だって便利じゃん?
俺は猛烈に悩んでいる。どれくらい猛烈かと言うと大人帝国の東京タワーに登る為に走っているしんちゃんよりも猛烈に悩んでいる。俺大人帝国が一番好きなのよね。次点で焼肉のやつ。
これくらい猛烈に悩んだのは女体で一番に触りたいのは何処かという田中くんの質問くらい悩んでいる。元気にしているかなアイツ。
確かA組のみきちゃんに告ってこっ酷くフラれたって聞いたきりだな。
でもみきちゃん恋人いたんだっけ。えーと、アイツアイツ。サッカー部のダルビッシュと呼ばれた七色翼くんだっけ。七色翼くん脚スゲー長いからな。キャプ翼に出れる程デけえから。田中くんが告白しようとしている目の前でみきちゃんは翼くんとあっついキッスを、チューをしたらしいわ。
そらこっ酷いわ。それにしても田中くん情報収集くらいしようぜ。モロ目立つじゃん翼くん。
まあ田中くんの苦い歴史は置いておくとして、猛烈に悩んでいる。
さて、何を悩んでいるかってのは………。
「学校行きたくねえ――――!」
学校に登校するか否か、だ。
いや、不登校ちゃうねん。こっちにも理由があんねん。
昨日ちょっとさ、友達にFate/zeroって小説、ライトノベルを借りたんだよ。
午前1時くらいに。凄く迷惑そうな顔をしていたけど、さもありなん。まあ結局貸してくれたけど。
や、だって面白そうだったもの。カービィ―のエアライドのディスク見たらさ、時々GC引っ張り出してプレイしたくなるだろう?俺がフェゼ(Fate/zeroの事。結構いいんじゃないかしら。流行語大賞狙えそう)に興味を抱いたのもそんな感じなんだよ。
適当にネット漁ってたらちょっと胸囲を、おっと興味を抱いただけなのさ。
故に有言実行を信条とする俺は友達の家に鎧袖一触で突撃したさー。え?有言実行意味が違う?知らんな。
まあ、そんな訳でフェゼ、フェゼ?を夜中を通して読み耽っていたわけだが、ここで問題が発生する。
実は俺、読むスピードが滅茶苦茶遅いのだ。
自家発電は電光石火の如く速いわけだが、めちゃんこ遅い。1ページを10分賭けて読む程遅い。
昔吉田くんに「お前って、射○するのは速いけど、読むのはおせーよな(笑)」と言われたくらいである。勿論吉田くんの股間のトゲピーは卵に逆戻りさせたけど。貴様をトゲチックにさせんわい。一生育て屋の爺婆に世話になっとけや。
でだ、フェゼは6巻まである。ネタバレで総てを知ってから読む派である俺でも、そんな時間をかけて読んでいたらどうなる?
燦然とした朝日を泰然に迎えるに決まってんでしょうが。修学旅行で女風呂を覗いていたのがバレて全裸で男子更衣室で正座していた時以上に時が過ぎるのは早かった。
「バサスロットの宝具かっちょいいなー」とか思いながら登った朝日を見て、俺はこの問題に直撃したのだ。
どうしよう、死ぬほど学校行きたくない、と。
「さてどうしよう」
実は俺、皆勤賞狙ってんだ。もうすぐ高校試験なワケだから、あんまり学校も休みたくはない。あんまし勉強してるわけでは無いけどさ。だって俺成績だけは良いタイプの生徒だからさ。国語とか壊滅的だけど。
「あー、どうしよう………!」
頭に蝋燭を付けながら悩む。やべえなコレ、人生で一番悩んだかもしれない。田中くんの時なんぞ目じゃねーわ。白装束に着替えながら悩む。どうしようか。藁人形と釘と金づちは持った。これで担任の先生を呪い殺す準備はできたが、
決められないから隣に座っているおっさんに聞くか。
「おっさん!今日俺学校行けばいいかな?それとも一時のパトスに身を任せて好きな事すればいいかな?俺の中で学校4:小説6なんだけどさ!」
というか、ここ俺の部屋なんだけど。不法侵入?音も無く隣で佇んでいるんじゃないよ、他愛なしのハサンさんもびっくりだわ。
おっさんは蓮舫ばりに襟が立っている灰色のトレンチコートに、目深に帽子を被っている。その為顔は良く見えないが雰囲気で言えば探偵ホームズだよワトソンくん。と名乗れるダンディズム溢れる雰囲気を出している。不法侵入している時点で糞も無いが。
「なあ、君。君が漫画の力を得るとしたら、何がいい?」
「はあ?おっさん話聞いてたか?因みに俺はバサスロットさんです」
いや、恰好いいじゃない。《騎士は徒手にて死せず》だよ?《己が栄光の為でなく》だよ?
