勘違いから始まるリリカルなのは   作:龍角散

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ではよろしくお願いします。


第2話《裏》【girls side】

私は大好きな人がいる。かけがえのない家族。たった1人の家族。私のお兄ぃ。私はお兄ぃを愛している。だから絶対に離れたくなかった。離れたくなかったから……私は禁忌を侵した。私は毎晩、夜中にその日1日はいたパンツをお兄ぃの頭にかぶせる。そして人差し指と中指を立て、五芒星を描くようにお兄ぃの頭の上でそれを描く。それが日課だ。これは絶対にしなければいけない事。後定期的にお兄ぃの口にパンツをねじ込む事も忘れてはいけない。それも私の日課の1つだ。これを怠れば、私の幸せは成立しない。お兄ぃが私の事を好きでいなくてもいい。私はお兄ぃといたかった。一生。どんなに時が経っても一緒に。そんな叶わない願いを私は常に抱いている。しかし時より思う。私はお兄ぃを束縛しているのではないか。お兄ぃは本当は幸せなんて感じていないのではないか。そう考えたらゾッとした。

 

幸せ。お兄ぃといるだけで全ての不幸が幸せに変わる。幸せに変わるのだ……でもどうして。どうしてなのだろうか。お兄ぃは消えた。私の仲のいい幼馴染。その子の家に行って、私の幸せは終わった。唐突に。終わった。お兄ぃの事を茶髪の子が好きなのは聞いて知っていた。別にだからどうというわけじゃない。ただ、その子とお兄ぃはあまりいい関係じゃないと言う。だからお兄ぃにフェレットを探しに行った茶髪のお友達を探しに行くよう言った。仲が悪いのはいい事じゃない。これで誤解が解ければなんていい事だ。そう思っての事だった。事……だったのだが。どうして……どうしてなのだろうか。あまりにも遅すぎる2人を心配し、探しに来た。探しに来たまではよかった。だがいたのは倒れた茶髪の子ただ1人。近くにはフェレットもいる。なら……お兄ぃはどこへ行った? いない。いないのだ。みんなは帰ったのでは?という。私もそうだ。きっと帰ったんだと思い。その日はそこでおいとました。

 

家に帰る私。まず、お兄ぃを呼んだ。しかし声はない。靴もない。消えた。お兄ぃは私の前から消えてしまった。お兄ぃが黙ってどこかに行くなんて事はない。そんな事今まで一度もだ。私は泣いた。終わった。終わってしまった。お兄ぃとお別れなんてしたくないと。あんなにも願ったと言うのに。私は大泣きし、お兄ぃを呼ぶ。だが答えなど帰って来ない。お兄ぃはもういないのだから。その時、私はあるじゃないかと思い浮かぶ。お兄ぃを探す手段が。私は人差し指と中指を立てた。そして五芒星を切る。

 

「木・火・土・金(ごん)・水……五行の神、それそれ、まことのことわり。木は火を生じる事まこと。火は土を生じる事まこと、土は金を生じる事まこと、金は水を生じる事まこと、水は木を生ず。この願い……奉りたもう! たもう!! …………っ!? 嫌ぁ……お兄ぃ……いやぁ……あ゛あ゛っ!!! う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! 」

 

私はまた泣いた。分かった。分かったのだ。どうしてお兄ぃが消えたのか。いた。間違いなく私達が茶髪の子がいるところへ向かってる時まではお兄ぃはそこにいた。五行……その五芒星の中心、そこにそこであった全てが映し出される。何故か戦う金髪の子と茶髪の子。そして衝突する光がお兄ぃを巻き込んだ。巻き込んで……それに飛ばされたお兄ぃは木にぶつかった。ぶつかったまではいい。ぶつかった場所が悪かった。何故ならお兄ぃの胸は太い木の枝に貫かれていた。あれでは即死だろう。それで済めばよかった。私がお兄ぃを見つけられればよかった。なのにどうして。どうしてあの金髪の子は……お兄ぃを連れて行った。私のお兄ぃを連れて一体どこへ。しかしそこまでは私にもわからなかった。もうダメだ。手がかりを完全に失っている。もう探す事なんて出来ない。お兄ぃとはお別れ……嫌だ。そんなの嫌だった。

 

