偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

54 / 134
ほんとの男は惚れてる女に弱いもの③

 

 

 

「あー桜氏! 拙者の雄姿観てくれてたでござるか?」

「うん、そうねー観てた観てたー」

「嬉しいでござるなぁ。この服装も今日のために新調したでござるよ! 魔術士コジー風のバンダナとジャケット、どうでござるか? 似合うでござるか?」

「うん、そうねー似合う似合うー。とっても愛ジャストおーマイラブな感じするー」

 

 言って、わたしは深いため息を吐いた。

 

 隣を歩く銀時が耳打ちしてくる。

 

「ねーちょっと桜ちゃん、これ、ほんとに土方なの? こんな痛いオタクナンバーワンな昭和のジャニーッスな感じなのが鬼の副長なの?」

「昭和がどこだかジャニーッスってどこの挨拶か知らないけど、彼が真選組の鬼の副長ですよ」

 

 あれから新八が土方を連れて帰ってきて、仕方なしに説明をしたのだが――どうも信じられないと、一緒に刀鍛冶に行くことになった。どうやら、銀時の知り合いに江戸一番の刀鍛冶がいるらしい。

 

 もう日差しも橙に染まり始め、街ゆく人々も家に帰ろうと若干落ち着きがない。

 

「あー、桜氏! 見るでござるー。あの月刊少女岡崎さんのポスター、みよちゃん可愛いでござるなぁ! あ、でも、もも……もちろん桜氏のほうが可愛いでござるよ!」

「うん、そうねー可愛い可愛い。世界超越するくらいわたしって可愛いよねー」

「さ、桜氏……さすがに拙者、そこまで言ってないでござるよ……」

 

 数日ぶりにわたしに会えたのが嬉しいのか、トッシーがやたら絡んでくるが、わたしは適当にあしらっていると、その鍛冶屋に着いたようだ。どうってことない、小屋のようだが、中からは金属がぶつかり合う音が響く。

 

「ここだここー。おい、鉄子ー。銀ちゃんのおいでだぞー」

 

 ――どこの馬鹿亭主よ。

 

 そう突っ込みたくなる気軽さで、銀時がのれんをくぐる。一緒に来ている神楽と新八も後に続き、わたしも――と思ったが、足を止めた。

 

「どうしたでござるか?」

「ん、先に中入ってて」

 

 振り返るトッシーの背中を無理やり押し込んで、わたしは一人、路地に戻る。

 

 辺りを見渡すが、特に怪しいものはなく。

 

 ――おかしいな。誰かに見張られている気がしたのだけど。

 

 どうせ真選組の誰かだろうと思っていたのだが、その影もない。あの組織の中でわたしが気配に気づけないほどの手錬(てだ)れは、沖田入れてほんの数人。しかも、そのほとんどは、今晩発の列車で武州に行くというので、今はその準備や仕事の引き継ぎなどで、朝から大忙しのはずである。

 

 他に、わたしを見張ってそうな存在は――

 

「どこかの攘夷浪士か、あるいは、あれから姿を見てない奈落とか……?」

 

 呟いて、自分で苦笑した。

 

「あちこちから注目浴びすぎでしょ、わたし」

「それほど、お前はいい女だってことさ――」

 

 その甘くも冷たい声音に、わたしの背筋が震える。同時に、背後から口を押さえられた。

 

「けど、相変わらず不用心だな。そんなに俺に襲ってもらいたかったか、桜?」

 

 その紫の艶やかな袖口をひっぱり手をずらさせると、わたしは憎々しげに口を開いた。

 

「急に背後から現れるとか、犯罪臭しすぎて臭いわよ、高杉」




原作沿いとタグつけてますが、書いててどんどん原作から離れていきます……。

ストーカー、再来です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。