バーサー家政婦は見た   作:サンマ味のヨーグルト

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時間が跳ぶと言ったな……アレは嘘だ。
しかし次回は跳ぶ。原作に入るのだ。



第肆話 

 

 

 ガララララ。

 

「へいらっしゃい!今日も良いネタが仕入れているよッ!今日は鰆がお薦めだ!勿論赤身も新鮮で美味いが、いや全部お薦めさ!取りあえず何にするんでいィ!?」

 

 

 

「とりあえずコーヒー。あとハンバーグセットを一つ。持ち帰りにシュークリームを四つ包んでください」

 

 

 

「へい! はんばーぐセットと珈琲ィ、そしてしゅうくりぃむを二貫ですね! すぐ握りますんで、少々お待ちくんなせえ! 

 おい! はんばーぐと珈琲ィにしゅうくりぃむをご注文だ!」

 

「承知!」

 

「いいぞいいぞ!」

 

 厨房で待機していたソロモン君とハサン君が指示を受け動き出す。留学生と聞いていたが中々信頼できる日本語を喋る。外国人によくある独創的な寿司も造らないし礼儀正しい。

 二代目は、何方かに任せられるな。

 

 ………っへ、俺としたことが耄碌しちまったか、まだ10代だってのに、まだまだ俺は現役よ! 若いモンに示しがつかねえぜ! あと50年くらいは錆びつかねえな。

 

「ハハハッ! ソラールよ! 小便に行ってもいいだろうか、小便休みくらい必要であろう!」

 

「てめえ! そろそろ頻尿治せって言ったろうが! だから親父に唐揚げにレモン掛けられんだよ!」

 

「妄想心音!」

 

「ハサンテメェ! デけえ腕を狭い厨房で振り回すんじゃねえ! 器具が落ちるだろうが!」

 

 やっぱ、こいつらが店を継ぐなんて無しだ! 俺がまだまだこいつら見習いを見ていかなきゃなんねえな! へへへ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うん。ソラール。此処は喫茶店で寿司屋じゃないからな」

 

 リストラを促す部長の如く俺の肩をポンっと叩いたのは雇い主兼ご主人の高町士郎氏。

 そうだった。此処は喫茶店で寿司屋では無かったんだった。

 先日梅原という寺島ボイスの気の良い兄ちゃんとお宝本を交換し合った所為で口調が写ってしまったのか。爾来気を付けるんで許してください。次は車掌さんで行きます故。

 

「無理」

 

 ですよね。

 

「ほら、新しいお客さんが来ているから君は案内してきてくれ。まだ子供みたいだから怖がらせたら駄目だよ」

 

 なら俺をウエイターにしなければいいと思うのでせう。

 鎧武者が接客してくれるってどんだけ時代先取ってんの。女装喫茶よかニッチだぞ。

 

 まあいいか。店長に指示された通りに玄関まで移動する。

 

 入って来たのはロリロリした少女三人だった。小学生かな。一人はパツキン幼女。勝気そうな釣り眼はいつか眼光で人を殺せることができそうな。

 二人目はパープルな髪色をしている幼女2。特になし。

 

 なのはと一緒の制服……ってなのは居るじゃん。

 三人目はなのはだった。

 

「ただいまー!」

 

「おかえりんこ!」

 

「え、もう一度? ただいまん……言わないよ!?」

 

 知らんがな。

 

 後ろに居るのは友達か? もしかして友達が欲しいからって物で釣る気じゃないだろうな。

 

「違うもん! もう、朝言ったでしょアリサちゃんとすずかちゃんです!」

 

 なのはは頭の両端に付いている触手からGN粒子をまき散らしながら身振り手振りで否定する。粒子の放出が停まったかと思えば後ろの二人の内一人がなのはを押し出し俺に接近してきた。

 

 

「あ、アンタがソラールね! アンタが妖怪だってなのはが言ってたけど、それは嘘ね! 鎧を着ているだけの人間でしょ!」

 

 何この子。初対面でお前人間じゃねえから宣告。タケシよりも滑舌は良いが頭は岩タイプなのか?

 

「にゃはは、アリサちゃん。この人は…」

 

 んふ。なのはのフォローなんて要らんよ。俺が華麗にこの子の矛先を変えてみせる。

 キンキン声で店先で騒がれると迷惑だからね。べ、別に士郎さんの為じゃないんだからね! 桃子さんが厨房で俺を人を殺せそうな目で睨んでいるから頑張っているだけなんだから!

