ミルクティーを野郎二人でカップル飲みしたんですが結構恥ずかしいですね。
高町家のお世話になってから早2年が過ぎた。2年だよ2年。肉体年齢は不明だけど精神年齢は17くらいだよ。もうすぐエッチなコーナーも入れるんだよ。まあこの身体じゃあエッチなビデオコーナーに入ろうとしても店の前で通報されるのがオチだけどよ。
お世話になっている一家、当初は心あらずだった高町一家は俺のことを空気に思っていたようだったが、士郎のオジサンが復活し、家に戻って来てから家族は水を得た魚のように活発になっていった。
俺のこともペットから家政婦にランクアップしたしよ。
それにしても士郎さんは人間じゃないと思う。だって眠っている姿を拝見したことがあるんだが、全身に包帯が巻かれていたのに退院するときには傷一つついていなかったもの。
あの人はなんだ。ギャグ補正でも付いているのだろうか。まるでアニメのように翌週何事も無かったように傷が癒えている感じと言えばいいのか。それとも蓬莱の薬でも飲んだのか。
そんなわけで俺は高町家で元気に暮らしている。今も皆で朝食を囲んで和気藹々と過ごしているのだ。一家の母親である桃子さんと共に朝食を作っていたのである。
「恭ちゃん、しょうゆ取ってよ」
「ほら」
「なのは友達できたんだって?」
「うんっ!アリサちゃんとすずかちゃんっていうの」
「あらあら。良かったわねえ」
俺だけテーブルから離れているけどね。俺だけ赤ん坊が使う小さなテーブルなんだけど。いいもん!俺ご飯だけだし!悲しくなんてないんだからね!
「ほー。コミュ障のなのはでも友達が出来たのか」
「こ、コミュ障じゃないもん!」
意外や意外。小学校に入るまでは俺とカバディごっこしかしてなかったっていうのに。これが子供の勢いってやつか。
「うーん。俺が眠っている間はなのは友達がいなかったのか…」
「これからですよ士郎さん」
「そうだね」
朝っぱらからイチャイチャ固有結界を展開する士郎さんと桃子さん。流石起源が剣の人は違うな。『
「んで、どんな感じで知り合ったんだ? その……えっと、マリオちゃんと鈴木ちゃんとは」
イチャイチャ空間は目に毒だ。さながらセイバーに求婚したけど目の前で士郎に寝取られた英雄王だ。怒り狂って砂糖を放り投げたい。視界から排除してなのはの友達について聞いておくか。テーブルから離れているけどまあ、聴覚は良い方なので。
「アリサちゃんとすずかちゃんだよ!ソラールさん!配管工でも鈴木さんでもないからね!」
「すまそ」
なのはが口の端に米粒を付けながら俺に激怒した。
あ、俺の名前ソラール。なんかなのはがハマっているゲームに出てくるNPCらしい。
チラッと見たけど槍持った禿げの人を崖から蹴り落してニヤァと口角を吊り上げて笑っていたなのはに戦慄してそこまでしか憶えてないです。
「んで、そのアリサちゃんとすずかちゃんって子とはどんな感じで?」
人見知りのなのはの事だ。困っている所を助けてもらって仲良くなったとか、逆に助けて仲良くなったとかそんな感じだろう。俺も前世で田中くんとは泥団子でエヴァを造っていたときにそうなった。子供は須らくそんな感じなのだろう。
「コイツで仲良くなったんだよ」
なのはが右手を天に掲げた。
「黄金の右。伝家の宝刀の右ストレートだよ。これでアリサちゃんのハートをブレイクしたんだっ!ふんっふんっ」
箸を握りながら流れるような右ジャブを宙に繰り出している。
うさぎがプリントされた箸がなのはに握られて悲鳴を挙げている。今にも折れそうだ。
訂正。コイツ人見知りじゃねえわ。ストリートでもやっていけるんじゃねえか。
ハートブレイクって殺す気満々じゃないか。
よくアリサって子は仲良くできるね。俺だったら笑顔で遠ざかるよ。
修羅の一族の血を引いているだけあるわな。
「でもねでもね、すずかちゃんがなのはにデンプシーを打ってきて止められちゃったの」
止められちゃったの……可愛くないからね、全然。
言っていることとやっていることは180度微笑ましくないから。
「デンプシー使ってくる小学生って…」
「あらあら、最近の子は進んでいるのねえ」
「そういう問題ではないからな桃子」
士郎さんが桃子さんに突っ込みを入れる。あの人天然を越えている気がするんだが。なんなの、二次元の人妻は寝取られるか天然ボケという属性が付与されるのは絶対なのか?
