生意気にも、このすば二作目に手を出してしまいました。
出来る限り定期更新にしたいと思っています。
プロローグ
3日前、俺の唯一の友人だった人が死んだ。
とても重い足取りで葬式の会場に向かう。
もう一度……もう一度会いたい。
そんなことを考えながら道を歩いていると、不意に地面が揺れた。
(っ、地震!?)
横のブロック塀が崩れてくるのがみえた次の瞬間、世界が暗転した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「榊原湊さん、ようこそ死後の世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、あなたの生は終わってしまったのです」
視界が開けたその瞬間、俺にかかった声があった。
唐突だ。あまりにも突然過ぎて、俺には理解もできないよ。
何? 俺、死んだの?
答えを求めて声の発生源を見ると、天使がいた。いや、変な意味ではなく。
羽が生えていて、わっかがのっている。おまけにオーラが凄い。
だからやっぱり天使なんだろう。
「俺は、死んだんですか」
「はい」
「で、どうすればいいんですか?」
「あ、え、あ、はい。……やけにあっさり信じて貰えるんですね」
なるほど。確かに死んですぐは心のダメージとか普通あるよな。
「いや、死んだのはショックですけど、あの世界にあまり未練とかないんで」
「そ、そうですか。それでは、簡単に説明させていただきます。一つ、生まれ変わって赤ん坊からやり直す。二つ、これから永遠に日向ぼっこして過ごす」
そこで天使は一息いれる。
「……三つ、あなたはゲームは好きですか?」
「?」
あのあと、天使に詳しく話を聞くと、どうやらこういうことらしかった。
ここではない世界、すなわち異世界に魔王がいる。
そして、魔王軍の侵攻のせいでその世界がピンチらしい。
その世界では、魔法があり、モンスターがいて。
まあベタなファンタジーな世界らしかった。
「えーと、魔王軍に殺されて死んだ人がもうその世界に転生してくれないから人口減少でピンチ。もうそれなら別の世界の人達を送り込んでしまおうって訳ですか。そしてあわよくば魔王をサクッと退治しろと」
「はい」
「滅茶苦茶だ」
「……はい。そして送るならば若くして死んだ、いわば生への未練がある人を送ろう、と女神様が……」
「その女神、優秀ですか?」
「いいえ全く」
「……」
要するに、駄女神の決めた適当移民政策の一環として、俺が使われるってことか。
「でも俺に魔王討伐とか、はっきり言って無理です。運動もできないし、生まれてこのかた武道に触れたこともないんですよ」
「それなら大丈夫です。こちらで強力な特殊能力を差し上げますので」
超テンプレだな。
「このカタログの中から、好きな特典を選んで下さい」
あまりにも素っ気ない、とも思うが、まあいい。
天使から受け取ったカタログをパラパラとめくる。
そのカタログには『怪力』『超魔力』『聖剣アロンダイト』『魔剣ムラマサ』等々、チート級であろう特典が、ところ狭しと並んでいた。
「あの……これはなんですか?」
俺が気になって指さしたのは、『動物大好き』、という項目。他の特典は厨二発症者がつけたようなネーミングなのに、なんだかこれだけ愛らしい。
「その特典はおすすめできません。うちの最高神様が遊び心で作った能力ですし……」
「神様の世界ってどうなってんの?」
仕事のできない駄女神に、意味分からんものを作る最高神。
「今のところその特典を選んでくれる人がいなくて、困ってるんです」
「なんなんですか? そのあなた、これ使って下さいよ、みたいな目は。そもそも今まで放っておいたなら、そのままそこにおいといたらいいじゃないですか」
何でおすすめしない特典を渡そうとするんだよ。
「お願いします! 邪魔なんですよ、それ。カタログの中にあるだけで重くなるんです!」
パソコンか!
「えぇ~。効果はどんなんですか」
「えーと、動物と喋れる、くらいしか聞いたことありませんね」
「却下」
「そんなっ……お願いです、ステータス補正も着けますから!」
必死だな。
「魔王を倒せなくてもいいならいいですよ」
これでどうだ。
もともとそっちの要求は魔王討伐だったはず。だからこの脅し文句は効果てきm
「いいんですか!? じゃあステータス補正のおまけ付きで異世界転生、楽しんでくださいね♪」
「え、あれ? 魔王討伐はいいんですか? あれ?」
嘘だろ? チート使って楽しようと思ってたのに!
言っている間に足下に魔方陣が展開される。
「ありがとうございます。私にとってその特典は魔王よりも邪魔だったんです。本当に容量が大きかったんですよ。ゴホン……それでは、あなたの異世界ライフに祝福を!!」
「やっぱなし! 頼む!! もう一回選び直させてくれええぇぇぇえー……」
敬語も忘れた俺の叫びは、魔方陣から立ち上るまばゆい光と共に異世界へと旅立った。
この時俺は、天使に駆け引きなんてするもんじゃないと学んだのだった。
いかがでしたか。
楽しんでいただければ幸いです。
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