偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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バズーカを人に撃たずにどこに撃つ⑦

 それに、土方は何も返すことなく、ただ、息を整えていた。

 

「姉を握れば、総悟君は(ぎょ)しやすいと踏んでおりましたが。医者の話によれば、あれももう長くないとのこと。非常に残念な話だ」

「ハナから俺ら抱き込むために、あいつ利用する気だったのかよ……」

「愛していましたよ! 商人(あきんど)は、()を生むものを愛でるものです――ただ、道具としてですが」

 

 きっぱりと。はっきりと。

 

 蔵馬はそう、彼女のことを言いきって。

 

「あのような欠陥品に、人並みの幸せを与えてやったのです。感謝して欲しいくらいですよ」

 

 その顔には、(あざけ)りも、傲慢さもなく、当然とばかりに、そう言いのけた。

 

 ――道具には、情の欠片もないということ……?

 

 ふと、そんなことを考えるが、言葉には出なかった。

 

 何かを言い返そう、言い負かそうと考えるけど、なぜか、口が開かない。

 

 土方は、そんなわたしを撥ね退けた。そして、懐からタバコを取り出して、火を付ける。雨にもタバコの火は消えることなく、彼は煙を吐き出して、小さく笑った。

 

「外道とは言わねぇよ。俺も、ひでぇことを腐るほどしてきた。挙句に、死にかけてる時にその旦那を叩き斬ろうとしてんだ……ひでぇ話だ」

「同じ穴の(むじな)ということですか。鬼の副長とはよく言ったものです。あなたとは気が合いそうだ」

「そんな大そうなもんじゃねぇーよ」

 

 土方はそう言うと、ゆっくりと刀を横に構えた。多くの人を斬り、ボロボロになった刀が、濡れて鈍い光を放つ。

 

「俺はただ……惚れた女にゃ、幸せになってほしいだけだ」

 

 その横顔は、とても鋭利だった。

 

「こんな刀振り回している俺には無理な話だが、普通に働いている奴と所帯持って、ガキ産んで、普通に生きていってほしいだけだ」

 

 前を見る視線は、空からの黒い雨に怯むことなく、ただただ、前を見据えていた。

 

「ただ……それだけだ」

 

 それに、蔵馬は見下げるように笑って、

 

「なるほど……やはり、お侍様の考えることは、私たち下郎にはわかりませぬな」

 

 手を挙げた。

 

「撃てぇ!」

 

 その瞬間、全然違う方向から爆撃が撃ち込まれる。蔵馬たちは、それに身を屈めた。

 

 煙が退けて、飛び出してくる集団に、わたしは小さく微笑んだ。

 

「遅いわよ……」

「いけぇぇぇええええ!」

 

 大将を筆頭に、黒い集団が刀を振り上げて、突撃してくる。

 

「真選組だぁぁぁああ!」

 

 どこからともなく上がる怯えた声。近藤が何人もの浪士を切り捨てている最中、わたしたちの傍に駆け寄ってくるアフロがいた。

 

「桜ちゃん! どーしてこんな所にいるの!」

 

 心配を顔に描きながら、頼りなさそうに駆け寄ってくる山崎に、わたしは愛想笑いを浮かべた。

 

「んー、アフロが愛の救世主になればいいかと思ってね」

「んなことどーでもいいから、さっさとこいつ連れてってくれ」

 

 呆れたようにそう言う土方に、山崎はびっくりして、

 

「わわっ! 土方さんひどい怪我! それに対して……桜ちゃんは元気そうだねぇ」

「うん! 土方さんが身を挺して守ってくれたよ」

「やめてくれ……余計に情けなくなる……」

 

 わたしの小さな嘘に、土方が頭を抱えた時だ。

 

「死ねぇぇぇえええ!」

 

 そんな怒声が聴こえた時、わたしは思いっきり、土方に突き飛ばされた。

 

 

 

 

 

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