偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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男のためであっても女は売るな③

 ――キャバ嬢ねぇ……。

 

 ばっちり化粧をして、綺麗なドレスを着て、男に褒められる。

 

 女に生まれた以上、一度は夜の蝶に憧れたことがないわけではない。

 

 その分、男に厭らしい目で見られたり、嫌なところを触られたりするリスクだってあるわけだが。

 

 ――果たして、わたしがそんなに弱い女だったかしら?

 

 たいていの男ならば、捻りつぶして余るくらい叩きのめそうと思えば、出来る自信がある。

 

 それに、店の存続が今日の成功にかかっているらしく、妙が必死に頭を下げてきている。

 

 果たして、断る理由があるのだろうか。

 

「いいよ、そのお仕事引き受けて――」

 

 わたしが快諾しようとした時である。

 

「ダメだ! そんな依頼、ぜってェー許さねェー!」

 

 軒下から出てきた沖田が、わたしに睨みを効かせながら寄ってくる。

 

「ちょっとー、わたしが頼まれてるのに、どうして総悟くんの許可がいるわけ?」

「当たり前だろーが! 誰がテメェの監視係だと思ってるんでィ!」

 

 ――あぁ……そんなのもあったわねぇ……。

 

 わたしは懐かしむような目で、沖田を見つめて。

 

「ねぇ、山崎。その係ってチェンジ出来ないのかしら?」

 

 横を向くと、山崎はただ沖田を見てはオロオロとしている。

 

 ぐいっと首輪を指をかけるような形で、わたしは沖田に摘まみ上げられた。

 

「こちとらホストじゃねェーんだコノヤロー。ペットは飼い主選べねェ言うだろ」

「苦しい……さすがに苦しいから……」

 

 沖田の肩を何回か叩くと、彼は不満げに鼻で息を吐いては、わたしをポイっと投げる。

 

「ったく……尻餅って地味に痛いんだけど……」

 

 心配そうに屈んでくる山崎を制止して、わたしは尻をさすりながら立ち上がる。

 

「さ……桜ちゃん、お取り込み中ならまたお返事は後ででも……」

 

 険悪な雰囲気を察してだろう。巻き込まれないと立ち去ろうとする銀時に、

 

「大丈夫。ちょっと待って」

 

 短くそう言って、わたしは手に持つシャトルとラケットを確認する。

 

「ようは、総悟くんよりも偉い人に許可が貰えればいいのよね?」

 

 睨んでくる沖田に口角を上げて、わたしはシャトルとラケットを構えた。下から撃つように狙いを定めて、

 

「しゃぁおらぁぁああ!」

 

 ぶっぱなす。

 

 うねるような回転音と共に、弾丸のごとく飛んでいったシャトルは、床下に突入し、

 

「あべしっ」

 

 間抜けな声をあげる怪物かなにかに当たった。

 

 這い出てくる怪物の正体に、驚く者は誰もいなかった。

 

「ちょっと桜ちゃーん! ダメでしょこんなところに撃ったら! 誰かに当たったら危ないでしょー!」

「大丈夫だよ。そんな所、近藤さんくらいしかいないから」

 

 前々から噂には聴いていたのだが。

 

 この真選組の局長、近藤勲は、キャバ嬢に恋をしすぎてストーカーをしているらしい。

 

 妙が来てから、ずっと気配があったので、もしやと思ってみたのだが。

 

 ――実際に目の当たりにすると、気持ち悪いわね。

 

 わたしはその考えを顔に出さず、近藤に歩み寄る。傍でしゃがんで、わたしはにこりと微笑んだ。

 

「ねぇ、近藤さん。妙さんがわたしの手を借りたい言ってきてくれてるの。助けてあげたいんだけど……だめ?」

 

 すると、近藤は目を丸々と見開く。

 

「お妙さんのため?」

「そう、わたしが一日キャバ嬢お手伝いしたら、妙さんが喜ぶの」

「お妙さんが喜ぶ……」

 

 噛み締めるようにそう言うと、近藤は目を輝かせて、サムズアップ。

 

「お妙さんのためなら!」

 

 わたしはその言葉を聞いて、振り返る。何も言えず、悔しげに唇を噛み締める沖田に、ニヤリと笑みを返してやった。

 

 

 

 

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