偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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屋台で焼きそばかタコ焼きか悩むのを楽しめ④

「あ、総悟くん。射的はもう満足したんだ?」

「だからその呼び方やめろっつってんだろ。てか、俺はてめぇを待ってたんでィ」

 

 そう言うと、沖田はわたしを上から下までジロリと見た後、納得したかのように頷く。

 

「じゃあ、俺が祭りの楽しみ方を伝授してやらァ。まずは射的だな。銃で撃ち落としたものを、全てゲットできるというぼろ儲けの遊びでィ。狙い目は店主だな。装飾品でも、内臓でも、なるべく高そうなものを狙うのがポイント」

「ちょっとー、俺、内臓まで取られちゃうの? 殺されちゃうの? 射的屋って命がけの商売だったの?」

 

 店主が怯えて叫ぶが、沖田は振り向いて、一言。

 

「武器を持ったら皆、生きるか死ぬかと狩人でィ」

「やめてー! その常にデットオアアライブな精神やめてー!」

 

 そう叫びながら、ひたすら銃を撃ち続ける神楽という少女から、逃げまどう店主。気づけば、このあたりから人気が失せていた。気づけば、そろそろメインステージのイベントが始める時間である。そちらに人がうつったか、あるいは、この状況に関わりたくないと逃げたか。

 

 間違えなく後者だと判断して、わたしもそれに便乗しようと決める。

 

「あの、えーと……わたし、近藤さんにたこ焼き買っていかなきゃいけないから……これで」

「待てよ、桜。祭り一緒に――」

 

 沖田から声がかかるが、わたしは聴こえないふりをして、足早に立ち去った。

 

「振られたアルな」

「……るせィ」

 

 そんな声が聴こえたが、すぐに店主の悲鳴と銃声にかき消されていた。

 

 

 たこ焼きは三箱買うことにした。近藤と、土方と、他の隊士にも配ろうかと思ったのだ。まぁ、余ったら自分がもらってもいいし。

 

 虫かごと、三箱のたこ焼き。それと思わず買ってしまった真っ赤でかわいい林檎飴。遠くの(やぐら)を見上げて、そよ姫にあげたいな、と考えてしまう。将軍とか姫という立場では、きっとなかなか食べれないと思うから。一緒に食べれたら楽しいかと思って、二つ購入した。そうしたら荷物がいっぱいで、落とさないように下ばかり見て歩く結果となった。

 

 ――やっぱり、お金が余分にあると無駄遣いしちゃって困るな。

 

 二つ買ったところで、きっと将軍にもそよ姫にも会えないだろう。あの可愛らしい姫様に癒してもらおうと思う自分が浅ましい。

 

 ――ていうか、なんでこんなに胸が苦しいんだか。

 

 ステージに戻る人並み多い道の途中。ドォン、ドォンという音につられて空を見上げると、大輪の光の花が咲いていた。

 

 白く、赤く、青く。彩どりの花が心揺るがす轟音をあげて、次々と咲き誇り、そして散っていく。

 

 花火。

 

 歓声があがる。足を止めて、わたしもしばらくその光の芸術を眺めていた。

 

 綺麗で。派手で。艶やかで。儚くて。

 

「あっという間に咲き誇り、一瞬で消えていく。風情があると思わないか? 桜」

 

 耳元でそう囁かれて、わたしは即座に振り返った。

 

 その姿を見て、わたしの思考が思わず止まる。

 

 蝶が描かれた紫の着物を緩く身にまとった男の雰囲気は、昔よりも色気があった。片目には包帯が巻かれているが、もう片方の目はなだらかに細められている。

 

「お前と一緒だ、桜。誰よりも華々しいが、誰よりも可憐で(もろ)い。しかし、誰よりも散り際まで美しい」

 

 その男は、わたしに手を差し出した。

 

「帰って来い。そして、一緒に派手に散ろうじゃないか」

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