勘違いから始まるリリカルなのは   作:龍角散

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ども〜

これで無印終了です。



ではよろしくお願いします。


第10話・無印エピローグ【girls side→boys side】

「ふふ、ねぇ〜ダーリン? 今のうちにマイッタって言えば悪いようにはしない。私と気持ちいい事して終われるのよ? でもここまま答えを出すなら私ちょっと何するかわからないなぁ〜。だって今のダーリンの言葉カチンってきたもん。例えダーリンと言えど魔女を馬鹿にするもんじゃない。それは私の誇りに関わる。だから……ね? 」

 

「アリサ。俺は何も間違ったことは言っていない。お前の負けで俺の勝ちだ。それにお前が誘ったゲームの相手は本当に魔女に『すら』勝てないような人間か? 」

 

「はぁ……ガッカリさせないでよね。人間が、ちょっと頭がいいからって調子にのる。愚かだわ。だから人間は嫌いなのよ。いいわ。答えられるものなら答えてみなさい? でもその時は貴方が消滅するときよ。もし間違えたら……ね」

 

「なら正解した時はどうなるんだ? そもそもゲームの賭けが変わってきてる。まぁ〜俺は構わんが。そうだなぁ〜俺が勝ったら俺の言う事なんでも聞いてくれるってのはどうだ? そこまで自信があるならな? 」

 

「チッ! ここまで調子に乗ってるのを見ると殺したくなってくるわね。上等じゃない、いいわよ。その賭け乗ったわ! 」

 

 

答えられるわけない。第一、どうやって答える? どうやって知る? ありえない。にも関わらずなんて愚かで低俗な人間なのか。ちょっとベタベタしてあげれば調子ずいてくる。本当に愚かだ。

 

だがこれもいい。調子に乗った人間を踏みつけて飼いならすのも一興。首輪でもつけてやろうかと今考えているが、いっそ動けないように石にしてやるのも面白いかもしれない。何故って? 単純に怒りを覚えたからだ。

 

「結論から言おうか。お前のパンツの色は黒だ」

 

「はは、どっから出てきたのその色〜? あはは! はい負け。ダーリンの負け。所詮人間なんてこんなも……の…………ま、待って……ありえないわ。一体どうして……っ!? お前、何をした!!! 」

 

考察……でも辿り着かない。私は思わず自分のスカートを捲り上げる。だがそこにあるのは彼の言う黒のパンツ。私は敗北した。

 

しかし納得がいかない。分かるはずはない。知るはずもない。確かに彼はスタートラインには立った。立ったが、だからどうした。そこから先は答えるのは不可能。人間だろうが、魔女だろうが、ましてや『私にすら』無理だ。

 

何故、どうして。どうしてこの人間は答えられた。幾万と変化するパンツを。私にすらわからないパンツの色をどうやって知った。わからない。私にはわからない。

 

本当にこいつは人間なのか。

 

私がそう思う理由は簡単だ。私はこの人間には答えられないと言った。いや、人間どころか他の誰であろうとだ。それは私が問いを出しておいて『答えを知らない』事にある。

 

答えがあって答えがない。つまり、私はインチキをしていた。それは人間なんかに負ける気は微塵もない。普通に問いを出しても負けるなんて思わない。しかし人間相手にまともに問いを出すのも馬鹿馬鹿しい事だ。

 

だから私はこの人間をナメ、決っして答えようのない問題を出した筈だ。出した『筈だった』のだ。

だがどうだ? 結果的に普通に問いを出す以上に私は敗北した。イカサマをしておいて負けたのだ。もはや言い逃れはできない。完全な私の負け。それは認める。

 

ただ私は理由が知りたい。どうして知り得たのか。私が何故負けたのか。何かある。この人間には魔女に知りえない何かが。でなければ私が負けるはずはない。

 

「へ、ははは! 凄い。負けちゃった。ダーリンの勝ち。でも教えてくれない? なんでわかったの? 」

 

「不思議か? それりゃ〜そうだよな。何せ、『イカサマ』してたんだから」

「っ!? 待ちなさい!! 何故、こんな馬鹿な事ないわ!? 」

 

「考えてみろよ。今度はお前の番だぜ? 」

 

信じられなかった。私の手の内は全てバレていた。イカサマしている事も全て。だがこれはどう言ったトリックなのか。深く、深く考える。

 

面白すぎて自分のでもニヤけが止まらないのがわかる。何故問いを出したはずの私が考えさせられているのか。魔女のこの身で、こんなにも楽しく、わからないと思ったのはいつ以来だろうか。こんな高揚感は以来だろうか。震える。手が、体が、脳が。全てを解き明かしたくて疼いている。