私はまだ諦めたくない。ずっと、もっとお兄ぃといたい。例え命をかけても、誰と戦う事になっても、私はお兄ぃを探す。絶対に諦めない。お兄ぃ、お兄ぃ、お兄ぃ。私はそう叫びながら泣きつかれるまで泣いた。泣いて、泣いて。涙が枯れてしまうと思うくらい。そして何日かたったある日。今日は旅行の日だ。仲のいい幼馴染が旅行に誘ってくれた。今日はその日。流石に楽しかった。お兄ぃには悪いと思うがこの時間は私の心を溶かしてくれる。寂しい私の気持ちを溶かしてくれた。だがどうして。夜中。茶髪のお友達が起きてどこかへ行った。まさかまた……もしかしたらあの子に会えるかもしれない。そしてお友達の正体も。私はこっそりついていく。

 

するとどうだろうか。案の定、また戦っていた。何故2人は争うのか。目的は? しかしそれよりも、フェレットと犬? 狼? が喋っている。これが何よりも驚きだ。よそ見をしていた私だがここで出て行かなければならなくなった。金髪の子が鎌のような物を茶髪のお友達の首筋に。私は動いた。茶髪のお友達が持っている杖が何かを出した気がしたがそれは気にせず、護符を周りの木へ5カ所飛ばす。そうする事で金髪の子と茶髪のお友達を中心にして五芒星が完成。これは対象を絞った捕縛結界だ。印を結び言霊を唱え、金髪の子の動きを封じる。色々条件はあるが今はいいだろう。茶髪のお友達は驚いていた。分かっていた事だがこれはお互い様だろう。茶髪のお友達にも秘密はある。

 

「何のつもり? 」

 

「お兄ぃはどこ? 貴方がこの間連れて行った男の子。どこに連れてったの? 返して、私のお兄ぃを! 」

 

「……あの子は貴方のお兄さん……その……亡くなったんだ。私の所為で……だから今」

「……知ってるよ。そんな事聞いてるんじゃない。返してって言ってるの」

 

「死んだ? 死んだって……何? え? その……え? 叶(かなえ)……ちゃん? 」

 

金髪の子が言ったのは私の欲しい答えじゃない。答えじゃない上に聞きたくもない単語まで飛び出る。少しイラッとしたが今は冷静に冷静に事を運ぶ。金髪の子の横であたふた困惑している茶髪のお友達は放っておいて、私は新たに印を、金髪の子に少し圧力をかけてみたがなかなかこれ以上話そうとしない。普通なら苦しいぐらいの圧力が金髪の子にはかかっている筈なのに。そう思っていたが突然私の結界が破壊された。見れば、あの犬が護符の貼った木を破壊し、結界に綻びがっできてしまっていた。しくじった。そう思う。もう少し気を抜かなければもう少しでも情報を、そう考えたがもう遅い。完全に逃げられた。

 

さて、私はどうする。茶髪のお友達に説明しなければならない。ならないがどう説明する? お兄ぃは死にましたなんて簡単に説明できるものじゃない。このお友達は知らないのだ。自分達の攻撃でお兄ぃが死んだ事を。本当ならこのお友達に対して憎んでもいいだろうが、それは私の望む事じゃない。このお友達には罪はない。お兄ぃが死んだ事は関係なくはないがこのお友達の所為じゃない。そう私は思う。最初は濁して説明した。だが思うよりしつこい。この子は頑固だ。自分が好きな人がどうなってしまったか、それをどこまでも知りたいと見える。当然だ。同じ立場なら私もそうする。私は全てを説明した。話した後は大分ショックを受けていたが。立ちなるのも早い。お兄ぃを探すのを手伝うとも言ってくれた。私はいい子を友達に持ったと思う。こんな子なら今回の事も何も気にする必要はない。問題はお兄ぃがどこにいるか。

 

探したくても手がかりがない以上、あの金髪の子を探すしかない。けど茶髪のお友達についていればまた会える筈だ。この子の事情も大分把握した。把握したからには私も手伝わなければならない。茶髪のお友達とそのフェレット、ユーノ君を手伝った。ジュエルシードと呼ばれるその宝石を探し。だがなかなか見つかるものではない。茶髪のお友達は気配がわかるらしく、暴走した時にそれに気づくらしい。私には全然わからないが魔法? というものらしかった。最初はなんて神秘的? なんて思っていたが見ればただの砲撃やら弾やらで何だ……ロマンがない。などと感じてしまった。それでも空を飛べるのは少し羨ましかった。しかし私もできない事はない。そう……できない事はないのだがアレを呼ぶと厄介な事になりかねないのでできないのと一緒だ。仲のいい幼馴染には悪いが色々秘密ができてしまった。きっと後で怒られるんだろうなぁ〜と思いながら私は日々を過ごす。

