死地を彷徨ってきたような顔で、
「し……死ぬかと思ったでござる……」
そう言って。
騒がしかった場が、一瞬で静かになる。
ただ、土方の荒い息づかいが聴こえるだけだ。
その中で、わたしは生唾を飲み込んだ。
「――土方さん」
覚悟して、わたしは茫然とする隊士の間を縫って、土方の元へ歩み寄る。
そして、四つん這いになっている彼の肩に、ぽんと手を置いた。
「お、お疲れ様! な、なんか今日すごく暑いもんね! 疲れちゃったよね! ほら、奥で休もう。冷茶でも淹れてあげるよ」
努めて明るい声を出して、土方を立たせようと腕を引っ張った。すると、土方が両手でわたしの手を握ってきた。
「め、女神ござる!」
その目はキラキラしていた。いつもどちらかといえば細められている鋭い眼光が、今はもうこの世の
わたしも言葉が出ず、瞬きを何回かしていると、土方はその手にさらに力を籠めてきた。
「いや、天使でござるか! それとも魔法少女キャット=インバースでござるか!」
「きゃっといんばーす?」
かろうじて繰り返すと、土方がぶんぶんと首を振り、懐から一枚絵を出す。
「そうござる! これから巷で大人気になるであろう、美少女天才魔道猫娘アニメでござる!」
その絵には、小柄で猫耳と尻尾がついたロングヘアの活発そうな女の子が描かれていた。格好はマントを除けば、わたしの服装に似ているとも言えなくともない。
「いやぁ、似てるでござる! そっくりでござる! あれでござるか? 大飯食らいでござるか?
「ど、どらごんってなに……?」
茫然としていると、誰かに肩を叩かれた。伊東がにこりと微笑んでいる。
「やぁ、土方さん。無事に帰ってこれたようで、何よりだよ」
――ん?
微妙なその言い方に、わたしは疑問符を投げかけた。
「えと、伊東さん、土方さんと会ってたの?」
「あぁ。ここへ帰って来る前に、ちょっと街中を見てまわっていてね。その時、土方さんが野党に襲われていたようだったから、手を貸したんだけど」
「へぇ」
つまり、攘夷浪士から土方を助けたのは、この人だということらしい。
「お強いんですね」
「土方さんほどでもないよ」
どことなく嫌な雰囲気を感じるが、伊東は笑みを崩さず、こう提案してきた。
「そうだ、桜さん。お金がないなら、真選組でアルバイトしたらどうですか?」
「バイト?」
「どうやら土方さんが体調悪いようだし、桜さんがフォローしてあげるのはどうでしょう。沖田君、土方さんの傍に置いておくなら、君も安心だろう。体調が悪いとはいえ、副長だ。いざとなればきっと、桜さんを守ってくれるだろう」
伊東が振り向いた先には、壁に背中を預けた沖田が、つまらなそうな顔でこちらを見ていた。
わたしの方をじーっと睨んで、
「別に、こいつがそうしてェなら、勝手にすりゃいいでさァ」
そう言うと、すぐに背中を向けてどこかへ行ってしまう。
――あ、まだ怒ってる……。
「それじゃあ、決まりですね。桜さん、土方さんをどうかお願いします。あ、局長には僕から話を通しておきますから」
伊東が半ば強引に、話を進めていく。
――まぁ、いいか。
お金が欲しいのは、事実である。稼ぐすべをくれるのは、有り難い話だ。
わたしは土方の手を振り払って、髪を掻き上げた。機嫌の悪い沖田が行った方を見ながら、考える。
――お金が入ったら、総悟くんに甘いものでも買ってあげよう。
アニメの銀魂のすごくいいシーンを見てから、書きました。
すごーく、気が抜けてしまいました。
土方さんの言ってるアニメは、私が好きなアニメからとってみました。
分かる人いますかね??
彼女は私が人生で一番尊敬する人物です!!