秘書艦Верныйくん   作:mkdn

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遅くなってしまい申し訳ございません…
とりあえず第3話です、どうぞ!


8/3、本文を編集


3,とある初夏の日のお話

拝啓

 

夏が近づくにつれ気温も上がり、だんだんと日中は汗ばむ日も増えてきましたが、この小説を読んでいただいている皆様方はいかがお過ごしですか。

もしかするともう既にクーラーをつけて部屋の中で涼んでいる方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、いくら暑いからといって、クーラーや扇風機の風が直接当たるようなところで寝ていると体調を崩されやすいのでお気をつけください。

 

そんなことを言っている僕はというとーーー

 

 

 

「あっぢぃぃぃ………」

 

「やめろ…そんな声聞くと我慢してんのにこっちまで暑くなってくるだろ…」

 

 

 

ーーー灼熱の司令室で暑さで死にかけてます。

 

こんなことになった事の発端は三時間ほど前まで遡る…

 

 

開けた窓からはセミの鳴く声が聞こえ始め、薄着になっても汗ばむような気温になってきたある日の昼下がり、僕と司令官はいつものごとく執務に励んでいた。

 

(にしても今日は一段とあっついな…)

 

そう思いながら卓上の時計についている温度計に目を向けると表示されている温度は30℃を越えていた。暑いわけだ。

 

「司令官、暑くなってきたしそろそろエアコン付けてもいいんじゃない?窓開けると潮風入ってくるけどそろそろ限界だと思うんだけど…」

 

見てよこれ、と司令官にもその温度計を見せてやると、

 

「…そうだな、昨日も昼間しんどかったし今日から解禁するかー」

 

去年の冬以来使っていなかったエアコンの使用許可が降りた。

 

「わーい、これでようやく涼みながら仕事が出来る…!」

 

あとゲームとかゲームとかゲームとかできる!

早速つけてしまおうと思い、全開にしていた窓を閉める。

 

「リモコンってどこにしまったっけ?」

 

「あー?確かここの引き出しに…っと、あったぞ、ほれ。」

 

「ん、ありがと。それじゃあ早速スイッチおーん!」

 

司令官の机の引き出しにしまってあったリモコンをパスしてもらい、エアコンに向けて冷房のスイッチを入れる。

しかし反応がない。

 

「…あれ?付いてないや」

 

押し方が悪かったのかな、と思いつつ再度冷房のボタンを押すも反応は無し。

 

「あっれー?電源入んないなぁ…もしかして壊れた?」

 

「冬に変えたばっかでそれは無いだろ…ちょっとリモコン貸してみろ」

 

そう言われたので司令官にリモコンを渡す。

渡された司令官がそれを見てある事に気付いた。

 

「ん?これリモコンが電池切れてるじゃねーか」

 

「あ、なるほどそういう…じゃあエアコンは正常なのね」

 

「電源入ってないからなんとも言えないけどエアコン自体は多分大丈夫だろ」

 

そう言いつつ司令官はリモコンの電池カバーを開け、電池の型と必要な本数を確認する。

 

「単4が2本か、すまんВерный、電池入れてある箱から出してくれ」

 

「あいあいさー」

 

執務室にある棚から箱を引っ張りだし、中を漁る。

単4単4っと…

…あれ?確かこの辺にあったはずなんだけどなぁ…

僕が首を傾げながら箱を漁っているとそれを見た司令官が声をかけてきた。

 

「…?もしかして切らしてるか?」

 

「そう、みたいねー…」

 

いつもしまってあるところに無いし、一応中に入っていた電池を全部出してみたけど見当たらなかったし

ってことは…

 

「マジかー…じゃあ電池買ってこないと電源入れれないな…」

 

エアコンが使えない、ってことだね…

 

「執務室のエアコンだけ去年新しくしたばっかでほかの部屋とリモコン違うもんね…」

 

そう、執務室のエアコンは去年の冬、使っていたら急にうんともすんとも言わなくなり、修理するより新調した方が安かったから他の部屋の物と違って比較的最近のものに変えたんだけど、今回はそれが仇となったね…

 

「うーん…今って誰か買い物行ってないっけ?」

 

「あーっと…確か青葉のやつが『使ってるカメラのシリーズが新しいの出るのでちょっと見てきます!』とか言ってたような…?」

 

