偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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女ならば一度は可愛い弟が欲しいと思うもの④

 年がいにもなく、そんな可愛らしいことを言う人に、わたしは愛想笑いを返した。

 

「……桜も座れよ。てか、なんでアフロ?」

「んー、アフロが世界を救ってくれたらいいなって思ってね」

 

 座って、アフロを脱ぐ。清涼感に一息吐いて、わたしは頭をふるふる振った。

 

「ホント、猫みてェーだな」

 

 隣の沖田が、小さな声で馬鹿にしてくるので、

 

「伊達にペット扱いされてないからね」

 

 一層小声で返しながら、首の鈴を指先で鳴らす。

 

「アンタ、姉上の前では言うんじゃねェーぞ」

「貸しだからね」

「わーってるよ」

 

 片目を瞑るわたしに、沖田はむすっと応えて。しかし、その顔はすぐさま、にこりと微笑んだ。

 

「改めて、僕から紹介させてください。屯所で預かっている、桜です。公私共に、僕のサポートをしてもらってます」

「あら、真選組のお仕事のお手伝いをしているの?」

 

 ミツバに問われて、わたしは頷いた。

 

「これでも、剣には自信がありますので」

 

 そう言って、少し腰を上げて刀を見せる。

 

「まぁ……」

 

 ミツバは驚いた顔をした後、首を傾げた。

 

「けど、総ちゃん。たとえ彼女とはいえ、いつも女の子と一緒にいたら、お仕事でいじめられたりしてない?」

 

 わたしが座りなおすと同時に、沖田が即答する。

 

「大丈夫です。仲には気に食わない奴もいますが、僕、負けません! 桜のことも大好きですが、仕事だって誰にも文句言われないくらい、頑張ってるので!」

「まぁ、じゃあ、男友達もいるの?」

「と、友達?」

「えぇ。悩みを相談したり、一緒に遊んだりする友達はできた?」

「それは……」

「まさか、本当にいつも二人っきりでいるわけではないでしょう?」

 

 ミツバは笑顔でわたしに同意を求めてきているが、その目が笑っていない。

 

 なんだろうか。なんとなく、彼女の気持ちがわかるような気がする。

 

 自分の可愛い弟が、いつのまにか女を作っていたのだ。しかも、屯所で預かっているなんて言ったもんだから、ようは寝食共にしていることは明白である。

 

 久々に弟に会ったら、同棲している女を紹介されました。

 

 姉として、母として、決していい気分はしないのではなかろうか。

 

 ――墓穴を掘ったのではないか、沖田くん。

 

 そんな眼差しで横を見ると、沖田は覚悟を決めたように一人頷いていた。

 

「……いますよ。ちゃんと、男友達。なんなら、今から呼びましょうか?」

 

 

 

 それから、数十分後。

 

 ろくな仕事のない男は、パフェにつられて、すぐにやってきた。

 

「姉上、紹介します。坂田銀時さんです。僕の友達で、桜のお兄さんです」

「えーと、話がよく見えないんだけど、これはお見合い? それとも結納?」

 

 ――わたしだって話がわからぁぁぁぁぁあああん!

 

 そう叫びたいのをぐっと堪えて、わたしはギリギリ笑顔を作った。

 

「ちがうよ、お兄ちゃん。二家族間の親睦会みたいなものだよ」

「え、なに桜ちゃん。それを世間では結納っていうんじゃないかな? 言ってくれれば、ちゃんと道具を準備しておいたのに。スルメとか昆布とか」

 

 ニヤニヤと笑って肘で突いてくる銀時の足を、わたしはテーブルの下で思いっきり踏みつける。

 

 向かいのミツバは、こそこそと沖田に話していた。

 

「総ちゃん、どうしよう? 結納金とか、いくらくらい包むのが相場なのかしら?」

「姉上、大丈夫です。本当に今日はそんなんじゃないですから」

「でも……」  

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