勘違いから始まるリリカルなのは   作:龍角散

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ども〜

すいません遅くなりました。

ではよろしくお願いします。


第6話【boys side】

俺は今どこにいる? 決まっている。ここは元の世界。俺はヒントを探しに下りてきた。でも状況がのみこめない。今俺がいるのはアリシアとフェイトのママさんがいるラスボス城。だがそこには何故かあの子、同じクラスの高町なのはとフェイトそれから名前も知らない少年が顔から血を流している。そして、追い詰められているのかアリシアのママさんはカプセルを一つ……そこにはアリシアが入っていた。さらにはママさんのいるところが問題。すぐ後ろが崖ではないか。崖……と言うのは表現が雑なのかもしれない。でも間違えれば落ちそうであることに違いはなかった。

しかし問題はまだある。俺は目を疑った。何故? どうして? ふと……真横を見たときだ。そこには妹がいた。一体何をしている? 俺はわからない。当然だ。こんな状況で、俺の死体を相手に……その口に自分のパンツをいつも通りねじ込んでいるのだから。

 

妹よ……お前はどこまで変態へと身を落としていくのだ。俺は少し悲しくなった。だがどうだ? 俺が妹の様子を憐れみの目で見ていたとき。妹は俺の死体に向かい、五芒星を切り始めた。一体何をしているのだこいつは……最初はそう思った。するといつの間にか俺の隣にいたアリシアが語る。無邪気な少女口調で説明する。問題が起きたと。今やっているゲームが成立しなくなったと言うのだ。それは何故なのか? 俺には知りえない。だがそれはすぐにわかる。俺の体は光に包まれ、自分の死体へと吸い込まれるように引き込まれた。これはなんだ……どうなっている? 俺は気が付けば目を覚ました。正確に言えば、死体となっていた筈の体で目を覚ました。妹のパンツが喉に詰まってむせる。そして長時間目を開けっぱなしにしていた為か目が痛い。

 

「おにぃ……ぐすっ……うっ、おにぃ! 」

「うおっ!? ……何だよ……と言うか……お前普通じゃないのな。俺生き返ったし」

 

「馬鹿! おにぃの……ばが!! 」

 

これでもかというくらい、俺は妹に抱きつかれながら罵声を浴びせられる。泣きながら、震える声で俺を馬鹿、馬鹿と言う。心配をかけた、それは分かっているつもりだ。それに関してはいくらでも謝る。しかし問題なのは俺に集まった視線。みんな驚いた顔で俺を見ている。当然だ。死んだ人間が生き返ったのだから。そして……アリシアのママさんが声を荒げた。何故生き返った。どうして蘇生できたと。元々アリシアを蘇らせるために頑張っていたのだ。目の前で人が生き返れば、それは大声を上げたくもなる。だが妹はただ一言、「それが私の力です! 」そう答えた。アリシアのママさんは、なら……と続けたかったようだが、それを黒い服の少年が遮るように止め、大人しくするように促す。

 

ここで俺はある事に思考を巡らせた。ゲームが成立しなくなった……これはおそらく俺が生き返ったからだろう。ならと俺は考える。考えるが、これはどうなのだろうか。妹には悪いが余計な事をしてくれた。そう思う。俺はまだあの世界が惜しかった。まだ浸っていたかったのだ……あの世界に。あの魔女と、アリシアと暇つぶしを……そう思ったら自然にアリシアのは入っているカプセルを見ていた。このままでいいのか? 俺はこのまま助かって、アリシアは死んだまま。アリシアのママさんもどうなるか知れたことじゃない。いいのか? いいわけない。いいわけないのだ。いや、それは口実だろう。何故なら俺はもう……引き返せないところまで、足を……狂気に片足を突っ込んでしまったのだから。

 

ではどうする? 俺がする事は一つだ。それ以外ない。躊躇する理由も、それを惜しむ必要もない。俺はゲームがしたい。暇つぶしを、あの魔女と、アリシアとあのゲームの続きがしたいのだ。言い訳はいらない。結果どうなろうがそれは口実でしかない。自分勝手な、俺のワガママだ。それで誰が助かろうと、誰が悲しもうと、俺はその道を進む。

 

「おにぃ? 」

 

【何する気か知らないけど……大人しくしてた方がいいよ? せっかく生き返れたんだし】

 

「だからこのまま帰って人生過ごせってか? フン、冗談! 俺達のゲームはまだ終わってないんだぜ? 始まったばっかりじゃねーかよ。そうだろ? 」

 