「というか、突然アリサって子にハートブレイクショットを打ちこんだわけではあるまいな。もしそうだったら先方に謝罪に行かないといけない事態になると思うのよソラールさんは」
子供のちょっとした喧嘩ではなく、コークスクリューやデンプシーが入り混じる学級だからな。そんな事態は無きにしてあらずだろう。
「あの時はアリサちゃんが悪いの。アリサちゃんがすずかちゃんのを取ったんだから」
「取った?悪戯したってことか」
ああ、よくあるよくある。小学生は語彙が足らないっていうか、自分勝手というか、自分が中心に回っている世界だと思っているからわがままな子が多いんだよね。気持ちが伝えるのが苦手だったり、恥ずかしくて変な事言ったり好きな女の子の気を引こうと悪戯したり。
「すずかちゃんが読んでいたHELLSINGをアリサちゃんが勝手に取ったの。だからなのはは神罰の代行者としてアリサちゃんを懲らしめてやろうと」
こいつら脳内どうなってんだ。小学生高学年レベルの思考回路をしているぞ。精神はお子ちゃまだけどよ。若本アンデルセンカッコいいよね。コブラなアンデルセンも好きだったけどね。あっちは本物の狂信者みたいな声していたし。若本アンデルセンはとんでもねえ大物臭しているけど。
「というかHELLSINGって…」
小学生が読むようなものだったっけ。もっと中学生が読み始めているようなものじゃなかったっけ。
いや学校に漫画持ち込んでいるんじゃねえっての。俺でもきな粉棒が関の山だったのに。
士郎さん何か言ってやってください。
「そうだな。……なのは。女の子に暴力はイケないよ」
「なのはも女の子なんだけど」
「ごめん。言い方が悪かった。むやみに暴力を振るってはいけないよ。今はいいかもしれないけど、将来傷つく事になる。言葉で、気持ちを伝えて相手と通じ合うんだ。いいね?」
流石士郎さん。6歳児に言う言葉じゃねえや。俺も加勢するかね。
「なのは。暴力で訴えるのはガキのやりかたよ。ガキだから暴力を振るい、相手を傷つかせるだけならば、自身の自己満足にしか反応出来なくなる凡愚になってしまう。精神を上に、相手と違うと思うんだ。ならば大抵はガキのやる事と思えるようになる」
「ソラールさん……。なら、ソラールさんもそうして生きてきたの…?」
「まあ聞け。ガキを早く卒業したいなら、それだけで十分だが、大人にはもっといい手段がある。それは……………」
「それは……?
「大人は集団で個人を無視する。即ち、【数の暴力】。これで証拠ももみ消せるし、なあなあで終わる。教育機関は腐っているから大抵は見て見ぬふりをしてくれるから万事安心してやれる」
「ごちそうさま!お母さん今何時?」
「今7時34分ね」
「にゃあ!遅れちゃうの!」
ぱたぱたぱたと床を踏む音をならしなのはは二階へ消えた。ふむ。俺もご飯を片付けるかね。
もっさもっさもっさ。
ご飯が上手い。花陽ちゃんがご飯キチになる理由もわかるわ。噛んだら甘くなってくる。もっと噛もう。卑弥呼時代の先人たちも噛むことによって顎が強靭になったらしいしな。俺ももっと噛もう。
ねちゃねちゃねちゃねちゃ。
シャーベッド状。いや、液体みたいな何かになった。もやしもんで見たけどこれで酒みたいなの造れるらしいね。野郎の唾液が混じったものなら吐き気がするけどなのはみたいな女の子のは売れるんじゃないかな。
え?お前飯を食えるのかって?鎧を舐めるんじゃないよ旦那。
蛍光灯のように目が光を放っている兜の口の部分はスライド式に口の部分が開くんだよ。なのはに見てもらったけど奥は靄が掛かって見えないらしい。さながらブラックホール。あながち間違っているとは思えないが。
因みに高町家の朝食はやたら重い。焼き肉、味噌汁、白ご飯に漬物。そして肉だ。
どこぞの定食かと思うが、高町一家は御神流とかいう剣術を家業でしているらしく、朝から重い物バッチこいなんだと。
まあ俺は白米とたまごふりかけだけなんだけどね。
三食たまごふりかけがご飯付になったのだから待遇もマシになったと言えよう。
「さて、僕たちも翠屋に行こうか」
「そうね、私は洗い物してから行くから先に行ってて士郎さん。ソラールくん、戸締りとか諸々よろしくね」
「イエッサー」
そういえば昔友達にお前のイエッサーはイエッツァラーにしか聞こえないと言われたんだが。俺にはシュピ虫さんでも憑いているのだろうか。
俺が返事をしたのを契機にリビングから恭也と眼鏡が出て行った。二人とも学校があるのだ。俺は家で家事しているけどね。
「さて、俺も日課をこなすとしますかね」
ジョロロロロロ
小便の音だと思った?違うよ水道の音だよこのドスケベ公め!