この人間は神か悪魔か。いずれにしても人間という枠でない事は確かだ。何せこの私を下した。それだけでも十分な証明となる。

 

考え、考え、考え、私は考察する。どこにボロがあったのか。どこにそんな要素が……そうやって絞り込んでいく。するとどうだ。何もないではないか。つまりは無。

 

存在しない。この人間がこの問題を理解する要素が存在しない。無から有を得ている。となれば……それは1つしかない。協力者か、あるいは、特殊な能力。魔女の力に匹敵する何かだ。

 

他の魔女が手を貸している事はない。この私を前にそんな小細工は通用しない。なら後者だ。この人間は何か特殊な力を得てるに違いないのだ。

 

「お前は今つまらない事を考えている。フフ、やっぱりだな。魔女と言うのは揃いも揃って頭が硬い。物事を内面でしか捉えられていない。当ててやろうか? お前は今、俺に何かあると考えている。特殊な能力か、それとも誰か他の魔女が協力しているか。違うか? 」

 

「……は……はは! あはは!! これはいいわね!! 不思議とか言う前に君が悪いわ? へへ、ねぇ〜ダーリン? 今貴方は何を考えてるの? ちょっと……見せてくれないかしら? 」

 

「お? なんだよ、頭に手なん……かっ!? 」

「見せろ! 見せろ、見せろ、見せろ、見せろ見せろ見せろ見せろ見せろ見せろーーーーー!!! お前の頭の中を見せろ、覗かせろ! その頭は一体何を考えてる!! 」

 

「あがっ!? や、やめっ……あ゛あ゛あ゛っ!? 」

 

「ふへ、あは! ん? ……っ!? なん……だ……うっ!? あ……ひっ!? い、いやぁぁぁあああああああああああああああああ!? いや! 嫌!? 嫌嫌!? 何を考えてるのあんた!? そんなのまともな人間の思考じゃないわ!! 狂ってる! 悪魔……ちがうそんな生温もんじゃない……なんなんだお前は…………」

 

ありえない、信じられない。こんな馬鹿な事があるか。私は全力でその思考全てを否定する。全ての思考をシャットダウンしてでもこの考えは止めなければならない。人が考える? 魔女が考える? 神が? この人間に力が?

 

そんな物はない。この人間は思考しただけ。私の問いをどこまでも考えただけ。考えただけだが、こんな事はありえない。人間が思考できる許容範囲を遙かに超えている。

今思考を覗いて分かった。この人間は魔女の思考能力を遙かに凌いでいる。危うく私の頭が焼き切れるところだった程だ。

 

物を別視点から、時間的に、空間を含めて? そんなレベルではない。物質構成、事象。それに伴う原理や根拠。さらにはそれを肯定するために必要な全ての要素。それをたったこれだけの時間で全て思考している。

イカサマ、あるいは陥れようとする罠。それを用意したところでこの人間には効果はないだろう。何故ならこの人間の思考は言葉、簡潔に言って、キーワード1つを無限に思考しているようなものだ。

 

1を考え、100を出す。0を考え1を出す。決して解けない問いがないかのように。ない筈の答えを得る能力。言うなれば『完全思考』。

 

ない部分を想像で補い仮定するのではなく、仮定してなおかつそれを完全なものとして思考する。と……ここまで考えたもののこれが正しいかなんてわからない。これはあくまでもこの人間の頭を覗いた私の結論。

 

だがそれでもまだわからない事がある。それは私のパンツが黒というところに何故たどり着いたのか。このパンツちゃんは相手の思考と逆の色になる。この人間が答えようとした答えと逆になるパンツなのだ。

 

「はぁ……もういいわ。本当に降参よ。ダーリン? これだけ教えて? 私のパンツの色、どうしてわかったの? 」

 

「俺が考えて出した結論が白だからだ! そのパンツ……どういう理屈か知らんが俺の考えた色と逆になるようだからな。お前が最初にスカート捲り上げた時に気付いたよ。だってお前、黒いパンツ好きだろ? 」

 

「……はは……あはは! 素敵!! 素敵素敵素敵素敵素敵!!! あはぁ〜最高だわダーリン! もう本当に好きになっちゃたぁ〜。もう離さないからね、ダーリン? さぁ〜約束通り私を食べて」

 

「いや、違うだろ? 俺の言うこと何でも聞いてくれるって賭けだったろ? 」

 

「え〜覚えてない」

 

「おい……」

 

「ふふ、冗談よ冗談。いいわ。何が望みなの? 」

 

「元の世界に戻りたい。妹の様子も見たいし、何よりここにずっといるのも飽きる。幽霊で構わないからさ。戻してくれ」

 

「なんだ。そんな事でいいの? つまんないの」

 

あれだけの戦い。私とのゲームをして、望むものがこれだけ。仮にも途中で消滅する危険があったのに関わらず。

 

