偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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あれもしたいこれもしたい女の子に見えても①

 

 次の日から、わたしの監視は日替わりになった。いつも非番だと思っていた山崎にも、仕事がある時があるらしい。

 

「ZZZZZZZ]

 

 橙色の鮮やかなアフロヘアの隊士は、とにかく異質だった。

 

「あの……あなたの名前は……?」

「ZZZZZZZ」

 

 喋りかけると、寝るのだ。無論、向こうから話かけてくることはない。

 

「ふむ……」

 

 ――よし、今日は監視がいなかったことにしよう!

 

 そうと決まれば、話は早い。部屋を出ようとふすまを開けると、視界の横から鋼の刀身が伸びてくる。

 

 わたしはそれを後ろに跳躍してかわした。寝ていたはずのアフロは、刀を元の構えに戻しながら、低く身構えている。

 

 ――出て行きたきゃ、俺を倒してからにしろってか。

 

「……お兄さん、一番好きなタイプだわ」

 

 にやりと笑って、わたしも腰に下げた刀を抜く。

 

 昨晩、沖田からもらった刀だ。試し切りにはちょうどいいだろう。

 

 わたしは刃先をアフロに向けて、一瞬。一足で跳んで、アフロの喉元目掛けて、刀を薙ぐ。

 

 ――軽い。

 

 思うがままに、抵抗なく動く刀は気持ちがいい。風を斬るようにすべる刃は、アフロの刀に弾かれるも、わたしは笑みを隠せなかった。即座に刀の向きを変えて、振り下ろす。アフロが後ろに退いたため、刃先は畳をすっと斬れ筋を入れた。

 

 わたしはそのまま大きく踏み込み、刀を持ちかえてアフロを突く。アフロは大きく目を開いて――わたしの刀は、橙のアフロの中を突き抜けた。

 

 もちろん、抵抗も歯ごたえもなく、くるくるした髪の毛が少しだけ、畳の上に落ちるのみ。

 

「けど、やる気がないのに刀抜いたって、わたしはビビらないよ?」

 

 その時、誰かが部屋に入ってきたので、その方向を見ると、

 

「部屋の中で暴れちゃいけませんっ!」

 

 ゴリラのような大男――局長、近藤に二人して頭にげんこつを落とされた。

 

 

 

 その次の日は、まさかの局長自らの監視だった。

 

「隊士たちばかりにさせるのもズルイのでな。今日は一日楽しく遊ぼう!」

 

 そんな近藤が持ってきたのは、あやとりやおはじき、お手玉だった。

 

 畳の上に広げられた、カラフルなそれらを見つめてから、再び近藤を見ると、彼は満面の笑顔でこちらを見ている。

 

 きっと、わたしが本気で喜ぶと思っているのだろう。

 

 わたしが無表情のまま、おもちゃと近藤の顔を交互に見ていると、近藤は意気揚々と赤いあやとりを手にした。

 

「ん? 遊び方がわからないかな? どーれ、お兄さんが教えてあげよう!」

 

 得意げに両手に掛けたあやとりを、わたしは刀で一閃する。

 

 はらっと落ちるあやとり。近藤の笑顔が固まるが、すぐに気を直したのか、嘆息した。

 

「あーあ。ダメだぞー、赤い糸を切るなんて、縁起が悪いじゃないかー」

「縁起が悪いもなにも、ただの毛糸でしょ、それ」

「そうだけど……ほら、恋の赤い糸とかって、女の子好きじゃないの?」

 

 ――いったい、わたしを何歳の女の子だと思っているんだ……。

 

 だいたい、もう『女の子』という年でもないのだが。それはきっと何度説明しても、わかってはくれないのだろう。

 

 わたしも嘆息すると、近藤は別の話題を口にした。

 

「その刀、使いやすいか?」

「え?」

 

 わたしは手に持つ刀を見る。

 

 どこにも名が彫られていないから、特に業物というわけではないだろう。それでも、小ぶりの刀は、筋力が落ちているわたしにも扱いやすい。それに、刀身に細かい傷は多いものの、刃こぼれしている箇所は見受けられず、よく手入れが行き届いている。

 

「うん。すごく使いやすい」

 

 端的に答えると、近藤は満足したかのように笑った。

 

「そっか。それな、総悟が小さい時に使っていたやつなんだ」

「ん? お下がり?」

 

 わたしが目を見開くと、近藤はさらに笑う。

 

「そうそう! 江戸に出てくる少し前くらいに、姉にねだって買ってもらったらしくてな。子供用だなんて本人は文句言ってたんだが、それでもけっこう長い間、後生大事に使ってたんだぜ。まぁ、さすがに真選組として給料もらえるようになって、きちんとしたのを買い直したんだが。それでも、夜によく、それの手入れをしている姿はよく覚えているよ」

「……そんな思い入れのあるものを、どうして?」

 

 わたしが刀を持つ手に力を入れると、近藤は優しく笑う。

 

「それだけ、桜ちゃんのことが大事なんじゃないかな?」




ふと思ったのですが、この小説、このハーメルンの中でそうとう長い話になりそうです。
だって、まだ動乱篇ですよ?
このあと、ゴールデンカブトムシの回収して、お姉ちゃんの話して、モンハンやって吉原かなぁ……なんて考えていたのですが。
もちろん、そのあともバラガキやら金時やらトッシーも成仏させなきゃいけないし……。

アニメ銀魂はとりあえず終わってしまいましたが、その寂しさを埋めるためにも、こつこつ書き続けていきたいと思いますので、どうぞこれからも、よろしくお願いします。
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