【無駄だよ。君は生き返った。だからもうあのゲームは成立しないし、あの世界にもいけない】

 

「そうかな。行く道はあると思うぜ? 少しだけ待ってろよ。1度始めた対局を止めるのは趣味じゃねんだ。それに俺が……お前の『駒(かぞく)』誰一人欠けずに会わせてやるよ! 」

 

【え……何を……っ!? 】

 

丁度いいシュチュエーションだ。アリシアのママさんが崩壊した崖から落ちようとしている。だが俺はそこへ、周りの声を全てシカトし、アリシアのママさんの所へ走る。当然妹も俺を止めようとしたが残念だ。俺は運動神経は悪い方じゃない。妹を躱し、真っ直ぐ走る。そして、落ちそうになったアリシアのママさんとアリシアが入ったカプセルの後ろから蹴り上げた。そうする事でフェイトと高町がアリシアのママさんを支え、救うことが出来る。しかし、その代償として、俺は落下。そのままよくわからない空間へダイブ。勿論分かっててやった。あそこへ、アリシアがいる所へ戻る為、俺はもう一度……死ぬ。

 

だがこれは無駄死にか? いや、違う。暇つぶしとは言っても俺は目的を忘れていない。これは命をかけた勝負だ。俺は決めた。俺を助けてくれた子を助けてやると。あんなところで、こんな世界で、一人、寂しい思いなんかさせない。相手が魔女だろうがそんな事は俺には関係ないのだ。あるのは、あいつを負かしてあいつに幸せを掴んでもらう事。決められたルールなど、俺が壊す。どんなに強固なものであろうとも。その前提条件を蹂躙して切り抜けるのが、俺のやり方。それに世界はまだこんなにも面白い事で満ち溢れている。それが分かっただけでも無駄じゃない。

 

俺は落ちている……まるで無重力のような虹色に輝く空間を。一体どちらが上で下なのか。どちらが右でどちらが左なのか。俺はもう死んでいるのか? それすらもわからない。するとどうだ。俺は何を見ている? 幻覚か? それとも実在する何かなのか? 突然俺の目の前に1人の女の子が現れる。俺は頭から下に落ちているが、女の子は俺とは逆向きで俺と同じ速度で落ちていく。丁度、互いの顔を見合っている形だ。それにそこまで接近する必要があるのか? もうちょい動かせば顔がぶつかりそうだ。誰だ、誰だと俺は考える。分かるはずもないのにも関わらず……名前もわからないこの子のことを。オッドアイで、金髪の髪に尖った黒い帽子とマントを着ているこの子のことを。

 

「誰? 」

 

「誰? ふふふ、誰だと思う? 」

 

「そうだな? こんな所に突然現れて、そんなベタな魔女みたいな格好してるんだから……魔女じゃないのか? 」

 

「へぇ〜否定しないの? 私達の事」

 

「断言はできないからな? お前達の存在は。ただ……俺の『暇潰し』にはすごく貢献してくれそうだと思うよ」

 

「あはは! 人間が私達を暇潰しの道具だとほざくんだ? 面白いなぁ〜? アリシア卿が気にいるはずだよ。うふふ。自己紹介しようか? 私はヴィヴィオ。未来において、とある事件の火種を加速させた元凶。その子の罪の意識が生み出した存在。愛情の破壊者。魔女ラブ・ブレイカー。ヒヒヒヒ! これからよろしくね? お・に・い・ちゃん。 えい! 」

 

ヴィヴィオと名乗るこの子は俺に指を指すと、笑いながら俺を眺めるように見る。その目はとてもじゃないが正気のそれとはかけ離れていた。すると俺の身体は大きく光を帯びると風船が爆発するように弾け飛び、俺はその瞬間意識を失った。だが次の瞬間俺は目を覚ます。まるで今起きた爆発がなかったかのように、俺はあの世界に来ていた。目の前には優雅に紅茶を楽しんでいるアリシア。そしてその横には見慣れない、少し銀髪っぽい、その髪の先っちょが黒がかった女の子がいた。

 

その子は俺を見るなりニヤニヤとし、何かを期待している。しかしそんな中でアリシアだけは俺を不満そうな目で睨みつけてきた。俺が一体何をした? 一体何が不満なのか。俺にはわからないが、とにかく不満そうだ。そう言えば、俺があの空間に飛び込む瞬間までアリシアは必要以上に止めようとした気がする。もしかすると、せっかく拾った命を無駄にしたのが不満なのだろうか。だがこうする以外にここに来る方法はない。魔女達は自由に行き来できるのかもしれないが、俺はこうならなければここへは来れない。全ては、ここに来る為。せめられてもいいが負ける気はない。俺は掴んだ。元の世界におり短い間だが多少なりとも情報を掴んだのだ。