 

家にいるとお兄ぃの事しか頭に浮かばない。お兄ぃがいないと私のパンツは渇いたままだ。いや、これは間違いだろう。正しくは乾いたままだ。私は本当にお兄ぃに依存していると思う。なのに私は兄妹でありながら、お兄ぃには沢山の秘密がある。言ったら怒られる事もあるだろう。双子……これだって本当のところどうなのだろうか。私すら知りえない親の素性と家柄。ただ双子と言われているだけで、本当は違うのではないか? そう考えたりもする。まさか、血は繋がっていない? そうなればそれはそれは素晴らしい事だ。お兄ぃを合法的に私の物にできるじゃないか! とロマンあふれる事を考える。そんなわけはない筈なのに。

 

そういえば、お兄ぃは私に秘密などはないのだろうか。そんな素振り、見せた事もなければ聞いた事もない。少し気になる。私は出来心。ほんの出来心でお兄ぃの部屋のドアを開けた。部屋に入り、誰も見ていないのにも関わらず周りをキョロキョロと気にしながら泥棒のように部屋を物色する。小学生の男の子の部屋など子供らしいゲームやら何やらだと私も思っていたのだが、これといってゲームはない。今までお兄ぃの部屋には入ってもよく見た事はなかった。お兄ぃは一体何を楽しみに生きているのだろうか。こんな空間が楽しいとは私は思えないのだが、そんな失礼な事を考えている。まさかこれは私を欺くためのダミーで、小学生にしてエロ本でも隠しているのでは!? そう思うと気になって探すやる気をここぞとばかりに発揮してしまった。でも……何もない。不自然だ。ここまで何も……エロ本とかではなく、物という物がない。娯楽と呼ぶべきものがない。

 

何かあってもいいじゃないか。どうして何もない。アルバム、写真の一枚。本やトランプ一個。一切がない。少し怖くなった。お兄ぃはどうして……趣味とかはなかったのだろうか。私はゾッとする。何かある。この部屋には何かがある。お兄ぃは私に何かを隠しているのではないか。そう思った。不自然な物のなさ。ほっとけと言われるのかもしれない。でもあまりに物がなさすぎる。机には教科書以外の物がない。押入れも服があるだけ。整理整頓がしてあるとかそういう問題ではない。考える。今までのお兄ぃの事を。何をしていた。1人でいる時。お兄ぃは一体何をしていた? ……何を……していた? 寝ていた。お兄ぃはいつも寝ていた。でも本当にそれだけだろうか。私が見ていないところで、お兄ぃは本当に寝ていたのだろうか。そもそも変な話、お兄ぃが寝る事自体がイレギュラーであるのだ。それは人間寝ないとおかしいではないかと思うかもしれない。だが事、お兄ぃに限ってはおかしいという事で済ます事ができる。けどお兄ぃはそんな事知るよしもなかっただろう。

 

そんな時、私はあるの物……いや、物というよりは壁? そこだけ、壁紙と同じ色の白いベニヤ板が置いてある。なぜ部屋にこんな物が、私は疑問にも思わなかった物。今色々と考えればおかしい物だ。私はベニヤ板をどかした。どかしたのだ。しかしどうして。何故。私は知らない。こんな場所、空間。家にこんな空間が、部屋があるんなんて……私は知らない。私は思う。気持ち悪い。この部屋の存在が気持ち悪い。異常だ。何も置いていない全面真っ黒な部屋。そこに……ただ1つ。たった1つだけ中心に物が置いてある。娯楽。確かにこれは娯楽だ。娯楽なのだが……気持ち悪い。どうしてこんなにも気持ちが悪いのか。普段1人しかいないお兄ぃの部屋の奥にある真っ黒な部屋。そこに置いてある立派な足付きの将棋盤。見ればやっていた形跡がある。一体誰と? 一体誰とやっていたのか。これは言ってはいけない事かもしれないが、お兄ぃが友達と遊んでいるところなど見た事はない。もちろんうちになど遊びに来た事など。ならばこれは誰とやっていた。気持ちが悪い。私は震えている。怖かった。お兄ぃの秘密。これは知ってもいい事だったのか? 本当に見てもいい場所だったのか? 私は頭を抱えてその部屋を閉じた。

 

「お兄ぃ……何をしていたの? あの部屋で……1人で…………」

 




次回もよろしくお願いします。
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