ようやく今回にて回想終了!
3/21、サブタイありに修正
6/30、誤字を修正
さて、どうも僕が軽ーく暴露したことは司令官も明石さんも予想外のことだったらしく、二人とも固まってしまった。
…まぁうん、冷静に考えなくても艦「娘」なのに男とか意味わかんないよね。僕が同じ立場だったら露骨に取り乱す自信がある。
「あーっと…それは本気で言ってるのかВерный?」
「ここで僕が嘘つく意味ないでしょ。」
「いや、そう言われてもなぁ…悪いが見た目からして俺には完全に女の子にしか見えんぞ?」
スカートも履いてるし、と司令官が言ってくる。
「すみません、私にも女の子にしか…」
…どうやら二人とも信用してないご様子。仕方ないなぁ…
「むぅ…そんなに言うなら実際に自分の手で確かめてみれば?」
そう言いつつ司令官の手を取り無理矢理胸に当ててやる。
これで信じなかったら気は進まないけど物陰行って確認させるしかないかな…
「…まぁ、確かに胸はねぇな…」
「でしょ?」
いや、僕にしてみれば当たり前のことなんだけどね?
「…だがまだ滅茶苦茶ぺったんなだけで女っていう可能性もだな…」
「ここまでやったのにまだ信用しないの?ねぇ?」
嘘だろおい。
というか、女の子は普通こんなことしない。…しないよね?
「…何なら下脱いでもいいけど?」
「待て待て早まんな。…んなこと嘘ついたって意味ないだろうし、マジなんだろ?」
「本当に女の子だったらここまで大胆なことはやらないと思いますしねぇ…。」
少なくとも私はほぼ初対面相手に向かってこんなこと絶対にしません。と明石さんからの援護射撃も入る。
そりゃそうだ。好き好んで初対面の男性相手に胸触らせる女の子がどこにいるのか。
まぁ、ともかくどうやらちゃんと信じてもらえたようだ。
「しっかし、ことごとくイレギュラーな存在だな、お前…」
ハァ、とため息を漏らす司令官。全く…
「司令官、ため息つくと幸せが逃げるんだよ?」
「誰のせいだと思ってんだコラ」
「少なくとも僕のせいじゃない…かな。」
いやー誰のせいだろうなー皆目見当もつかないわー。(棒)
「……(ぎにゅう」
「いだだだだだだ?!ちょ、無言で耳引っ張んないでよ?!」
親切にも注意してあげたというのに感謝ではなく理不尽なお仕置きをもらった。
「いやぁ、今のはされてしかるべきだと思いますけど…」
明石さんが苦笑しながらそんなことを言ってきた。
くそぅ、まさか明石さんまで敵に回るとは。
「くっ…月夜の無い晩だけだと思わないことだね…」
「いや、怖いわ!ってか何でそんな言葉知ってんだよ。」
「割と好きだったからね、時代劇とかそういうの。」
「また若いくせに渋いもん好きだったんだな…」
「だってかっこよくない?刀とかでこう、バッサバッサと敵倒すの。」
それでひとしきり無双した後、静まれーい!ってするのとか憧れてたけどなぁ。
「その気持ちはわからんでもないが…」
「でしょう?」
時代劇なんて男の子ならば誰もが一度は夢見たことがあるであろう、ヒーロー物の典型みたいなもんだしね。
「あのー、司令官さん?結局、Верныйちゃ「くん!」…くんのことはどうするんです?ここまでイレギュラーな事起こったの私が知ってる限りだと初めてですけど…」
あ、それ僕もちょっと気になってた。
というかナチュラルにちゃん付けするのやめてもらえますかね。
訂正しなかったらそのままだったでしょ、明石さん。
「安心しろ明石、俺もこんなこと初めてだ。
んー…でもまぁ、前世の記憶うんぬんは抜きにして報告上げんのが最善だろうなぁ。」
運用方法は俺個人に一任されてるわけだし、という司令官。
「それはそうだけどさ、男の艦娘とか正直言って薬漬け解剖モルモット待ったなしな気がしてならないんだけどその辺どうなのさ?」
僕としては今のところそれが一番怖い。
もしそうなりそうなら今すぐこの場から全力で逃げだすまであるぞ…。
せっかくもう一回生きれるチャンスをもらったんだ、それをみすみす無駄にしたくないからね。
「いや、それはねぇだろ。いくらイレギュラーって言っても
「ホントに大丈夫?くっ殺展開とか薬堕ちエンドとか僕ごめんだよ?」
ちょっと考えてみてぞっとしたよ。
自分で言っておいてなんだが、そんなもの一体誰に需要があるというのか。
「だから無ぇっつの。それに安心しろ。」
そこまで言って司令官は一息つき、
「たとえそうなっても、俺が絶対に助けに行ってやる。」
…うん、なんていうか、その、さ。
「司令官、それ男に向かって言うセリフじゃないような気がするんだけど…」
司令官は『お前は同じ職場の仲間だから』っていう意味で言ったんだろうけど、聞こえようによっては告白みたいにも聞こえなくもないセリフだ。
というか明石さん、ちっちゃい声で「司令官×Верный(♂)…?キマシタワー!」とかブツブツ言いながら身悶えするんじゃない。
強化された身体能力のせいでばっちり聞こえちゃってるんだよ!今すぐそのおぞましい掛け算をやめなさい!