前者は釘バットを宝具化してリア充を殲滅できるし、後者は変身して女体眺め放題、合法で女風呂に行けるんだよ?凄いじゃないの。
狂戦士(笑)だけどさ能力は一級品。
「本当にいいのか。ランスロットで」
何故倒置法で。いや、倒置法なのか……?
まあそれでファイナルアンサー。で、おっさんは担任を呪い殺すか小説か決まったか?俺の人生はそれで決まるんだけど。呪いが成功したら俺は専門の人になる。恨み、晴らします…的な。
「ランスロットになりたいんだね?」
いや、ランスロットには別になろうとは思わないけど……。いやランスロットさん結構ハンサムなんだよね。二枚目。ディルムッドとかいうグリリバよりもタイプ。掘られてもいい。
「では君が望んだ物が使えるようにしておこう」
使えるように?なんですかオジサン。実は神様だったとか言いませんよね。
俗に言う神様転生ってわけですか。つまり今の特典ですか。
ちょっと待ってください。今の無し。タンマ。
いい年こいてナイト・オブ・オーナー(キリッとか。で出来るわけがない。
折角の人生二週目、モテモテ人生イージーモードになるっていうのに、望んだ特典は人生に特に役に立つことはない中二能力。いや、女性風呂を覗く時に使える…か。
いやでも、せめて顔くらいはキムタク以上にかっこよくしてほし――――――
「じゃあ、君の来世に、幸があらんことを」
おじさーーーんッ!ピッコロさんが死んで叫んだごはんよりも大きな声で叫ぶが、視界が暗転する。
なんぞこれ。まさかマジモンの神様転生。冗談キツイぜ。俺、転生したら【ワルキューレ○マンツェ】の世界に転生したいんだけど、マジでどこなの。
まさか【アカメが折る!】の世界じゃねえよな。俺死亡フラグビンビンな世界は嫌だぞ。泣き叫ぶぞ。スネちゃま以上に泣くぞおら!
視界と共に
「ねむ、くなる……………」
「あとアカメが斬る!だからね」
………知ってる。
――――――――意識は途絶えた。テレビの電源を落としたかのように。
※ ※ ※ ※
目が醒める。
ンンーーーーッ!快適だ!快適な朝だ!こんな日には自家発電に限る!因みに連続で10回はイケます。
さて、朝ごはんは何がいいかな。親元離れて一人暮らししているはいいが、洗濯面倒だし料理したくねえけど、時たまいいかな。と思う事はある。そういう時は大体炒飯で済ますんだが、今日は何がいいかな。
冷蔵庫から卵二つを取り出す。烏骨鶏から採れた卵で作った卵焼きはとても美味しい。母親が作ったダークマターと化した目玉焼きとは天と地ほどさがある。向井理とえなり位の差だ。お椀に卵を割り、入れる。箸で溶きながら水を指の第一関節程度に少し混ぜ込み、ダシを入れる。うどんスープの素だ。結構美味いのよコレ。卵焼き器が熱しているのを確認し、油を少量敷き均等に油が通るように傾ける。そして溶いた卵を半分入れる。この際満遍なく卵を行き渡らせないとスクランブルエッグと誤魔化さないといけない出来になる。
具合よく焼けてきたら箸でひっくり返す。水が多すぎても少なすぎても崩れてボロボロになるので、微調整は必要です。くるくると一回転、二回転をすれば、第一層の卵焼きが完成する。
そしてまた、油を少量敷き、残りの卵を投入する。さっきの工程を繰り返せば、完成だ。
包丁でトントンと崩れないように切り、皿によそう。
さて、一口。
「ビャアアアアアア!美味いィィィ!!
マスオさんもびっくら、超絶OC卵焼き。これは売れる……………………………」
「さて、現実逃避はやめるかな」
死にたくなってきた。淡々と卵焼きの作り方を語るなんて孤独のグルメよか悲しいぞ。
「ここはどこだ」
目が覚めると、不思議の国でした。凭れこんでいた場所はガードレール。その先には真っ青な男……!
