「……確かに、昔の俺に似てるような気がしないでもないような、そうでもないような」
「誰がどう見ても、まんまテメェーだろうが」
壁に刺さっていた男たちを引っこ抜き、床に転がした世紀末を山崎と沖田は見下ろしていた。
「そういや沖田さん、覚えてませんか? 俺がマウンテン引退した時、襲名だぁって騒いで浪士組脱退した奴」
「覚えてねェーなァ。そんな三流っぽい奴は」
「ま、沖田さんはそーですよねぇ」
嘆息する山崎に対して、沖田は舌打ちする。
「オイ、山崎。その言い方は俺にケンカ売ってると取っていいんだな? 太っ腹な俺様が景気よく買ってやらァ、どーする?」
沖田は機嫌が悪いようだった。
なんやかんや女装は嫌だったのか、一段落した直後にすぐさま制服姿に着替えていた。もちろん、カツラも取っている。
そんないつものドSの一番隊隊長が、いつもよりもねちっこく部下に絡んでいた。
ともあれ。
いきなり強盗の如く乱入してきた世紀末は、本当に強盗だったらしい。
その正体が、昔の山崎の知り合いだったなんて、些細な問題である。
――実際に、あの様子だと友達でもないみたいだしね。
わたしはそんな二人の様子を見ながら、扇子を仰いでいた。
わたしの膝を枕にして寝ている人物は、まだ目を開かない。
「桜ちゃん、上様の様子は?」
外で一通りの指示を出し終えたらしい近藤が、駆け寄ってくる。
わたしは首を振った。
「だーめ。動かない」
「そ……そんな! まさか……」
青ざめた顔をする近藤を見ながら、わたしも思案する。
「脈拍も正常で、呼吸も問題なさそうなんだけどねぇ。外傷も特にないし。顔色も……なんか表情が固い気もするけど、命に別状がある様子でもないと思うよ」
「桜ちゃん、医学に心得でもあるの……?」
「別にー。昔ちょこーっとそーいった本を読んでた時期もあったけど……まぁ、人の生き死にはたくさん見てきたからね。なんとなく、生きる人と死ぬ人の見分けくらい、つくようにならない?」
「まぁ、確かに……」
近藤の同意も得て、もう一度、わたしの膝で眠る将軍の顔を見る。やっぱりなんか微妙な寝顔な気もするが、特別具合が悪そうではない。
ちなみに、将軍はちゃんと服を着せている。
将軍を引っこ抜いたのは、どこからともなく現れた銀時だった。気を失っている将軍にぶつくさと言いながらも適当に服を着せ、わたしに預けて行ったのである。
「あのさ、お兄ちゃん、どこ行ったの?」
「万事屋なら、金はどこに請求すりゃいいんだーって叫びながら、帰っていったよ」
「……何しに来てたのよ、あいつらは……」
呆れるわたしに、近藤が苦笑を返した。
「でも、山崎を呼びに来たの、万事屋だったよ。新八君が俺らに事情を説明している間に、桜ちゃんのお兄ちゃんが山崎の襟首掴んでったのさ。全く、油断も隙もない奴らだね」
「ほんと、どーしようもなく憎めない兄貴で申し訳ない」
「憎めないって、桜ちゃんが言っちゃう?」
「あら、わたし結構ブラコンよ?」
そう言う自分が笑いを堪えられなくって。
近藤と顔を見合わせながら笑いあっていると、どこからと視線を感じる。
その方を見れば、やっぱり不機嫌そうな沖田と目が合った。
「ほら、桜ちゃんがお兄ちゃん大好きなんて言うから、総悟が拗ねちゃってるじゃないか」
「なんか、さっきからあんな感じよ、総悟くん」