偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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朝から甘味を食べると身体がだるくなる②

 わたしは、団子をまた一口食べる。

 

 ――な、何しに来たの?

 

 もしゃもしゃしながら、微笑を浮かべて表情を動かせない。

 

 桂と、銀時。

 

 この二人が、何を目的に、こんな朝からわたしを取り囲むのか。

 

 まさか、昔話に花を咲かせたいわけでもあるまい。

 

 わたしは恐る恐る口を開こうとするよりも早く、銀時が口を開いた。

 

「あー、その、なんだ」

 

 照れくさそうに、こみかみを掻く。

 

「こないだは、悪かった」

 

 謝罪されて、わたしは瞬きを何回かした。銀時は固まるわたしを見て、言葉を続ける。

 

「あれだ、三日前、源内(げんない)のおっちゃんの工場の前で。もうあんなに動き回れるとは思ってなかったから、その……神楽たちにも何にも説明してなかったしな。誤魔化すにも、さすがにアレはなかったかな、と」

「あぁ……」

 

 工場の前で、再会した時のことを謝罪しているらしい。わたしが生半可な返事をすると、銀時は訊いてくる。

 

「身体の方は、大丈夫なのか?」

 

 わたしは頷いた。

 

「うん。筋力が衰えた感じがあって、今ひとつ調子は出ないけど……日常生活を送る程度なら、平気」

 

 正直、沖田救出の時の打撲がまだ完治はしていないのだが、余計な心配をかけるだけなので、黙っておく。嘘はついていない。

 

「そうか」

 

 銀時は運ばれてきたお茶をすすった。

 

 桂が相手をしていた雀が飛び立った。青い空までは届かないけれど、懸命に道を飛び越えていく。

 

「神楽――俺が一緒にいるガキ共に、お前のこと説明した。ただ、幼いころ兄妹のように育った奴で、訳あって生き別れていたってだけなんだが……そしたら、二人に怒られたよ。どうして真選組に預けたのか、そして、どうしてあんな態度取ったのかってな」

 

 困ったように言うそぶりに、わたしは苦笑した。

 

「その神楽ちゃんって子に、言われたよ。わたしのために泣いてくれたんだってね」

「あぁ?」

 

 銀時は目を見開いたのち、さらに顔をしかめて舌打ちした。

 

「たく……余計なこと言いやがって……」

「ありがとね」

「……なんで礼を言われるんだか」

「いい仲間に逢えて、よかったね」

 

 笑って、言う。すると銀時はまた驚いた顔をしたが、優しく笑って、

 

「……あぁ」

 

 短くそう答えた。ちらりと隣の桂を見る。彼もお茶をすすりながら、微笑んでいた。

 

 わたしは食べかけのお団子を皿に置いて、両手をあげて、身体を伸ばした。

 

「あーあ。なんだか気が抜けちゃったなぁ」

 

 のんびりした朝である。呑気にお団子とお茶を飲んでは、両手に男をはべらせてお喋りだ。

 

 さっきまでが嘘みたいだ。気を張って、逃げ回って。行く場所がないと、帰る場所がないと途方に暮れて。

 

 それでも、いいじゃないかと思う。

 

「あ、そうだ。高杉どうしたの?」

「たこ焼きで汚れたのが気に食わなかったらしく、あれからすぐに帰ったさ」

「そっか。ナルシストも相変わらず大変だね」

「ほんとだな」

 

 お団子食べて、お茶を飲む。

 

 ――美味しい。

 

 思うのだ。

 

 こうして、お茶する相手がいるだけで、なんて光栄なことなのだろうか。

 

 こんなわたしと。

 

 裏切って、仲間を斬り捨てたわたしと。

 

 お茶をしてくれる人がいるなんて、こんなわたしからしてみれば、充分恵まれているのではないかと。

 

 澄んだ空を見ていると、ふと涙が出そうになる。が、零れ落ちないように我慢する。

 

 そんなわたしに、銀時はさらに手を差し伸べてくれる。

 

「お前さえよければなんだが……俺のとこに来ないか?」

 

 銀時は、まっすぐわたしを見て、そう言った。

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