偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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女ならば一度は可愛い弟が欲しいと思うもの⑤

 ――お願いだから、そんな問答やめて……。

 

 そんな悲痛な願いをよそに、

 

「えー、そーゆーわけでね、お姉さん。オタクの総一郎くんがウチの桜に、そーゆーコトしちゃった責任、どー取ってくれるんですかー?」

「総悟です」

「いやね、ウチはお金が欲しいわけではないのですよ。あくまで、総一郎君の誠意がみたいんですよ」

「総悟です」

 

 銀時と沖田が、そんなやりとりをし始める。

 

「ちょっと総悟くん、今名前なんかどーでもいいでしょ!」

 

 わたしが横にいる沖田にそう叫ぶと、沖田はいつもの無表情で淡々と言った。

 

「なに言ってるんでィ。俺の大事な名前間違えられたんじゃぁ、招待客全員に、アンタの兄さん馬鹿にされちまうじゃねェーかィ」

「やめて! めんどくさいからって、君もこのよくわかんないノリに乗らないで! てか、この席並びおかしいから! お見合いだろうが合コンだろうが、なんでこっち側だけこんな窮屈なのォ!」

 

 なぜだか、窓際から沖田、わたし、銀時と三人横並びだった。対面するのは、ミツバ一人。

 

 両手に花といえば聞こえがいいのかもしれないが、両手に馬鹿はいささかツライ。

 

「まぁ、細けェーこと気にすんな」

「そうそう、総悟郎君がやらかしちゃったことに比べれば、小せェーモンよ、このくれェ」

「総悟です」

 

 訂正、相当ツライ。

 

 その時だ。

 

「お待たせしました。チョコレートパフェ三つでございまぁす」

 

 と、ウエイトレスが、沖田以外の前にパフェを置いて行く。

 

「食べないの?」

 

 隣の沖田に訊くと、

 

「あぁ、いいんだ」

 

 と、コーヒーを一口飲む。

 

 ――あんだけお姉ちゃんに甘えておいて、今更大人ぶってもねぇ……。

 

 そう思いながらも、パフェを食べようとスプーンを手にした時だ。

 

「そうだ! 出会えた記念に、素敵なパフェの食べ方を教えますわ!」

 

 嬉しそうにミツバはそう言って、テーブルに備え付けてある、赤い細長い容器を手に取った。

 

 そして、それをパフェの上で真っ逆さまにすると、白と黒の素敵な模様に、赤い液体が滴り落ちていく。

 

 鼻の奥でツンとする刺激に、顔をしかめた。

 

 そのパフェは、銀時の前に差し出される。

 

「さぁ、坂田さんどうぞ。桜さんのも今から作りますね」

 

 銀時の顔は引きつっていた。わたしは即座に、自分のパフェを手に取る。

 

「いや、わたしは大丈夫で――」

 

 言葉の途中で、ミツバが一瞬苦しそうな顔をして、咳き込み始める。

 

 ゴホゴホと、胸の奥から込み上げてくるような咳。

 

 すると、沖田がわたしに耳打ちしてくる。

 

「この痴女猫! 姉上は肺を患ってるんでサァ! ストレスは大敵なんでィ!」

「んなこと言われても、アレ食べろって?」

 

 沖田の澄ました顔の奥で一瞬、ニヤリと笑ったのを、わたしは見逃さない。

 

 ――こいつ、これがわかってて食べ物頼まなかったなっ!

 

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