――
思案した後、わたしは両手を打った。
「あ、
「ロリコンではありません。フェミニストです!」
強く否定してくる武市という男に嫌悪感を抱きつつも、わたしは背中に手を回した。
陰に隠れて、ライフルを構える男たちがいた。わたしに狙いを定めるか、土方を狙うか迷っている様子である。
「どちらでもいいけど、ご足労が無駄に終わって、残念だったわね」
マシンガンを前に持ってきて、左手でトリガーを押さえた。
ライフルは、土方に定められたようだ。蔵馬を助ける方が先と、判断したらしい。
――蔵馬に当たったら、どうするつもりなんだか。
それならそれで、こちらとしては好都合であるが、狙い通りに当たる可能性だって、無きにしも非ず。
「大人しく、戻るつもりはないと?」
「そんな場所、わたしが帰る場所じゃないし。だいたい、わたし高杉のこと昔から嫌いなのだけど」
「嫌よ嫌よも好きのうちではないのですか?」
飄々と、変態の口から出る言葉に反吐が出る思いだが、わたしはぐっと堪えて、代わりに、
「馬鹿ね。嫌って言ってるんだから、嫌に決まってるじゃない」
トリガーを引いた。
ダダダダと撃ち出される弾丸を、目にも止まらぬ速さで降らせる。雑魚は数人、うずくまった。もちろん、ライフルを構えた男にも、ちょうど腕に当たったようで、ライフルを落として腕を押さえている。武市はひょいひょいと避けていた。
土方はその拍子に蔵馬に体当たりをされ、逃げられていた。
銃弾はあっという間に終わってしまい、わたしはマシンガンを捨てた。そして、コンテナの上から飛び降りる。
「あーあ、逃がしてやんの」
「誰のせいだ、誰の!」
土方と背を合わせて、刀を構える。
「けど、マシンガンぶっ放すの、ちょっと楽しかったよ?」
「あー、そりゃあ良かったな。これからもっと面白いぜ?」
蔵馬と武市の姿がくらむのは早く、代わりに刀を持つ浪士がわらわらと前に出てくる。
「殺す気でかかれよ」
土方は、とにかくわたしの身を案じているようで。
わたしは彼の背中に一瞬だけもたれこみ、
「誰に言ってんだか」
反動をつけて、前に跳んだ。浪士との距離を一気に縮め、すぐさま刀を振りぬく。サクッと身にのめりこみ、ぬるっとした感触を手に感じながら、抜く。
視界に入る赤い鮮血を避けて、わたしはすぐに狼狽する他の浪士を斬る。
「へっ、案外、親友ってのも頼りになんな」
土方のそんな声に、返事をする代わりに、わたしはまた一人、斬った。
斬られた男が後ろめりに倒れ、開けた先に見えるのは銃口。
わたしが反射的に身をひねると、耳元をビュンと高速で何かが通り過ぎる。視線で追えば、わたしの代わりに、見知らぬ浪士が肩を撃たれていた。
――拳銃、ね……。
自分も持っていることを思い出し、上着のポケットから取り出してみる。
左手で構えて、躊躇わず引き金を引いた。
さっき撃ってきた男の眉間に当たり、その男は目を丸くしたまま、力なく倒れた。
「簡単に当たるじゃない」
そう呟いた時、
「桜ぁぁあああ!」
大声で呼ばれ、誰かに手を引かれる。
轟音が、鼓膜を揺るがした。
その瞬間、わたしの背中を爆風が強く押した。