それは私にとっても他の魔女にとっても、まるで割に合わない事だ。まず、理解できない。何故傲慢に命を欲しがらない。今のゲームは命をくれと言ってもいいくらいのものだ。

 

だが望むのであれば、それを叶えるのは私の責任。敗者の義務だ。しかし、もうこれでダーリンは私から逃げられなくなる。彼は私の物だ。逃しはしない。必ず私を食べさせる。そして私が彼を食べる。

 

永遠、永遠と続く私の退屈な時間を一生幸せに過ごす。これはなんて素晴らしい事なのか。考えただけで顔のにやけが止まらない。

 

「それじゃ〜ダーリン。また会いましょう? 現実の私によろしくね。押し倒してもいいから」

 

「何言ってんだお前は……と言うか触れねーし今」

 

「あれ〜? 触れたら押し倒すの? もう! ダーリンのエッチ! 」

 

「いいから早くしろ! 」

「ちぇ〜」

 

私は少しふて腐りながらもダーリンにちょんっと触り、ダーリンを現実へと送り飛ばす。ただしどこに行くかはわからない。完全な運だ。

しかしダーリンならば、分岐点と呼ばれる運命に深く関わる星のもとに生まれた彼ならば、必ずそこへ落ちる。これから先に関わるはずの重要な場所へ。

 

「ふっふふ! これはこれは、かの有名なアリサ卿。お目にかかれて光栄です。ある1つの事を求めるあまり、その究極の頂にたどり着いた最強の探求者。魔女・パンティ・デスサイズ」

 

「その名は嫌いよ。2度と口にしない事ね。と言うか、見ない顔ね? 新入りかしら? 」

 

「ふっふふふ! はい! 新入りも新入りですよ? 私はヴィヴィオって言います。以後お見知りおきを。それで……ヒヒ! あのお兄ちゃん戻しちゃったんだ。アリサ卿」

 

今この遊び場に現れたこの魔女は完全に初対面だ。だが、おかしな感覚がある。魔女の癖に気配が変だ。他の魔女から感じる物とは質が違う気がする。

 

ましてや、話しかけるまで私にその存在を感じさせなかった。少なくても、そこいらの弱小魔女とは違う。確実にアリシア卿やディアーチェ卿と同格か……あるいは。

 

 

「だから何? 何か文句でもあるの? 」

 

「えっへへ! いえ、いえ。全て予定通りだと思いましてねぇ〜? クヒヒヒ! 」

 

「なんですって? 言っておくけど、ダーリンに手を出したら殺すわよ」

 

「殺す? やだぁ〜怖い怖い。あはは! 大丈夫ですよぉ〜? そんなに怖い顔しないでくださいアリサ卿。大好きなお兄ちゃん取ったりしませんって。ただ……お兄ちゃんに何かあったら私はどんな手段を使ってでも守らせて貰いますよ? どんな事があっても魂だけは守らないといけませんし。それだけ忠告しに来ただけです。今お兄ちゃんに消滅されると困るんですよ。『歴史……変わっちゃいますし』」

 

「待ちなさい!? 今なんて……チッ! 逃げ足の速い魔女だわ」

 

あの魔女の言っている事は理解できなかったが、これからロクなことにならないのは事実だろう。おそらくその中心にいるのはダーリン。一体何が起こり、何をしでかすのか。

 

ロクな事にならないとわかっていてなお、どうしてこんなにもニヤニヤが止まらない。気持ちが高まり、私のパンツは濡れるのか。楽しい。ここでダーリンに会ってから、楽しい事ばかりで退屈しない。でもダメだ。これでは足りない。

 

これでは私の退屈は消えてくれない。もっと、もっと欲しい。退屈を消してくれる刺激が、そう……ダーリンとのゲームのような。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

俺は気がつくとどこかの家にいた。しかし身に覚えがない。ここはどこなのか。さらには幽霊なのに一向にこの部屋から出る事ができない。何かに阻まれているように。

 

だが見渡せばそこに人がいる。それは女の子だ。茶髪で、歳は俺と同じだろうか。ベットに横になり、眠っている。よく見れば、隣には赤髪の子もうさぎのぬいぐるみを抱いて眠っていた。

 

「ん? ん〜? なんやぁ? 誰かいるん? 」

 

【何に反応して起きたんだ? 確かにいるが……だからってな? 見えるわけでも……】

 

「誰やあんた……」

【へ? 】

 

「な、ななんでスケとるの……っ!? ま、まさか…………ひっ!? い、いやぁぁあああああああああ!? 出たぁぁあああああああああ!? 」

 

 

 

これが……彼女との最初の出会い。

 

 




次回もよろしくお願いします。
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