 

今この魔女は俺をナメている。だから勝つなら今だ。勝利は引き寄せる。待つのは性に合わない。問題は、それが正解で間違いであるかだ。前提条件は壊す。俺はどこで死んだ? ……そもそもその質問に惑わされる事自体が罠。普通に考えれば、俺が死んだのはクラスメイトの月村の家に行った時。俺は高町とフェイトの戦いに巻き込まれて死んだ。これが答え。しかしそれはまやかしだろう。何故ならこいつは魔女。俺を惑わし、あまつさえ、俺には決して答えられない問題を出した。ならその考え方を壊せばいい。俺はあそこで死んだ? いや……違う。なら生きていて、別の場所で死んだのか? これも違う。前提を壊す。壊す。壊す。狂気を優先し、自分のそうであってほしい条件を捨てる。自分が何に対して幸せだ? 一体どうなったらいい? どうなっていたら自分は幸せだった?

 

「どうして捨てたの? 」

 

「あ? 何の話だ? 」

 

「命……お前はせっかく助かった命を捨てた。それは何故? 私とこのゲームを続ける為? だとしたらふざけたサイコ野郎だ! 命の価値も分からないようなアホうと私は少しでも喋っていたのか? ふん、興醒めだよ」

 

「ククク、魔女の言葉とは思えんよ? アリシア卿。だがそうだな? 確かに命の重みもわからん奴には、我らの暇潰しに浸る資格などない。それとも何かあるのか? お主が命をかけるほどの理由が? ククク、もうしてみよ、我は気になって仕方ない」

 

「はは、ルール違反だぜ? このゲームが終わるまで互いの望みは言っちゃいけないんだろ? それに……勝てると分かっていて挑んだ勝負をみすみす逃すのは……勿体無いと思わないか? 」

 

「っ!? ……何? ぶふっ、クク……あは、あっはははははははは! あーっはははは! つけあがるのもいい加減にしな! 勝てると分かっていてだって? 何を血迷ってるんだ? たかだか人間の分際で、私に勝った気になってるのか? 冗談じゃない! クハハ。いいだろう! 続けよう。そして無様に負け、私がお前を痛めつけてやる。もう消滅したほうがマシだと言うくらい、完膚なきまでにな? あはは! あははははははは! 」

 

これがこいつの本性。俺は改めて魔女という人種を理解した。だがそれ以上に面白いと思う。焚き付けて、挑発に乗っていると思いきや、どこまでも冷静。口や態度はのせられたように見せている。しかしその頭の中は冷静に俺を潰そうと考えている。俺の証明をどこまでも潰そうとするその眼差し、笑み。だがそれが余計に俺を熱くする。この狂気の笑みを笑顔に変えてみたい。ただ純粋無垢な笑顔に。そうだ。それはすごくいい。でもこの問いに答えるということは、俺もある気持ちを一つ認めなければならない。それは何を? 決まっている。誰かを愛おしいと思う気持ち、恋か? いや、それはまだ俺がわかる事じゃない。

 

何せ俺は今までそういう感情を無視してきた。いや、これは違う。考える事が出来なかった。今考えればどうして俺は忘れていたのか。でもこの問いが解けたと同時に何故忘れていたのかも理解できた。まったく俺の妹はどうしようもない大バカ野郎だ。俺に懐いて、俺と離れるのが嫌だから、馬鹿な真似をした。許されるわけもない真似を。けど俺は感謝している。妹に。バカで……どうしようもなく可愛い妹に。

 

話を戻すが、俺は恋をしていた。一目惚れだ。小学2年生の冬。俺はその女の子と出会っていた。正確には見かけたと言うべきか。いや、これも違う。まだ名前も知らないその子と俺は話をした。話をして、一緒に帰った。ただそれだけ。それだけだった筈だ。しかし俺のとっては運命が決した時だった。人生最悪の日だ。だがそれはどうして? どうして俺はこの日が人生最悪の日だと思った? 当然だろう。俺は初めて恋をした子。その子が死にかけた時、その子を助けようとして…………

 

 

「さぁ〜聞かせて貰おうかな? お前の答えを」

 

「そうだな。そろそろ、答え出さないとな。ふ、アリシア。俺の勝ちだ」

 

「あ゛? 」

 

「俺が今、お前の心の将棋盤をひっくり返してやるぜ! 」




次回もよろしくお願いします。
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