「お、ならちょうどいいじゃん、電話してそのついでに買ってきてもらおうよ」

 

「そうだな、そうするかー」

 

善は急げ、ってなわけで青葉さんに早速連絡を取ろうか。

 

TELLL…

 

「はいもしもし、青葉です!」

 

「もしもし青葉さん?Верныйだよ」

 

「おぉ?!Верныйさんから電話とは珍しいですねぇ、何か御用ですか?」

 

「うん、ちょっと単4の電池を切らしちゃっててね。青葉さん今電器屋さんにいるんでしょ?ついでに買ってきて欲しいなって。」

 

「なるほど、了解しました!それくらいならお安い御用です!あ、でももうちょっとカメラの方見たいんでちょっと遅くなっちゃいますけど大丈夫です?多分2時か3時位になると思うんですけど。」

 

「こっちが頼んでる立場なんだし全然いいよー。」

 

「そうですか、わかりました!それでは失礼しますね!」

 

「ん、お願いねー」

 

用件を伝え終えて電話を切ると、司令官が声をかけてくる。

 

「どうだった?」

 

「買ってきてくれるってよ。でももうちょっとカメラ見たいからちょっと遅くなるって」

 

「そうか。んー、本音をいうならすぐ欲しかったとこだが頼んでる立場でそんなこと言えないな。」

 

「そうねー。まぁそれまではクーラー無しで頑張りましょ。確か倉庫に扇風機あったよね?持ってくる?」

 

「いや、この前そこの押入れに持ってきておいた。まぁクーラーの代わりにはならんだろうがマシにはなるだろ」

 

「おぉ、グッジョブ司令官。んじゃ出してつけようか」

 

そんなこんなで扇風機を設置。

もちろん締め切ったままじゃ暑いから窓も開けてね。

 

「それじゃ、ポチッとな」

 

扇風機のスイッチを押すと、羽が回る音を響かせると共に、涼しい風を送りだした。

 

「うっし、まぁまだちょっと暑いがマシにはなったろ。仕事に戻るぞー」

 

「ほいさー」

 

そう言いつつ仕事に戻ったのが昼前の11時頃。

もちろんだんだんと気温は上がってくるわけで…

 

 

「あっぢぃぃぃ………」

 

「やめろ…そんな声聞くと我慢してんのにこっちまで暑くなってくるだろ…」

 

冒頭に戻る、と…

 

 

時計の温度計を見れば34℃と表示されていた。しかもまだじわじわとだが上がっていっている。

 

「…とりあえず扇風機止めようか」

 

「そうだな…さっきから熱風しか送られてこねぇ…」

 

さっきまでは涼風を送りだしてくれていた扇風機も今となっては熱風を吹き付けてくる悪魔のような機械に早変わり。お兄さんそんな子に育てた覚えはありませんよ!

 

「くっそ…青葉はまだ帰ってこねーのか…?」

 

くだらないことを考えていると司令服を脱いでアンダーシャツ1枚になってる司令官が青葉さんのことをボヤいてきた。

 

「どうだろ…多分もうそろそろ帰ってきてもいい頃だとは思うんだけど…」

 

2時か3時には帰るって言ってたし…ちなみに今は2時15分。

 

「あーくそっ、仕方ねぇ、変わんない気もするがシャツ脱ぐか…」

 

そうしていると司令官がついにアンダーシャツも脱ぎ、上半身裸になる。

…そうだ、僕も暑いし上だけ脱いじゃうかな。

なんだかんだ言いつつまだ袖まくっただけだし。

 

「ん、しょっと…」

 

脱ごうとして気づく。

昨日の夜暑かったからシャツ脱いでそのままだ。つまり服の下は素肌。

だからなーんかぺたぺたして気持ち悪かったんだなーと考えながら服を脱ぎ捨てると司令官がこっちをガン見していることに気づいた。え、何アレ怖っ…

そしてそのままこっちに寄ってきて僕が脱いだ服を目の前に突き出してきた。

 

「悪い事言わんからお前は着とけ。」

 

「なんで?僕だって暑いんだけど…」

 

「何でもだ。いいから着とけって。」

 

「えー、納得出来ないんだけど。司令官だって上着てないんだしいいじゃん。」

 

「いや、俺とお前を一緒にするなよ。」

 

「それこそなんで?!意味わかんないよ?!」

 

「お前の見てくれで上半身裸は色々とマズイ!頼むから着といてくれ!」

 

「だーれの見た目が女の子じゃこらぁ!!今ので決心した、絶対着てやんないからな!むしろ下まで脱いでくれるわーっ!!」

 

「やめろ!というか俺そこまで言ってないだろ?!このッ…とにかく着ろって言ってんだろうがー!」

 

「んな暑い物、着てっ…たまるかぁー!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「はぁ…はぁ…ようやく…っ捕まえたぞ…!」

 

格闘すること十数分、僕は司令官に捕まえられていた。

くそぅ、司令官め、抜けれないように重心きっちり押さえ込みやがって…!

