偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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夜のバーベキューは危ないからやめましょう①

 

 

 

 夜になると、一気に寒くなって来る。

 

 ――さすがに、浴衣一枚じゃツライなぁ……。

 

 と、チラリと沖田を見ると、

 

「着るか?」

 

 差しだされるカブトムシの着ぐるみ。

 

「……いや、うん、大丈夫。心配ありがとう」

 

 わたしは乾いた笑顔を返した。

 

 そして、言われる前に言っておく。

 

「んでもって、それ(・・)も、遠慮しておくから」

「ンだよォ……けっこう重いんだぜェ、これ」

「うん、総悟くんカッコいい!」

「嬉しくねェーなァ」

 

 そんなことを話しながら、暗い森の中を歩いていると、木の上の方が小さく明かりが灯っている。

 

 わたしは目を細めた。

 

「あれは……土方さんと山崎かな?」

「夜目効くなァ。俺にはさっぱりでサァ」

「うん、隠密行動とか、得意よ。これでも」

「でも、行動が派手ですぐにバレそうだな」

「それはどうだろうね」

 

 沖田がカブトムシの着ぐるみを渡してくる。

 

「ちょいと行ってくらァ」

「おー、行ってらっしゃい」

 

 片手でそれを受け取ると、ずしっとけっこうな重さがある。もう一方の手で持っている大量の肉と合わせると、とても歩ける重量ではない。

 

 沖田は持っていたもう一つのそれ(・・)を嬉々として被り、足取り軽くその木へと走って行った。なんとも器用に木を登り、少しすると、

 

「うわぁぁぁぁぁああああああああ」

 

 野太い絶叫が、森中に響く。

 

 そして、体制を崩した土方が落ちた。

 

「あーもうっ!」

 

 わたしは着ぐるみと肉を置いて、その場へと駆け寄る。

 

 土方はひっくり返ったカブトムシのように、手足をバタバタしていた。

 

「で……出た……熊……熊の幽霊が……俺の名を呼んで……」

 

 あまりに間抜けな鬼の副長に、わたしはくつくつと笑いながら、手を差しだした。

 

「土方さーん。アレ、総悟くんだよ?」

「は? 総悟?」

 

 目を丸くしながらも手を掴んでくる土方を引き上げると、後ろでガサっと誰かが飛び下りた。

 

 振り返るまでもない。

 

「土方さァん、うらめしやァー。とっとと三途の川渡ってこいコノヤロー」

「そそそ総悟いい加減にしろやこのヤロー!」

 

 土方も落ち着きを取り戻したのか、熊の皮を纏った沖田に、罵声を浴びせた。

 

「土方さん、唾飛んでるんだけどー」

 

 眉をしかめながら顔を拭うと、土方が一歩後ずさる。

 

「あ、すまねぇ……てか、お前ら今まで何してたんだ?」

「熊狩り」

「なに熊なんか狩って遊んで……て、熊狩り?」

 

 唖然とする土方に、わたしは「うん」と頷いて、

 

「熊狩り。ほら、修行でよく狩るでしょ、熊。わたし頑張って一人で狩ったんだから。熊肉パーティしようよ。皮は売って、わたしのおこずかいにしていいかなぁ? やっぱり、真選組に徴収されちゃう?」

「いや、てめぇが狩ったんなら好きにしていいが……熊、倒してきたの? 刀で?」

「うん。刀で。早く手入れしなきゃいけなんだけど、お腹空いちゃったから、先にご飯食べたいな。お肉あっちにあるよ。手、疲れちゃったから運んでくれたら嬉しいな。もうバーベキュー始まってる? 火起こしてあるかな?」

「てめぇらホント、何してんの?」

 

 土方は顔を上げて沖田に問いだす。沖田は頭に被った熊の顔の部分を少し上げた。

 

「いやぁ、ホント黄色いクマがこの森にいなくって良かったでサァ。著作権侵害だけじゃなく、キャラクターイメージの侵害かなんかでウォルトさんに訴えられるところだったぜ……」

「だからホントに何やってんのォォォオオ!」

「そーゆー土方さんは、何してたんでサァ?」

 

 沖田が首を傾げると、土方が木々の先の灯りを指差した。

 

「あいつらを追い返そうと思ってな」

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