 

「アサリちゃんと言ったな、俺は」

 

 

「アリサよ!」

 

「アリサちゃんと言ったな、俺はソラールでは無い」

 

「え、は? アンタがソラールでしょ、フザケタ名前しているしフザケタ恰好をしているのはアンタしか……」

 

「俺は鈴仙・優曇華院・イナバ。決してソラールさんなんてイケメンなお兄さんでは無い」

 

 嘘は言ってない。俺からソラールなんて名前を許可した憶えは無いし

 

 俺の本名は…………なんだっけ………。

 

 

「え、ええ? アンタ、ソラールじゃないの? じゃあ……そいつは?」

 

「ソラールさんは太陽虫を求めて廃都イザリスにお使いに行ったんだよ。暫くは戻ってこないんじゃないかなあ」

 

「そ、そう。わかったわ。それと、ごめんなさい。勝手に決めつけて」

 

「分かればいいのよ」

 

 カム着火インフェルノオオオオオが鎮火したアサリ…アリサと名乗ったくぎゅうボイスは冷静になった為、とりあえず窓側の4番テーブルに案内しておいた。

 なのはが白い眼で見ていたが気にするな! と脳内でジュラルの魔王様がアドバイスしてくれたので無視しておく。

 

「あ、あの!」

 

「なんじゃ」

 

 今まで沈黙していた後ろに居た少女が乗り出てきた。

 えーと、アリサとすずかって子がなのはの友達だって話だから消去法でこの子がすずかって子か?

 

「あ、貴方は人間なんですか?」

 

 君かぁ。気になるなあ。そんなに人間だって事が絶対に必要なのかい?

 この前にゃんこ先生と夏目くんに遇ったけど妖怪でも仲良くできることがわかったよ?

 だから妖怪人間だろうとも人じゃなかろうとも、自信を持って生きて行けばいいのさ。

 普通に生きてもいいのさ。その心を持つ限り人間だもの みつお

 

「あ、はい! そうですね! ありがとうございました!」

 

 そう返答してすずかっ子はテーブルにパタパタと戻って行った。

 何がしたかったのだろうか。

 

 

 

 

 ハンディ取りに行った時にすずかっ子が俺をガン見していたが、まさか俺に惚れたとかないよね。

 確かにイケボで置鮎でニコニコで歌ってみたとか投稿したらモテそうだけどよ、まさか鎧に恋するなんて無いよね? 異種間恋愛って騒ぎじゃないね。

 

 アルフォンス君は生身の身体を取り戻したけど俺は戻せるか不明なんだよね。ネットで錬金術を調べてみたけれど、メルルとかアインツベルンとかしか分からなかった。両手パンッで成功する錬金術は無いみたいだし、打ち止めかなネットで調べるのは。真理の扉は見たことがあるんだけどね。

 

「ご注文がお決まりになったら其処で新聞読んでいる士郎さんかリバーシに集中している古泉にでも声をお掛け下さい」

 

「アンタは?」

 

「俺はちょっとお花に水をやりに……」

 

「…………キャラに合わない」

 

 うるせえやい。(´・ω・`)

 

「じゃあこの翠屋お薦めのシュークリームを4つ頂戴」

 

 おいおい。俺花に水やりに行くって言ったでしょ。話を聞こうとしませんかこのアマ!

 

「うるさいわね! それにアンタ勤務時間でしょ。サボって花に水やりって出来る訳ないでしょうが」

 

 正論過ぎて全俺が死んだ。

 なのは助けて。俺6時間も労働しているのに休憩無しなんだよ。なのに桃子さんは笑顔でまだ働けるでしょ? って言うんだよ。そんな笑顔で言われたらアホな男は頷くしか無いじゃない? 