ではなく海。めっさ綺麗。言峰綺礼よか綺麗。あっちは真っ黒か。俺、帰ったら
立ち上がり辺りを見渡す俺。RPGでも基本は周辺に何か落ちてんだぜ。今日は晴れ。
標識を見つけた。日本語で書いてある。よかった。
アカメが折る!の世界じゃなさそうだ。エスデス様は好きだよ。デレというか、タツミに甘えているエムデス様はマーベラスだった。でも世界観ヤバいじゃん。北斗の拳世界に転生するよか救いねえぞ。
「海鳴って書いてあるな」
標識にはもうすぐ「海鳴だぴょん!」と描かれている。いやマジで描かれている。何故かせんとくんに似ている男の子が描かれている。
いや、兎じゃねえのかよ。
いやしかしはて、海鳴なんて市あっただろうか。
日本が舞台の漫画は沢山ある。あのホームズ被れの神様め、行く世界くらい言っとけや。
「ま、いいか。所さんじゃねえが第一村人にここが何県か訊いて見るか」
俺は海鳴を目指し、歩き始めた。ガシャンガシャンと、音が聴こえるが、その時の俺は精々うるせーな程度にしか認識していなかった。
まさか
姿恰好が第四次バーサーカー。ランスロットになっているなんて……………。
唯の鎧武者じゃないか……(´‐ω‐`)ヌボーン
※ ※ ※
海鳴市という街に着いた。どんな世界か歩きながら熟考してみたが、皆目見当もつかない。
まさかあの神様俺を平行世界の地球に連れてきたわけではあるまいな。いや、それも結構アリかも。
のんびり歩き20分くらいで着いた海鳴市は結構普通だった。通勤ラッシュに本気を出している群衆はいつでもどこでも一緒らしいね。
普通と言ってもスマホがまだ誕生していないみたいだが。
あれ、これ俺売りこんだら儲かるんじゃね?と思ったが、俺の残念な頭では不可能に近いので諦める。PS4も電気ケトルも売られているみたいだし、経済関係は独自の文化では無さそうだ。
イヤだよ俺、テレビ見たら世界初ISを動かした男性織村一夏。称してワンサマーがニュースで出てんの。生きにくいじゃん。俺が目指しているのは生きやすい人生だから。
そんな訳でテレビを覗く。駅前の電気店に積んであるだろ?それで見ているから。決して不法侵入したわけではないからね。
『○光、テレフォンショッピング』
ナレーションと共に現れたのは、40代はいってそうな小皺が寄った女性と、初老を迎えた男性だった。
『今回、ご紹介するのはいつでもどこでも簡単に沼が出来る。
【インスタント沼です】』
『沼ですか?』
『ハイ、このインスタント沼は、お湯を注ぐだけであらびっくり!ご家庭で簡単に沼が出来ちゃうんです』
『なるほど。沼のある生活っていいですねえ』
『ハイ。更に、今お買い上げの方にはもれなく、此方のチリトマト沼もセットでお届けさせていただきます』
『なるほど、沼ブーム到来ってわけですね!』
『お支払いは、カードでもオッケー』
お待ちし・て・おります♪のテロップと共に番組は終わりを迎える。
欲しいな。インスタント沼か。悪戯に使えそうだ。嫌いな奴にぶちまけるとか一条が経営している裏カジノとか。
しかしあれだ、人の視線って結構分かりやすいんだね。なんかチラチラ見られているのがわかる。好意的な視線が理想なのだが、なんか奇異な目で見られている感じ?ほら、軽蔑じゃないのはいいのだけれども、変な、腫物を扱うような目線?
『ざわざわ…』
『ざわ……ざわ…』
『……ざわ…ざわ…』
不快だ!こんな所に居られるか!俺は帰るぞ!とホラーゲームやサスペンスでは一番初めに殺害されそうな被害者男性のふりをして、海鳴探検を再開する。
そういや第一村人を見つけてねえや。誰にしようか。農家の爺さんにするかね。
ガシャンッガシャンッ
「ガシャンガシャンうっせーな。おっさん、近所で工事でもしてんのか?好景気万歳ってか?」
「いや、ここら辺に工事の予定は無いと思うんだがね」
「じゃあ何よ」
「さあ」
「使えねえな」
「ううぅっ!こんなに悲しいのは娘に『パパ臭い。近寄らないで!』と言われた時と同じくらいだよッ!うっうっうっ」
「さもありなん」
よれよれのスーツを着たおっさんを慰める。背中を擦っているだけだが、少し臭う。言葉には出さないけどよ。
俺の親父も結構加齢臭酷かったもの。抜いた歯みたいな臭いがして近寄りがたかった。
おふくろも3mくらい離れて菓子を食べながら生活していたし。
俺も加齢臭に悩む年齢になるのか、嫌だな。特典で加齢臭はハニートーストの香りがするとか願えばよかった。もう遅いけど。
※※米※
公園に着いた。何故公園かというとだな。
それは…………………爺さんとかが結構居そうだからである。
決して迷ったわけでは無い。
とりあえずブランコで高笑いしながら3回転しているガキを尻目にベンチに座る。あ、お嬢ちゃんどいてどいて。ありがと。座った際にガギィンッ!と甲高い金属がぶつかったような音がしたが、なんだろうか。
尻に釘でも挟んだか?
