしようと思っています。
シリアスって難しいですね…。
それではまた次回。





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