 だから俺6時間も働いているんだよ。 まだ未成年だからあまり知らないけど労働基準法とかどうなっているんですかね。

 確か、労働時間が6時間を超え8時間以内の場合は少なくとも45分。

 8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与える義務を負っているって聞いたことがあるけども。

 

「うるさいわね。じゃあシュークリーム持って来たら休憩入っていいわ」

 

 お前が使用者ってわけじゃないでしょうが。

 

「にゃはは、アリサちゃんは強引だからね」

 

 強引って言葉で片付けていい事態じゃないからね。

 仕方が無い。今日の晩御飯なのはの皿にトマトを四つ入れるからな。

 

「にゃあ! 酷い八つ当たりを見たよ!」

 

 傍観しているのは卿の悪い癖だよなのは。

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

「そういえばすずか今日の体育凄かったわね」

 

「そ、そんなことないよぉ…?」

 

「なんで疑問付けてんのよ」

 

「でも、すずかちゃんもアサリ……アリサちゃんも凄かったよぉ。なのはは運動音痴だから見ているだけだったけど接戦だったよね」

 

「なんだ。そんなに凄いのか二人は。何で競ったんだ?」

 

「100m走だよ」

 

「一年生に100m走らせるとか先生鬼畜過ぎやしませんかね」

 

「二次元は二次元、一次元は一次元だから気にするだけ無駄よ」

 

 メタをあっさり言うなんてそこに痺れる憧れる…!

 

「んで、アサリ……アリサとすずかっ子は何秒出したんだ?」

 

「私は10秒98ですずかが9秒73よ」

 

 

 ゑ?

 

「さ、早く食べましょう。紅茶が冷めてしまうわ」

 

「そうだね」

 

 

 ………………………………。

 

 会話の後、無言でパクパクと擬音を立てるようにシュークリームを頬張るなのはとアリサそしてすずかっ子。

 本当に美味い物を食べた時は人間無言になるというけれども、無言で幼女三人がシュークリームを口にしているのは傍から見て不気味にしか見えない。

 

 そんな光景を傍観している俺は、優雅にコーヒーをフェイス部分に流し込んでいた。通り抜けるとかでは無く、謎の空間にワープしているようなので問題無く味も味わえるしびちゃびちゃになる事も無い。

 でもそんな機能持っていても嬉しくも無いし悲しくも無い。

 

 

「なあアリサ。お前の名前バニングスって言ったよな?」

 

 俺の言葉にアリサはピクッと一瞬だけ硬直し、睨むような目つきで俺を睥睨した。

 

「…………それが? 確かに私はバニングスの息女。だからって金は貸さないわよ」

 

 貸したことあるんかい。

 

「いや、そうじゃなくてさ、その………」

 

 

「お前の兄弟にロイドって人居ない?」

 

 なんかこう、タイガーチャージできそうな人だよ。

 

「攻略王なんているわけないじゃない」

 

 ですよねー。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 ジョロロロロロッ

 

 如雨露から途切れ途切れに水が放出される。如雨露から放たれた水は花壇という家に生きている花たちに降りかかり生命を得る。

 右から斑点のマリーゴールド。最近になって口付近に水を掛けると嫌がるように叫ぶので根元部分や土管部分に掛けている。

 

 ユラッユラッユラッ

 

 ははは、こやつめ。口から炎を吐き出しやがったなこの悪戯っ子め!

 

 次に赤と青の色を混ぜたような彩りを見せているチューリップ。時折此方を見ている気がするが恐らく気のせいだろう。昔遊んでいたゲームの草タイプのキャラに似ている。光の石を与えると進化するポケモンに。故にロゼリアと名付けている。チューリップなのに薔薇とは皮肉が効いている。

 

 次に変な色の茎をした花。名前はよく分からないが、白色の綺麗な花を咲かせている。しかし茎が青いというのも珍妙だな。まるで生きているようにゆらゆらと動いているし……。

 

 

 

「ゆうかりんに訊いてみようかな」

 

 フラワーマスターこと風見幽香。向日葵を愛し向日葵の為に生き向日葵を伴侶とする変態だ。ピンナパークのヒマワリもゆうかりんが育てたという逸話もあるが定かでは無い。しかし人語を喋るヒマワリだ。ゆうかりんが育てたとしても違和感は無い。故に私はマリーゴールドの生態をゆうかりんに訊いて見ようと思ったのだ。

 

 

 

 でも幻想郷が存在するのかは分からないしなー。

 

 

 いや、一つだけ手段はある。スキマ妖怪と恐れられている八雲紫と接触すればいい。だが存在するかも怪しい。しかし俺というさまようよろいのようなデュラハン、妖怪レベルの奇妙な存在が実在しているんだ。スキマ妖怪くらい存在してもいいだろう。

 

 この前狐の妖怪を見つけたし。えっと久遠って言ったっけな。

 早苗って珍妙な髪の色した子と一緒に油揚げあげたから見間違えたわけでは無いよ。

 

 

 

 ふむ。ならば紫を呼ぶしかあるまい。妖怪は実在するみたいなんだから。失敗しても俺が近所から白い目で見られるだけですし。

 

 

 

「すううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……………」

 

 

 思い切り息を吸い込む。これから行う儀式は肺活量が必要だ。100mバタフライで呼吸無しで泳ぐという馬鹿やった俺でも足りないくらいだ。

 でも鎧だから肺活量とかどういう概念として生きているのかな。

 

 

 

「―――――――――!」

 

 

 

 行くぞ!肺活量、酸素の貯蔵は大丈夫か?