「ふぅ~。平和だねえ……」
「あ、そうですね…」
別に君に話しかけたわけではないよツインテール少女。なんだそのツインテールは。可愛いじゃないか。俺を萌死させる気かこの女狐。
何故ぴこぴこ上下しているんだ。触れという暗喩か?いやでも初対面に触れられると事案だからなぁ……。
知り合いの鮎さんも女子小学生に挨拶しただけで通報されたからな。生きにくい世の中だよ。
何が男女平等だ。何が女性差別反対だ。女ども、テメーらも男を扱き下ろしているじゃねえかヨ。このままじゃISが開発されちまうよモッピー。女尊男卑って、それなんてプレイ?
「あの………」
今度は少女から控えめな声音で声を掛けてきた。なんぞ?お兄さんいい子には優しいよ。クソガキは死ね。
「なんで、鎧を着てるんですか?」
は?
「ワンスモア」
「え、と鎧を着ているの」
顔に触れる。金属音が鳴る。ガチンガチン鳴る。
頬が硬い。尋常じゃねえくらい硬い。
頭を撫でる。ツルツル。しかも油が引かれているのか結構手触りが良い。でも硬い。
股間のマイサン♂を触れる。か、固い……///
まさか、これはスタンド攻撃!シンデレラ説が濃厚!人相を変えてくれるのはいいが金属音が鳴る顔ってどうよ。
まあスタンド攻撃という説は冗談だ。
「嘘だッ!!」
全力疾走して公衆トイレに入る。アンモニア臭に鼻が悲鳴を挙げるが、この際無視。無視以外の選択肢は俺に無いね。
おいおい、まさか俺ガンダムになってましたってオチじゃねえよな。イヤだよブッピガン鳴らしながら歩くの。
「おらどけ!」
「うゔぉあー!」
「ひでぶぅ!」
備え付けの鏡の前に陣取っていたクソガキ二人にボディブローを叩き込み鏡の前に移動する。マジで止めてくれよ、ガンダムは嫌だ。ギアスのランスロット・アルビオンなら一考の余地はある。
「OH」
漆黒の闇に紛れるような黒く、鈍く光る黒い西洋鎧。紋様と装飾が鎧の価値知らしめる。フルプレートアーマーだっけか。
闇から獲物を狙うかのような、赤く輝く紅い眼光。迅龍みたいな眼ですね。
背面には、触手みたいなえっちな先っぽが付いているぴらぴら。
ランスロットだった。fateさんの。
…………神様、そういうことじゃないよ……。
米米米米
ズーン。と効果音が出そうなくらい落ち込んでいます。ハイ。
隣にいるツインテ少女も若干引いてます。うん。
「大丈夫?」
「大丈バナイ」
嫌な、事件だったね………。
大丈夫じゃない。雁夜おじさんが死にかけている程大丈夫じゃない。ゾォルゲン爺さんの虫に尻の処女を貫通される程大丈夫じゃない。
「嬢ちゃん、俺どうすればいいのかな……」
鼻が無い、しかし嗅覚は存在するのか呼吸することはできる。
眼が無い。しかし十全に視界が晴れている。人間の頃よりも澄んだ視界である。
口が無い。しかし喋ることは出来る。バーサーカーは「アッー!」とか「うヴぉあー」とか「サー!」とかしか言ってなかったけど普通に喋れた。置鮎ボイスでちょっと嬉しくなったのは秘密。
マイサン♂が無い。その代り背中に触手みたいなぴらぴらが6本もある。自由自在に操ることが出来ることから、これが俺のマイサン♂になる可能性も微レ存。
そして、一番の問題は
「身体が無い」
中身が存在しないのだ。
アルフォンス・エルリックくんもびっくり。俺は人体錬成した覚えはねえぞ。もしかして魂だけの存在とか?神様はお父様だったというわけか。空気が通り抜ける感触が何とも言えない。
「嬢ちゃん、ちょっと俺の兜取って内側覗いてくんない?」
「え?う、うん。わかったの」
「よっこいしょういち」
イソイソとベンチの横側に移動する。嬢ちゃんはいい子だなぁー。ちっこいからしゃがまないと届かないみたいだけど。
カポッ。と水筒の栓を開いた時のような音と共に俺の兜が抜け落ちる。視界は普通に兜にあるんだね。
「何も見えないの」
「本当に?」
「うん。真っ暗で何も…あれ?」
「何か、描いてあるの……三角?お星…?真っ赤なの…」
畜生ォ…持っていかれたァ………ッッ!!