偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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屋台で焼きそばかタコ焼きか悩むのを楽しめ③

 

 

 

 たこ焼き屋を探していると、縁日の中で、一際賑わっている店があった。射的屋らしい。サングラスをかけたおじさんが、店の中でしゃがみこみ、恐怖で震えているようだ。

 

「ハイ、グラサンゲットー! とっとと寄越すアル」

「オイオイ、早く時計寄越せやコラァ」

 

 銃をばんばん撃たれて、コルクとは言え痛いだろう。悪い客に遭遇してしまった不幸を同情する。

 

 その元凶のカップルは、見覚えのある二人だった。

 

 一人は、赤いチャイナ服に身を包んだお団子髪の少女。もう一人は、黒い制服の性格の悪い美少年。

 

「ふーん」

 

 その二人の楽しげに悪役顔で笑う姿を見て、わたしは悟る。

 

 ――あの二人、付き合ってるんだ。

 

 その時、わたしは後ろから声を掛けられた。

 

「あの、先日の人ですよね?」

 

 振り返れば、眼鏡の胴衣姿の少年がいた。あのとき、チャイナ少女と一緒にいた、少年である。

 

「えーと、君は……」

 

 名前を思い出そうとするが、出てこない。困るわたしを気にすることなく、少年は微笑んだ。

 

志村新八(しむらしんぱち)と言います。先日は銀さんが失礼なことをしてしまい、すみませんでした」

 

 ぺこりと頭を下げてきて、わたしは小さく笑う。

 

「全然。君が悪いことしたわけじゃないんだから。気にしないで」

「でも……あの……大丈夫ですか?」

 

 訊かれて、苦笑する。

 

 こんな年下の少年に心配されてしまうほど、わたしは泣いていたのかと。可哀想に見えたのかと、情けなくて苦笑する。

 

 ――問題ないと即答できないとこがまた、情けないわよね。

 

 わたしは話を逸らすように、屋台の二人を指差した。

 

「あの二人って、付き合っていたのかな? どちらかといえば、君があの女の子と仲良いんだと思ってたんだけど」

 

 すると、新八は笑った。

 

「まさか! 僕と神楽(かぐら)ちゃんは、職場の同僚ですよ」

「同僚?」

 

 わたしが首を傾げると、新八は頷いた。

 

「はい。僕ら、銀さんと一緒に万事屋(よろずや)やってるんです。銀さんが一応社長で、万事屋銀ちゃんって名前でやってるんですけど……なかなかお給料もくれなくて」

「銀時が、万事屋ね……」

 

 こないだ家賃も払えてないと言っていたし、ろくな経営ではないのだろうけど。

 

 でも、嬉しそうに話すこの少年を見て、銀時が好かれているのが一目でわかる。

 

 安堵するようで、残念なようで、寂しくて。

 

 この複雑な胸の内を表現する言葉がわからないが、

 

「……そっか」

 

 わたしは一言、そう返す。

 

 そんなわたしに、新八はわかってるのか、わかってないのか、優しい顔で続けた。

 

「沖田さんと神楽ちゃんも、別にそう言った関係じゃないですよ。ライバルというか、悪友というか……とにかく、あなたが心配するような関係じゃないのは、間違いありません」

 

 そう言われて、わたしは思わず噴き出した。

 

「心配って、別に、そういう意味で訊いたんじゃないんだけど」

「え? でも、あなたは沖田さんと恋仲じゃないんですか?」

「えぇ?」

 

 わたしは頬を掻く。沖田と自分との関係を、簡単に説明する言葉を探して、戸惑っていると、

 

「ペットと飼い主。素直にそう言やァいいだろうが」

 

 その飼い主が、猟銃のような長い銃を構えて、ばーんとこちらを撃つような仕草をしていた。

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