「そういうもんか?普通だと思うが…」
「うわぁ、しかも本人は自覚なしかぁ…」
こりゃあ、ここに来る艦娘たちは大変だろうなぁ。
天然でこんなセリフ吐く司令官の鎮守府勤務でしょ?
何なら将来僕以外の全員にそういうフラグ立ててもおかしくないよね。
嫌だよ?僕。毎日修羅場の鎮守府でずっと秘書艦やるとか。
「ん”ん”っ、提督さーん?」
おぉ、お帰り明石さん。いつの間にか妄想の世界から返ってきてたんだね。
「おっと、悪ぃ。まぁ話が脱線しちまったがそういうことだ。報告の件でまた連絡は来るだろうからそこんとこだけ頼むぞ。」
「あいあい。それは仕方ないからね。モルモットになんないようにいろいろ話してくるよ。」
「だからそうはならねぇっつってんのに…。まぁいい、改めてよろしくな、
そう言いつつもう一度手を差し出してくる司令官。僕はその手をしっかり握り返す。
「あぁ、こちらこそよろしく、司令官。色々イレギュラーな身ではあるけど、精一杯サポートさせてもらうよ。」
こうして、僕の艦娘生活は幕を開けたのだった。
「…確認するが、ほんとに女の子じゃないんだよな?」
「だからそう言ってるでしょ?!」
さすがにしつこいぞ司令官!
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「そして今に至る、と…」
「ん?どうしたВерный。」
僕が着任した当初のことを思い出していると、僕が淹れたお茶を飲んでいた司令官から声がかかる。
どうやら少し声に出してしまっていたらしい。
「む。何でもないよ。ちょっと着任した当時のことを思い返してただけ。」
「あー…今思い出してもすごかったな、あれは…」
「だろうねぇ…。前例ないことばっか起こってたしね。」
僕が答えを返すと懐かしむような笑みを浮かべる司令官。
あれからいろんな海域に出撃して、いろんな敵を倒して、いろんな艦娘たちをお迎えしてきた。
あ、僕は約束通り途中でほぼ秘書艦専任になったよ。
特別海域には練度の問題で入ることがあるけど、そこはまぁしょうがない。
だって基本的に僕に攻撃当たらないんだもん。
一回だけ味方を庇って中破になったことがあるけど、それ以外は無傷orかすり傷。
神様特典は伊達じゃなかった。
ちなみに、今になっても僕以外に男の艦娘が建造されたという話は聞いたことがない。
そう、つまり僕はオンリーワンの存在なのだ。当たり前だけど。
そんなことを考えながら、司令官の机の横に並んでいる僕の机に腰掛け、お茶をすする。
うむ、うまい。
「んー…マンダム。我ながら上出来だね…。」
「今飲んでんのコーヒーじゃなくて緑茶だろうが。しかし、お茶淹れんのもうまくなったよなぁ、お前。一番最初に出されたお茶なんて渋くて飲めたもんじゃなかったのに。」
「あー、あれは酷かったねぇ…。でも、急須なんて使ったことなかったんだからしょうがないでしょ?」
「そういや言ってたな、初めて使ったって。」
あれは困った。一体どのタイミングでお茶っ葉を出せばいいのかわからなかったのだ。
だから最初のうちはかなり渋かったり、はたまたほとんど味がなかったりとだいぶ苦労したものだ。
「それが今となってはこれですよ…。」
「分かった、お前が頑張ったのはわかったからそのドヤ顔やめろ、腹立ってくるから。」
「僕のこのかわいい顔に向かってなんてことを。」
「お前の部屋、鏡無かったか?貸してやろうか。」
「なにをー?」
司令官とそんな軽口を叩き合いつつ、お茶を飲んでまったりとした時間を過ごす。
仕事の息抜きにはちょうどいい。
「…ん、結構なお手前で。」
「自分で言うな自分で…。ほい、ご馳走さん。」
「はいはーい。じゃあ洗ってくるねー。」
「あいよー。」
お茶を飲み終えて司令官の分も合わせて片付けに向かう。
その時、改めてふと、言いたくなった。
「…司令官。」
「なんだ?」
「これからも、よろしくね。」
「…あぁ、こちらこそよろしく。」
そう言った後、なんだかおかしくなってどちらからともなく笑いだした。
ひとしきり笑った後、湯呑を片付けて自分の机に戻る。
「……よっし、息抜きもしたことだし、ちゃっちゃと今日の分の仕事、終わらせちゃおうか。」
「だな。そうするかー。」
そうして僕と司令官は仕事を再開する。
時々、騒がしくなったり、誰かのせいでカオスになったりもするけど笑顔が絶えない、楽しい日々。
これが僕、秘書艦Верныйの日常だ。
次回からようやく鎮守府の日常に入っていきます。
できるだけ早めに投稿していきたい…!(できるとは言っていない)