偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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決戦は何曜日だろう⑤

 ――起こせばいいのに。

 

 くすりと笑って、わたしは崖を滑り下りた。よっと沖田の後ろに着地すると、彼は「はいよ」とカレーを差し出してくる。

 

「ありがとう」

 

 礼を言って、わたしは沖田の隣に座った。

 

「いただきます」

 

 スプーンに大盛りすくって、頬張る。鼻から抜ける香ばしい香りに、ピリリとしたスパイスが舌で踊る。

 

「ふぉいひぃ。ふぁりふぁほへ」

「もういい。俺は何も言わねェーから、ゆっくり食え」

「ふぁい」

 

 もぐもぐと、かつかつと。二人並んで、無言で食べる。

 

 カレーは意外と家庭的な味がして、美味しかった。肉は熊肉だからその癖はあるものの、他はごくありきたりな具材で作ってあるようである。ルーも多分、市販の固形ルーであろう。

 

 ――やっぱり、全然ドSじゃないじゃない。

 

 これが土方が食べるとなれば、色々スパイシーすぎるスパイスが入っているのかもしれないが。

 

 風が木々を揺らす音。焚火がぱちぱち弾ける音。スプーンが皿をこする音。

 

 それだけだが、決して居心地は悪くない。

 

 あっという間に食べ終わり、わたしはぷはぁーと息を吐いた。

 

「美味しかったぁ! ありがとね、総悟くん!」

「……別にどーってことねェでサァ。可愛い寝顔、見せてもらったしな」

 

 目を細めて、そう言ってくる沖田に、わたしは同じような笑みを返す。

 

「んー? 眠り姫にちゅーでもしちゃったかな?」

「さぁ? どーだかね?」

 

 そう、とぼけてくる沖田に、わたしは苦笑して、

 

「なんか……昔話する気、失せちゃったな」

 

 ぽつりと呟くと、沖田は鍋を片付け始める。

 

「別に、アンタが話したくなったらでいいでサァ。女に話したくねェーこと無理やり聞き出すほど、野暮な男になるつもりはねェーし。それに……」

「それに?」

 

 首を傾げると、彼は顔を近づけてきた。耳の横で囁いてくる。

 

「これ以上二人っきりでいると、ちゅーだけで押さえられそうもねェ」

「え?」

 

 耳にふっと息を吹きかけられ、わたしの肩が上がる。

 

 その様子を見てか、離れた沖田がへへっと笑った。

 

「そーゆーわけだ。さっさと()ーるぞ」

「……はいはい」

 

 わたしは二つ返事して、なんとなく空を見上げた。

 

 月は見えないが、やっぱり夜空はキラキラしている。

 

 

 

 後日談。

 

 登城を命じられた近藤に、わたしはある荷物と手紙を持たせた。

 

 荷物は、手作り黄金熊のぬいぐるみ。

 

 手紙にはこう書いた。

 

『将ちゃんへ。カブトムシの代わりにどうぞ。蜂蜜大好き黄金熊、名前は……著作権上、自分で考えてね。友達の桜より』

 

 帰って来た近藤に、涙ながら感謝されたのだった。

 

 ちなみに、巨大カブトムシと白くて巨大な狛犬(こまいぬ)との戦いによる被害が、たまにニュースで取り上げられているが、わたしには一切関係のないことである。

 

 

 




 カブトムシ狩り、これにて終了です。

 偽物の銀魂が誰かの有意義な暇つぶしになりますように。
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