茶碗を水に浸しながら今日の予定を決めておく。食器類は油っこい皿以外集めて一ヵ所に集めて水に浸している。時間を多少置いておけば洗いやすくなるって婆ちゃんの知恵袋で言ってた。
油が付いてるやつには洗剤を垂らしおく。
「………今日はまず花に水をやるか」
油と洗剤でびちゃびちゃになった手甲を洗い流した後、タオルで拭きながら今日のまずやることを決めた。花に水をやろう。
前世……前世と言ってもいいのかわからんがこれからは割り切って前世と言おう。
前世では趣味はネット巡回と服にある毛玉を除去する毛玉取りだったんだが、今では平和に家事と花に水をやる趣味になってしまっている。これも健康な生活と、鎧になったことにより食に対する欲の減退とマイサンが消滅したことによる性への探求心が失われたからだろう。
最近は編みぐるみにも挑戦している。指が固くて動かしづらいが。
花壇は家の庭に存在している。無駄に広い屋敷なので花壇の一つや二つ構いやしないらしい。別に大きい花壇を造るわけでもないが、コー○ンに行って適当に腐葉土とシャベルを買って作ってみた。一輪しかないのは寂しい気がしたので適当にひまわりの種を植えている。育ったらゆうかりんと名前を付けよう。
「なのはに言われてやってみたけど、案外ハマったな。俺って結構単純か?」
花壇まで作って花を育てようと進んで俺がしたわけでは無い。なのはに言われてやろうと思った事なのだ。
あれは、なのはが聖祥学校に入って入学式の時だ。親同伴が当たり前だったのでなのはの晴れ舞台を見に俺も付いていったのだ。
着られている制服に身を包んだなのはを見て微笑ましい雰囲気で終わり、入学式が終わって昼頃に帰宅しようとしていたのだがその時一輪の花をなのはが
『ソラールさんなら綺麗に育ててくれると思うの』
と言って渡してきたのだ。体の良い厄介払いである。
ほら、あるでしょ入学式に花を渡されるの。卒業式で小さな花束を渡されるのは鮮明に覚えているだろうけど入学式にも貰えんのよね。
処理に困ったなのはは俺に花を育ててほしいとごみ処理をしたわけである。
まあ暇だったしいいけどね。今ではマリーゴールドが綺麗に咲くように努力しておりますし。
シャアアアアア
「小便の音だと思った?違うよヴァカめ!如雨露から水を垂れ流している音だよ。俺の熟練したこの如雨露捌き!見て見るがいい!」
今なら鉄の戦車を如雨露で撃退したラグナさんを越えれる……!
「無窮の武錬:A+とは伊達ではないわ!フハハハハハハ!」
水銀のニートダンスを超えた気持ち悪い動きを可能にする鎧…………新しい!
ほら、俺が植えたマリーゴールドも喜んでいる!
ゆらっゆらっゆらっ
「ハハハ、こやつめ!」
赤いマリーゴールドも俺を称賛している。
でもマリーゴールドってこんなに丸かったけ。
なんか牙が生えているんだけど。白い斑点ってあったっけ。
ゆらっゆらっゆらっゆらっ
マリーゴールドも手の葉っぱを振りながらゆらゆらと揺れている。
まあいいか。
ジョロロロロロ
だから如雨露だって。
さて、花に水をやり終えたし洗濯と食器を洗ったら翠屋に行きますかね。