偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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決戦は何曜日だろう③

 ――あ、どーでもいい。

 

 着地すると、その侍と目が合う。

 

「あの……どうしよ、桜ちゃん」

「知らないわよ」

 

 とりあえず、うるさそうなその兄を、刀の腹で殴っておく。やはり、打ちどころが悪かったようで、伸びたようにその場に倒れた。

 

 振り返ると、神楽が怯えた眼差しでこちらを見ている。

 

 ――どうでもいいな。

 

 そう判断して、わたしはその場に倒れ込んだ。

 

 そよぐ風が心地よく、草の香りが懐かしい。

 

 ふと、巨大カブトムシと目が合ったような気がするので、睨みを飛ばしてから。

 

 わたしは、自然と目を閉じていた。

 

 

 

 ☆★☆★☆★☆

 

 

 

 先生の私室に呼び出されたわたしたちに、反省の色はなかった。

 

 それはそうである。ちょっと授業妨害したくらいの罪が、この快感に勝るわけがない。

 

「あぁ……銀時と桜が近頃よく一緒にいたのは、わかっていたのですが……まさか晋助まで一緒だったとは、思ってもいませんでしたよ」

 

 ずっと顔が綻んでいるわたしと銀時とは違い、高杉はずっと唇を噛みしめていた。

 

 そんな高杉の肩を抱き、銀時がにたりと笑う。

 

「そーでもねぇーだろ。好きな女のためなら、いくらでも恥を掻くのが男ってもんさ」

「銀時……初恋もまだな人が、どの口を叩いてるんですか」

 

 ため息混じりにそう言われても、銀時は不敵に笑っていて。

 

 ――初恋か。

 

 わたしは隣で、そんな銀時の顔を見る。

 

 この人は、どうしてわたしのためにここまでしてくれたのだろうか。

 

 先生に目に物を見せてやるため、もあるかもしれない。

 

 けど、かれこれ一カ月以上、わたしに付きっきりになるほどのことだったろうか。

 

 そんなことを考えていると、

 

「桜」

「は、はい!」

 

 先生に名を呼ばれて、わたしは慌てて前を向いた。先生は真面目な顔で訊いてくる。

 

「そこまでして、剣の道を歩みたいですか?」

 

 真剣な顔で、わかりきったことを訊いてきて。

 

「……はい」

 

 わたしは表情を引き締めて、静かに頷く。

 

 すると、先生は大きくため息をつき、「やれやれ」と頭を掻いた。

 

「仕方ないですね……では、今まで通り、朝の基礎訓練は続けなさい。午後の稽古も一緒にやるのはもちろんですが、皆に追いつくために、その後も補習を行いますが、銀時も、異論はないですね?」

「はいっ!」

 

 わたしは嬉々として返事をするが、銀時は不服気に唇を尖らせた。

 

「どーして俺も一緒なんだよ?」

「兄として、責任を取るのは当然のことでしょう?」

「は? 俺、こいつと血の繋がりも何にもねぇーけど……」

 

 顔をしかめながら、銀時はこちらを向いてくる。

 

 きっと、同意を求めているのだろう。

 

 けれど、

 

 ――寂しい。

 

 胸のどこかにそう突っかかり、すぐに返事が出来ないでいると、

 

「ここのところのあなたたちは、仲睦まじい兄妹のようでしたが? いいと思いますよ。実際二人とも、私の子供みたいなものなんですから。世間の兄妹だって、血の繋がりなんて、あってないようなものです。血が繋がっているから兄妹なのではなく、一緒に育ってきたから兄妹になるのではないですか?」

「はぁ……そーゆーもんかね……」

「そういうものです」

 

 銀時はぼりぼりと頭を掻いて、

 

「ま、いっか」

 

 興味なさげに、小さくそう認めた。

 

 ――きょうだい?

 

 わたしはその実感のないまま、呼んでみる。

 

「おにい……ちゃん?」

 

 すると、銀時の顔が渋くなった。

 

「なんか変な感じだな」

「じきに慣れますよ」

 

 くすくすと先生はそう笑うと、今度は高杉の方を向いた。

 

「ところで、晋助のそのカツラは、どこで仕入れたんですか? こんな田舎町じゃ売っていないし、そもそも、あなたたちにそんなお金は、ないですよね?」

 

 それに、銀時が即答する。

 

「桂のヤツが、今までの小遣いでネット通販したんだ。ちなみに、その雑誌もそれで買ったんだぜ」

 

 

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