「ねぇ……居づらくないの?」
「別に。ただ下着が並んでるだけでさァ。お、どうだい。この黒い紐のやつなんか。機能性まるでない感じが痴女猫にぴったりでさァ」
「お願いだから、大人しくしてて下さい……」
わたしは頭を抱えて嘆息した。
ランジェリーショップには、当たり前だが、女性用下着がたくさん売られている。薄いピンクや濃いピンク。淡いブルーやミントグリーンに紺色、黒。真っ赤や金、銀、パープルまで。一歩踏み入れた時には、子供の頃二十四色の色鉛筆を初めてみた時と、同じような感動を覚えた。最近できたばかりの、流行りの店らしい。
正直、このような店に入るのは初めてで。彼がとりあえず連れてきてくれた店が、ここだった。
――つまり、わたしが今まで下着を着けていなかったことがバレテいたってことか?
そんな疑問が頭の片隅にあがるが、答えを聞いたら発狂しそうなのでやめておいて。
わたしは沖田が差しだしてくる、布面積が欠片もないものを棚に戻して、訊く。
「よく、男の子がこんなお店知ってたね?」
沖田は今は真選組の制服ではなく、年頃の子が着るような普通の
だからもちろん、こんな場所にいるだけで、女性客からの視線を集める。さらに、この容貌で、女にえっちぃ下着を勧めてくるのだ。
ちなみに、わたしは変わらず、真選組の制服だ。髪はけっきょく肩の上でまっすぐ切りそろえた。さらしももうきつく巻いていないので、コスプレしている女に見えているはずである。女に見えていなければ、さすがに店を追い出されているだろうし。襟をしっかり上から止めているから見えないが、鎖は外してもらえたものの、首輪は外してくれなかった。邪魔でしょうがない。
「なんでィ。さっさと好きなのいくつでも選びやがれ」
わたしの視線に気づいてか、沖田が催促してくる。
へいへい、と答えて、わたしはまた商品を物色し始めた。ピンクはもう若すぎるかな、紺色とか、大人っぽくていいかも……と手に取りながら、ふと思ったので訊く。
「ところでさ、わたしお金持ってないんだけど、どうしたらいいかな?」
「んなもん、アンタが気にすることじゃねェよ」
「いや、でもお金ないと買い物来ても買えないじゃん」」
すると、沖田は袖の中からでっぷりした財布を出す。そして、にやりと笑った。
「金はたっぷりある。あとで身体で返してくれればいいから」