この錬金術師に動物を!   作:薄翅蜉蝣

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どうも、七星天道です。

それでは、本編どうぞ。


第九話 この素晴らしいキャベツ共に収穫を!

「ひ、ひどい目にあったわ!」

 いつもの酒場に戻ってきた瞬間、終始気絶しっぱなしだったフィーネが、憤慨したように叫んだ。

「……お前、ひどい目って気絶しかしてなかっただろ」

「う、うるさい!」

 いいやつだったじゃんか、あのヤツメウナギ。

「まあ、あたしももう見たくないかな……」

「私もあれだけは生理的に受け付けません……」

「えー、また行きたいんだけど」

「「「一人で行って(ください)!」」」

 俺たちが、いつものようにほのぼのと会話を楽しんでいるその時だった。

『緊急クエスト! 緊急クエスト! 街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください! 繰り返します。街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください!』

 街中に大音量のアナウンスが流れた。

「どうしたんだよ、何かあったのか?」

「ああ、ミナトはこの街に来たばっかりだったね」

「キャベツだわ!」

「今年も、キャベツの収穫時期がやってきたんですよ、ミナトさん!」

 キャベツ? 緑の野菜? モンスターとかの襲撃じゃなくて? アブラナ目アブラナ科アブラナ属の結球する淡色野菜、キャベツ?

 ていうか、何で俺はキャベツにこんなに詳しいんだ?

「なあ、キャベツの収穫なんて農家の人に任せてたらいいんじゃないのか?」

 俺が言った瞬間、酒場の空気が凍った。

「ミナト、キミ、本気で言ってるのかい?」

「馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけど、今回ばかりは冗談よね、ミナト?」

「ミナトさん、私たちをからかってるんですか?」

 他のテーブルの人たちまで、ひそひそとこちらを見ながらしゃべりだした。

 あれ、なんか俺へんなこと言ったか?

「え、えっと……。俺はここから相当離れたところで生まれたからよく分からないんだ」

 どうだ……? この言い訳は通るか……?

「うーん、ミナトのふるさとじゃあキャベツは飛ばないのかい?」

 きゃべつが、とぶ? ふらいんぐきゃべつ?

「それじゃあ、ミナトの実家ではキャベツ狩りクエストは無いのね?」

 キャベツ狩りクエスト?

「そんなものよりも普通のクエストにいった方が稼げるんじゃないのか?」

「そ、そんなことないです。すごい人は、このクエストで一千万エリスも稼いだって聞きました」

 一千万!?

「まあ、それは過去最高の記録だけどね。普通の人でも、数十万エリスは簡単に稼げるよ」

「なるほど、やっぱりお金はあった方がいいしなぁ」

 請けてやろうじゃないか、そのクエスト。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

――アクセルの街・正門前

 もう結構な人数が集まってる。

 思ったよりも大規模なクエストなようだ。

「おお、ミナトか」

 振り返ると、見知った顔があった。

「ああ、和真も来てたのか」

 アクア達和真のパーティメンバーは、ここから少し離れたところで俺のパーティメンバーと話しこんでいた。

 どうやた、俺のパーティは、和真のパーティと馬が合うようだった。

「なあ、聞いたかこの世界のキャベツは……」

「ああ、飛ぶんだろ? 全く、論外だよな。和真の性格並みに」

「何言ってんだオイ」

「皆さん、突然のお呼びだしすみません! もうすでに気づいている方もいるとは思いますが、キャベツです! 今年もキャベツの収穫時期がやって参りました! 今年のキャベツは出来が良く、一玉の収穫につき一万エリスです! ではみなさん、できるだけ多くのキャベツを捕まえ、ここに収めてください! くれぐれもキャベツに逆襲されて怪我をしないようお願いいたします! なお、人数が人数、額が額なので、報酬の支払いは後日まとめてとなります!」

 なん…だと……?

 い、一万エリス!?

 何でキャベツがそんなに高いんだよ。

 刹那、周りの()達から、野太い雄叫びが巻き起こった。

「よっしゃ、取りまくるか、和真!」

「ああ、もうこうなりゃやけだ! どっちが多く取れるか勝負しようぜ、湊!」

 俺たちは、熱き漢達に感化され、地平線上に微かに映る緑の(もや)、もといキャベツの大群に向かい、走り出した……!

 

 結果から言うと、俺のパーティのはたらきは目覚ましかった。

 四人で一丸となって挑んだ、というのも大きいだろうが、何よりも収穫に貢献したのは日頃ほとんど役に立たないソフィとフィーネだろう。

「いやー、ソフィ、キミ、すごかったね」

 キャベツから血は出ない。そのおかげか、ソフィは自分の力をめいっぱい使うことができたのだろう。

「わ、私なんかは全然。フィーネさんの方がすごかったです」

 フィーネも、敵がモンスターじゃないから、絶叫も失神も怯えもせず、付与魔法を正しく使用することができていた。

「ふ、ふん。それほどでも、あるわね。うふふ。でも、クリスの方が、断然すごかったわ」

 もちろん、俺やクリスも努力した。

 クリスなんかは、敵を拘束する盗賊スキル『バインド』で、キャベツを一網打尽にしていたほどだった。

「いやあ、あたしよりもミナトだよ。キャベツの群れの中心に、丁度いいくらいまで威力を絞った魔法を撃ちこんで、大量に捕獲してたよ」

「いやいや、絶対にお前らの方がすごかったよ。ああ、こんなクエストが毎日あればいいのにな」

 この日のクエストは、本当に和気あいあいと終了した。

 ……まさか次の日にあんなことが起きるなんて、この時の俺たちには知る由もなかった。




いかがでしたか?

今回はいつもよりも短いです。
そして、誠に勝手ながら、明日と、場合によっては明後日も投稿できないかもしれません。
申し訳ありません。

3/5 すみません、次の投稿は月曜日になります。月曜日以降毎日投稿に戻すつもりですので、これからもこの作品をよろしくお願いします。

ご意見、感想、誤字脱字などお待ちしております。
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