偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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あれもしたいこれもしたい女の子に見えても⑥

 気がつけば、入り口に寄りかかるようにして、沖田がわたしを見下していた。

 

 ――こいつ、無駄に気配消しやがって……。

 

 気づけばなのだ。気がつかなかったのだ。気付けなかったのだ。

 

 それが、異様に腹が立つ。

 

 そんなわたしのふくれっ面を無視して、沖田は淡々と言った。

 

「こいつの監視は、すでに近藤さんの許可も得て、信頼できる奴に依頼してありやす。わざわざ邪魔な奴を連れていく必要なんかありやせんぜ」

「邪魔……」

 

 わたしのこめかみがピクピク動くが、沖田はにやりとも笑わない。

 

 代わりではないが、伊東が口角を上げた。

 

「ほう……ずいぶん用意周到じゃないですか、沖田君。そんなに桜さんを連れていきたくない理由でもあるんですか?」

「んなもん、特にあるわけがねェですが、こいつの監視は俺が引き受けた仕事なんでね。ただ、やることやってるだけですよ」

 

 そう言って、最後に沖田はわたしを一瞥した。

 

「そういうわけでさァ。これ以上俺の手ェを(わずら)わせねェでくれよ」

 

 なぜだろうか。

 

 言葉は冷たいものの、その目は何かを(うれ)うように、揺らいでいた。

 

 

 

 そして、さらにさらに翌日。

 

「ちーっす。依頼を受けた万事屋(よろずや)でぇーす。預かりもん受け取りに参りましたー」

 

 わたしが、静かになった屯所内の食堂で、少し遅めの朝ごはんを食べていると、気の抜けている白髪の男が現れた。

 

 やる気のない銀髪の天然パーマを、見間違えるわけがない。

 

 頭をぼりぼりしながら、わたしの姿を見つけると、その男は片手を上げる。

 

「よぉー、迎えにきたぜ」

「お兄ちゃんっ!」

 

 わたしは飲みかけの味噌汁を慌てて置き、坂田銀時に駆け寄った。

 

「どうした? なんでどうしてお兄ちゃんが白昼堂々こんな所に来ているの?」

「なぜって、だから言ったでしょーが。依頼を受けたの。ここの沖田君から、旅行の間ペットを預かってくれってお金もらったの。しかも前払いで。いやぁ、さすが真選組。役人は金払いが違うねーってわけで、じゃあ行きますよー」

 

 と、銀時に手を引かれる。

 

「ちょっとちょっと! 行くってどこに?」

 

 慌てるわたしに、まったく動じず銀時は着物の合わせから紙を取り出す。

 

「局長と一番隊隊長のサイン付き契約書があるの。二人が帰ってくるまで、君は万事屋で預かることになってまーす。じゃあ行くよ? もう行くよ? 桜ちゃんお泊りだかんね。靴下持った? パンツ持った? あ、二食は用意してあげるけど、おやつはうち、酢昆布しかないからね。他のが欲しいなら、自分のおこずかいでちゃんと買ってねー」

「あーもう! 準備もなにも出来ているわけないでしょー! てか、酢昆布ってなに? 渋すぎるでしょ、そのおやつ!」

「あーそれうちの神楽ちゃんに言うと怒られちゃうよー。むしろ怒り通り過ぎて泣いちゃうかもしれないから、禁句でお願いしまーす」

 

 そして、そのまま銀時と手をつないで、誰にも文句言われる時間もなく、屯所から堂々外に出ることになった。

 

 ちなみに持ち物は、昨日伊東からもらったアルバイト代と、沖田にもらった刀一本。それと、切れた赤い首輪だけである。

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