 

 大丈夫だ。問題無い。

 

 

 

 

 

 

「――――――――――――八雲紫さんじゅうななさーーーーーーーーーーーい!!!!!!」

 

 ―――――――やくもゆかりさんじゅうななさーーーーーーーい………

 

 ―――――――やくもゆかりさんじゅうななさーーーーーーい………

 

 ―――――――くもゆかりさんじゅうななさーーーーーい………

 

 ―――――――ゆかりさんじゅうななさーーーい………

 

 ―――――――さんじゅうななさーーーい……

 

 ―――――――さんじゅななさー……

 

 ―――――――ななさーーい………

 

 ―――――――さーい……

 

 ――――――ババア……

 

 

 大声で叫びながら空を見上げる。これは歳を誤魔化そうと必死になっているお姉さま方に痛恨のダメージを与える奥義である。ウサミンがかわいそうです、失望しましたみくにゃんのファン辞めます。

 

 

 …………………………………。

 

 何もない。

 

 

 

「………………ん?」

 

 

 ――――――――あれ、なんか目みたいなものが俺をm

 

 

 

 

 

 ―ピチューン―

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………………………………。

 

 

 

 ……………………………………。

 

 

 

 …………………………。

 

 

 

 

「――――きて」

 

 

「――――――お―――」

 

「―きて――――お―」

 

「起きて!こんなところで寝ていたら風邪引くよ!」

 

「ハッ?!」

 

 ガバッ。

 

 身体を起こす。一体何が遇ったのかは知らないが、とんでもない目に遇ったのは身体が憶えていた。

 

「な、なのは……?」

 

「もう、こんなところで寝ていたら風邪引くよ!」

 

「確か、俺は……確か……儀式を……していて………それから………」

 

 ぶるぶるぶるッ!

 急に体が震えはじめる。最早これは痙攣というレベルに震えていた。寒いのもあるけども。

 

 恐ろしくて、恐ろしくて、傍に居たなのはを抱きしめる。温もりが欲しいんですよ安西先生!だから抱きしめてもセクハラにはなりませんよね!怖いよおおおお!スキマ怖いスキマ怖い!

 

 

「にゃあ!? そ、ソラールさん、その、するなら二人っきりで……」

 

 何顔真っ赤にしていんの。寒いんじゃないのかよ。

 

「ソラールさん……なのはのこと、好き、なの?」

 

「はあ? 何言ってんの? お前に気があるわけじゃないしおませ過ぎるぜなのはさんよ」

 

 

「フンッ!」

 

 アボン。蹴り飛ばされた。

 花壇の横の塀に我が鎧(体)は叩きつけれ、バトル漫画のように落ちる。罅一つ入っていないマイボディではあるが、心が痛い。というかなのはさん運動音痴じゃなかったっけ。50kg以上ある鎧の俺を蹴り飛ばすって半端ない脚力しているよなのはさん。

 

 

「あ、大丈夫?!ソラールさん!!」

 

「我が背骨は捻じり狂う」

 

 叩きつけられた拍子に上半身が180度曲がっていたでござる。人間だったら死んでたね。早く人間になりたーい!

 

 なあ。ゆっくりよ。お前もそう思うだろ?

 

「ゆっくりしていってね!!!」

 

「え、何それ………」

 

「ゆっくりなのはだけど?」

 

 

 帰り際に付いて来たんだよ。

 

「ゆっくりしていってね!!!」

 

 

「……………え?」

 

 

 

 

 




・100m走
ウサイン・ボルトが9秒58である。

・生きているようにゆらゆらと動いている花
水に入っても死なないし体表が青いし口があるピク○ン

・ゆっくりなのは
ソラールが幻想郷に連れ込まれた際に連れてきたゆっくり妖怪。
リンカ―コアが存在し、なのはと同等の砲撃魔法を放つ。
ソラールに懐いており、いつもはソラールの鎧の中で生活している。
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