土方が刀を抜きながら言う。
「いいか? 俺が言質を取った後、バズーカぶっ放すから。その騒ぎに乗じて逃げろ。敵に見つかったら、容赦なく、斬れ。わかったな?」
「わからん!」
わたしは即答し、土方の傍から離れる。コンテナとコンテナの間を飛び、その上へと上がった。
そして、刀を抜き放つ。
「現場は捕らえたわよっ! 悪党共っ!」
古ぼけた電球の灯りを、短い刀の切っ先は力強く反射する。
「将ちゃんの平和を脅かそうとする武器を密輸するなんて言語道断! この天才美少女
わたしの声明によって、わらわらと人が集まり出す。面構えが雑魚だと物語っていた。
「なんだい、テメェーは! どこから入りやがった?」
「影のある所に光あり! 悪のある所に正義ありっ!」
「テメェ、真選組の者だな! 噂には聞いているぞ、最近真選組は凄腕の女剣客を引き入れたと――」
「ごちゃごちゃうるさい、チンピラその
それに、チンピラ壱は悔し気に顔をしかめる。
「なんだその言い草は! おれらだってただ妻子養うために懸命に仕事してるだけだってのに!」
「悪人に人権はないっ!」
わたしは、トッシーとよく観ていたアニメの主人公の名セリフを叫んだ時である。
「……変な奴を連れてきちまって、悪かったな」
土方が、蔵馬に刀を突き付け、なぜかそう謝っていた。
蔵馬が苦笑する。
「なかなかいい囮役だったんじゃないですかね。おかげで、あなたのことは全然気づけませんでしたよ」
「どうせ囮やんなら、もっと色気ある方法でもして欲しかったんだがな。
「帰った方が良かったんじゃないですか? たった二人で、これだけの人数を相手しようとするほうが、阿呆というものだと思いますが」
蔵馬がそう言うと、陰から武器を持った浪士たちが、どんどんと出てくる。高台から見下ろしただけで、ざっと三十人は超えているだろう。この狭い倉庫の一角でそれだけなのだ。倉庫の他の区画や、周りを見張っている数も入れれば、百を超えている可能性だってある。
「へぇー、三流の悪党だと思っていたら、けっこう仲間いるのね」
わたしの感想に、蔵馬は顔を上げた。
「あなたという存在のおかげで、強力な助っ人を得ることが出来まして。感謝してますよ、桜さん――いや、アフロレディ……でしたっけ?」
小ばかにするような笑みを無視して、わたしは目を細めた。
蔵馬の隣にいる男、どこかで見たことがあるような気がするのだ。
まともに話した覚えはないのだけど。その
わたしが答えを出す前に、蔵馬が語る。
「まったく、ミツバは便利な存在でしたよ。沖田総悟という餌だけでなく、沖田と懇意にしているあなたまで餌に出来たのですから。おかげで、鬼兵隊と手を結ぶことも出来ました」
「鬼兵隊っ!」
驚くわたしに、蔵馬の隣の男が、わたしに会釈をした。
「ご無沙汰しております、桜様。高杉の命令によって、迎えにきてあげました
うっすらとした記憶の中。
高杉に捕らえられていた時に、高杉の後ろにいたことがあったかもしれない。
そして、
「あんたの名前は初耳だけど……高杉いない時、一人でわたしを見にきて、なんかハァハァ言ってなかった?」
「気のせいですよ。私はこれでもフェミニストなもので。もう少し若い頃の方が美味しかったろうにと思っていただけです」