「あー桜氏! 拙者の雄姿観てくれてたでござるか?」
「うん、そうねー観てた観てたー」
「嬉しいでござるなぁ。この服装も今日のために新調したでござるよ! 魔術士コジー風のバンダナとジャケット、どうでござるか? 似合うでござるか?」
「うん、そうねー似合う似合うー。とっても愛ジャストおーマイラブな感じするー」
言って、わたしは深いため息を吐いた。
隣を歩く銀時が耳打ちしてくる。
「ねーちょっと桜ちゃん、これ、ほんとに土方なの? こんな痛いオタクナンバーワンな昭和のジャニーッスな感じなのが鬼の副長なの?」
「昭和がどこだかジャニーッスってどこの挨拶か知らないけど、彼が真選組の鬼の副長ですよ」
あれから新八が土方を連れて帰ってきて、仕方なしに説明をしたのだが――どうも信じられないと、一緒に刀鍛冶に行くことになった。どうやら、銀時の知り合いに江戸一番の刀鍛冶がいるらしい。
もう日差しも橙に染まり始め、街ゆく人々も家に帰ろうと若干落ち着きがない。
「あー、桜氏! 見るでござるー。あの月刊少女岡崎さんのポスター、みよちゃん可愛いでござるなぁ! あ、でも、もも……もちろん桜氏のほうが可愛いでござるよ!」
「うん、そうねー可愛い可愛い。世界超越するくらいわたしって可愛いよねー」
「さ、桜氏……さすがに拙者、そこまで言ってないでござるよ……」
数日ぶりにわたしに会えたのが嬉しいのか、トッシーがやたら絡んでくるが、わたしは適当にあしらっていると、その鍛冶屋に着いたようだ。どうってことない、小屋のようだが、中からは金属がぶつかり合う音が響く。
「ここだここー。おい、鉄子ー。銀ちゃんのおいでだぞー」
――どこの馬鹿亭主よ。
そう突っ込みたくなる気軽さで、銀時がのれんをくぐる。一緒に来ている神楽と新八も後に続き、わたしも――と思ったが、足を止めた。
「どうしたでござるか?」
「ん、先に中入ってて」
振り返るトッシーの背中を無理やり押し込んで、わたしは一人、路地に戻る。
辺りを見渡すが、特に怪しいものはなく。
――おかしいな。誰かに見張られている気がしたのだけど。
どうせ真選組の誰かだろうと思っていたのだが、その影もない。あの組織の中でわたしが気配に気づけないほどの
他に、わたしを見張ってそうな存在は――
「どこかの攘夷浪士か、あるいは、あれから姿を見てない奈落とか……?」
呟いて、自分で苦笑した。
「あちこちから注目浴びすぎでしょ、わたし」
「それほど、お前はいい女だってことさ――」
その甘くも冷たい声音に、わたしの背筋が震える。同時に、背後から口を押さえられた。
「けど、相変わらず不用心だな。そんなに俺に襲ってもらいたかったか、桜?」
その紫の艶やかな袖口をひっぱり手をずらさせると、わたしは憎々しげに口を開いた。
「急に背後から現れるとか、犯罪臭しすぎて臭いわよ、高杉」
原作沿いとタグつけてますが、書いててどんどん原作から離れていきます……。
ストーカー、再来です。