偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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結婚を人生の墓場だと決めた人は誰か①

 

 

 

「と、いうわけで、はいこれ。激辛マヨネーズ煎餅(せんべい)だって。通販の期間限定らしいよ?」

「なにがいきなり『というわけで』だ! 山崎はどーした! 山崎は!」

「だから、赤いパルフェ吐血事件に巻き込まれたんだって! パルフェがね、真っ赤に染まってね、それを食べたらぷぎゃーって」

「いいから! そんなくだんねー事件の話はしなくていいから!」

 

 そう怒りながらも、土方はその激辛マヨネーズ煎餅をバリっと食べた。

 

「くっそ、(かれ)ぇーな」

 

 日が、海に沈みかけていた。

 

 茜色の海は宝石を散りばめたようにキラキラと輝き、その美しさをこれでもかと訴えていた。そんな贅沢に輝いて、いったい何を伝えたいのか、その意図はわたしにはわからない。

 

 しかし、その茜に染まりながらも、わたしの視界をたまに遮る黒々としたアフロは揺るがない。

 

「てか、なんでアフロ?」

 

 ――総悟くんと同じこと言ってやんの。

 

 同じ発言だと伝えて、土方は怒るだろうか。

 

 きっと、その答えはノーだ。それで怒るには、沖田一方。

 

 ――そういや、総悟くんは土方さんのこと嫌ってても、土方さんはそうでもないよね。

 

 今まで気づいてはいても、気にしてなかったことに、わたしはくすりと笑いながら、

 

「アフロだからこそできることも、きっとあると思うのよ」

 

 やっぱり、わたしは適当に答える。

 

 土方は呆れたようにため息を吐いて、また「辛い」と文句を言いながら、煎餅をかじった。

 

「そのお煎餅、ミツバさんからなんだけどさ」

「あぁ」

「土方さんも、ミツバさんと顔見知りなんだよね?」

「……あぁ」

「ちゃんと、挨拶とかした?」

 

 わたしの質問に、土方は舌打ちした。

 

「……てめぇには関係ねぇーだろうが」

「関係ないけど、親友のトッシーが恋で悩んでるのなら、相談に乗りたいのが心情ってものでしょう?」

 

 さも当然とばかりに答えると、土方は口から煎餅を噴き出した。

 

「い……いつの間に親友になった?」

「え? こないだ一緒にチャイナムーン観ながら、言ってたじゃない?」

 

 土方はなんだかんだ、トッシーとうまく共存しているようだった。とある曜日と時間になるとオタクのトッシーが出てきて、それ以外は土方がいつも通り表へ出てきているようである。トッシーがたまに通販で人形などグッズを買ってしまい、貯金がうまくできないと頭を抱えてたりするが、

 

「まぁ、あれだ……あいつに付き合ってやるのも、ほどほどにしてくれ。これ以上でしゃばってこられたら、堪らん」

 

 この程度らしい。

 

 優しいのだ、この男は。

 

 自分の身体を他人と共存することになっても、『堪らん』で済ませてしまうほど、優しい男なのだ。

 

 お土産の激辛煎餅も、辛いと文句を言いながら食べるほど、優しい男なのだ。

 

 それなのに、数年ぶりにあった旧友への、挨拶を拒む。

 

 その理由は、好きか、嫌いか。

 

 ――まぁ、この二択も、確実に絞れるけどね。

 

 わたしは不機嫌そうに煎餅をむさほる土方が愛らしく、頬がほころんだ。

 

 彼の顔が赤いのは、夕日のせいだろうか。

 

 わたしは歌う。

 

「ごめんねー素直じゃなくって。夢のなーかなーら言えっる」

「おい、やめろ」

「思考回路は、ショート寸前。今すぐー会いたいぜー」

「やーめーろー! なんだその下手くそな歌は!」

 

 怒ってくる土方に、わたしは少し舌を出した。

 

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