 

「くっ…殺せ…!」

 

「オークに捕まったエルフかお前は…まぁいい、大人しく着てもらおうか!つうかお前のせいで余計に身体熱くなったわ?!」

 

「司令官が服着せようとしなければ良かった話でしょ!」

 

「アホか、俺の精神衛生上宜しくないんだよ!」

 

そう言いつつ頭にチョップをかましてくる司令官。地味に痛い。若干涙まで出てきた。なんかこの体になってから涙腺緩くなったなぁ…。

そしてそのまま服を着せようとしてくるので、自分のことを抱くようにして腕を固め、袖を通されないよう最後の抵抗を試みる。

 

「くっそぅ…たとえ体は屈しても心までは屈しないからな!」

 

「うるさいわ!?いいから観念しておとなしく…!」

 

そんな最中、ガチャッと音を立てて執務室の扉が開いた。その音につられてそちらに顔を向けると、

 

「恐縮です、青葉ですぅ!ただいま帰りましたぁいやぁ遅くなって申し訳ありまー」

 

電器屋さんから帰ってきて、その挨拶の途中でこっちを向き、何故かそのまま固まってしまった青葉さんがいた。

 

 

 

ここで今の執務室の状況を客観的に見て整理してみよう。

 

1.僕は今司令官に暴れないように押し倒されるようにして押さえ込まれている

 

2.僕と司令官の2人とも暑い室内で暴れていたため汗だくで息が乱れている

 

3.その影響で僕は上下ともに服が乱れており、司令官に至っては上半身裸である

 

4.僕の上の服を司令官が持っており、僕は自分を抱くような、胸を隠すようなポーズをとっていてなおかつ涙目

 

 

 

 

つまり司令官が無理矢理僕を襲ってるように見えるわけだな!

 

 

 

 

僕が察するのと同タイミングで青葉さんが再起動し、素早く懐から何か黒い大きな塊を取り出す。

…まぁカメラなんだけど。見たことないし買ってきた新しいやつかな?

そしてそのまま高速でシャッターを切り、

 

「青葉、見ちゃいました!あ、頼まれてた電池、ここに置いときますね!」

 

と言うと、そのまま走り去った。

廊下からはスクープスクープー♪という声がだんだん遠くなっていくのが聞こえる。

それを見た司令官は息を吐きながらゆっくり立ち上がり、アンダーシャツと司令服を着ると、置かれていた電池を僕に放り投げてきた。

 

「Верный、さっきまでのは色々と済まなかったな、リモコンの電池替えて涼んでていいぞ。」

 

「…聞くまでもないけど司令官は今から何するの?」

 

僕が上の服を着ながらそう聞くと、司令官は清々しいほどの笑顔でーー目が笑っていない笑顔でこう答えた。

 

「ははっ、ちょっと青葉と『お話』してくるわ」

 

あっ…(察し)

これあかんやつですわ…

 

「…行ってらっしゃい」

 

「おう、行ってくるわ」

 

そう言い残して司令官は一瞬にして目の前から消えた。

廊下の先の方からは「青葉あああああああぁぁぁぁぁ!!!!!」という怒鳴り声と誰かが鬼ごっこでもしているかのような声が聞こえてくる。

いやーいったい誰が何やってるんだろうなー僕には皆目検討もつかないわー(棒)

 

「………さーて、お仕事お仕事っと。」

 

一人取り残された僕はリモコンの電池を替えてクーラーをつけると、意識を仕事へと戻すのだった。




という訳で第3話でした

ちゃうねん(震え声)
ホントはもうちょっと早く投稿できるはずやってん…

次の投稿は今回以上に引き伸ばさないように頑張ります(目標が低いクズ)
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