偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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お酒は飼い主の許可をもらってから③

 わたしは近藤が置いたグラスを持ち上げ、近藤に渡す。彼はちょこっと顔を上げた。その間抜けな顔が、国の一組織の隊長だということが、いまひとつ信じられないのだが。わたしはにこりと笑ってやる。

 

「よろしく、近藤さん」

 

 そして、一方的に彼の持つグラスと、わたしのグラスを合わせた。

 

「てか、なんでこんな朝っぱらから宴会なわけ? 真選組って、お巡りさんなんじゃないの?」

 

 ざっくり話を変えたわたしに、近藤は表情を明るくした。

 

「当番の奴以外は、基本仕事は九時からだからな。それ以外の時間は仕事に支障がでなければ、何しても構わんさ……なにより、今回の宴会はトシが言いだしたんだぜ」

「土方さんが?」

 

 土方を見ると、彼はビールから口を離し、睨んできた。

 

「んだよ、俺が企画しちゃ、悪いのか?」

「だって、鬼の副長って呼ばれてるんじゃないの?」

「そりゃ、規律にゃうるさい自覚はあるがな……今回は特別だ」

 

 そう言うと、にやりと笑って、

 

「何せ、今回は、無事に総悟ちゃんを救出できたってお祝いもあるからなぁ、そ・う・ご・ちゃん」

 

 土方はビール瓶片手に立ち上がり、隅の沖田の方へ向かった。

 

「どうだったよ、悪者にさらわれて、女の子に助けてもらった気分は? 胸キュンしたりしたか? あ?」

「……いい年した男が胸キュンなんて言葉使って、痛いだけっスよ」

 

 座り込んで沖田の肩を組み、土方は沖田のグラスにビールを注ぐ。

 

「るせーよ。で、どうなんだよ。総悟ちゃん」

 

 ――あー、そういうことか。

 

 わたしは自分の頬を何回か掻いた。沖田がずっと拗ねてた理由がわかったのだ。そして、オレンジジュースを一気に飲み干した。

 

 足を引きずらないように、わたしは彼らの元に向かう。わたしもしゃがんだ。

 

「ちょっとー、てか、なんでわたしだけジュースなわけ? しかも薄いやつ」

 

 土方の持つビール瓶に、わたしの空のグラスをコツコツ当てる。土方は当たり前とばかりに言い放った。

 

「そりゃあ、お前さんまだ未成年だろうが」

「わたし二十三くらいって話したよねぇ? てか、未成年飲んじゃだめなら、総悟くんこそ飲んじゃだめでしょうが」

「オイ、誰が総悟くんだって?」

 

 口を尖らす少年に、わたしは首を傾げた。

 

「自分よりも年下の子に対する呼び方として、総悟くんが適切かと思ったんだけど? あ、ジュース持ってきてあげようか。ドロピカーナじゃなくて、ちぃちゃんしかないみたいだけど」

「おまえだってオレと年は同じくらいにしか見えねーじゃねぇか」

 

 わたしはそんな沖田の頭を撫でる。細い髪がさらさらで、頭が小さいのも相まって撫で心地がいい。

 

「見た目若くても、中身は充分おねーさんなのよ。だからね、総悟くんが無理に背伸びする必要ないんだから。大人しく守られてなさいな」

「なっ」

 

 酒ではまったく顔が変わらない少年の顔が、一気に真っ赤になる。隣の土方が、腹を抱えながらも必死で笑いを堪えていた。今のどこに笑う箇所があるのか、さっぱりわからない。

 

 沖田はわたしを睨んでくる。

 

「テメェ、オレのペットの分際で偉そうに言ってくれんじゃねェか」

「ペット?」

「近藤さん!」

 

 沖田はわたしの疑問符を無視して、立ち上がり、近藤を呼ぶ。他の隊士と談笑していた近藤は笑顔で振り向いた。

 

 その隊長に対して、沖田はわたしの襟首を引き上げて、宣言する。

 

「こいつァ、オレが面倒みさして貰いますぜ! オレが拾ったんでさァ、近藤さんとはいえ、文句言わせねェ」

 

 そして、沖田はわたしに顔を近づけた。その目が爛々とわたしを映す。

 

「そういうわけで、桜。テメェはオレが直々に調教してやらァ。オレなしに生きていけねェくらい徹底的にやるから、覚悟しとけ」

 

 沖田が怒っているということはわかったものの、わたしにはその理由がさっぱりわからなかった。

 




ようやく第一章完結しました!

もちろん、この話続きます。これからは原作の話を使いつつ、ストーリーを進めていきたいと思います。

とりあえず、次はあの夏祭りの話。ようやく『お兄ちゃん』登場です。桂や高杉も勢ぞろいのあの話を、盛り上げて仕上げていければと……。あくまで理想ですが。

こつこつ頑張っていきたいので、今後もお付き合いいただけたら幸いです。

この作品が誰かの有意義な暇つぶしになりますように。
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