この錬金術師に動物を!   作:薄翅蜉蝣

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どうも、七星天道です。

今回はオリジナル要素がほとんどなく、完全に原作どおりです。

それでは、本編どうぞ。


第十三話 カズマ計画の犠牲者アクア

――アクセルの街近隣・とある大きな湖

 街の水源の一つであるその水源が濁ってブルーアリゲーターというワニ型のモンスターが住みついたので、浄化してモンスターを追い払う、というのが今回のクエストの内容だった。

「……ねえ……。本当にやるの?」

 それは、先ほどとは一転して不安げなアクアの声。

 確かに、和真の作戦には和真(鬼畜)を感じた。

 アクアはなおも続ける。

「……私、今から売られていく、捕まった希少モンスターの気分なんですけど……」

 モンスター用のオリの中央で体育座りをしながら。

 オリに入れたアクアをそのまま湖に投入する、というのがカズマの考えた作戦だった。

 もちろん和真以外の全員が反対した。反対はしたのだが、『じゃあこれ以上に良い作戦を誰か考えろよ』、というお決まりのセリフで俺たちの反対は消えたのだった。

 アクアいわく、水の女神である自分には水に触れているだけで浄化効果がある、らしい。流石は一応女神だ。

 それを和真に教えたのが運の尽き。(まあ、アクアの幸運値は最低レベルらしいんだけど)

 モンスターに襲われず、勝つ馬に運ばせれば運搬も楽、というだけの理由で人間的にぎりぎりの、というか軽くアウトなこの作戦が横行したのだった。

 オリはなんとか俺、和真、ダクネスの三人で湖まで運んだ。

 あとは俺たちは待てばいいだけ、と和真はいい皆が待つ高台へと戻っていった。

 俺たちが戻る時アクアがポツリとつぶやいた。

「……私、ダシをとられてる紅茶のティーバッグの気分なんですけど……」

 

 

 和真計画の犠牲者改め、アクアを湖の際に設置して、二時間が経過。

 

 一向にモンスターがやってくる気配もない。

 俺は思う。はたして、ここに俺たちのパーティが同行する必要なんてあったのだろうか、と。

「ミナトさん。私が一番綺麗です!」

「ほら、あたしのほうが綺麗だよ!」

「見なさいよ! 私が綺麗に決まってるわ!」

「カズマ、どうですか! この私が一番きれいでしょう!」

「わ、私だってそのくらい綺麗だぞ、ほら!」

 俺のパーティメンバー+和真のパーティメンバーはアクアの近くで水切りを始めていた。

 危険なモンスターどころか、カエルすらもいない。

 魔王幹部の力はすごい、と改めて実感した。

「ねえ! ミナトもこっちに来なさいよ! ブルーアリゲーターなんていないわよ!」

 フラグ注意報発令中!

 俺の頭の中でそんなアナウンスが流れた……気がした。

 そんなこと言ったら魔王幹部の力も……。

「そうですよ、今日のクエストは私たちにしては珍しくなにごともなく終わりそうですよ、カズマ!」

 フ、フラグ警報発令中!

「もうこのクエストはクリアしたも同然ですね、ミナトさん!」

 フ、フラグ特別警報により、避難勧告が発令されました!!

 俺と和真は後ずさりする。

 途端、湖に小波が沸き起こった。

 大きさだけで言うならば、地球のワニとほとんど変わらないだろう。

 しかし、そこはさすが異世界。ここにすむワニたちは地球の物とはかけ離れた生態を持っていた。

「きゃあああああ! ミ、ミナト!!」

「カ、カズマー! なんか来た! ねえ、なんかいっぱい来たわ!」

 この世界のワニは、群れで行動するらしい。

 ……そして想像通り、俺の背中には住人が戻ってきた。

 ワニたちはアクアの事を口汚く罵りながら、オリをかじっていた。

 俺も学習した。今回はワニとの会話を控えよう。

「メ、メキッていった! 今、オリからなっちゃいけない音がしたあああ!」

 悪い、アクア。でもきっと俺じゃ役に立てないよ。

 

 そしてそこから更に五時間が経過。

 

 湖の際には、ぼろぼろになったオリが一つ、ぽつんと取り残されていた。

 ワニにかじられていた部分には、痛々しいほどの歯型が残されていた。

 ワニがいなくなったところを見ると、浄化は完了したのだろうか?

「……おいアクア、無事か? ブルーアリゲーター達は、もう全部、どこかに行ったぞ」

 和真が珍しく他人を気遣っている。

 レアだ。それも相手がアクアとなると尚更。

「ほら、和真も心配してるし、でたら?」

「お、俺は心配してるんじゃねーし」

 ツンデレめ。

「……ぐす……ひっく……えっく……」

 だめだ。復活の気配が全くない。

「ま、まあ、ほら、浄化が終わったのなら帰るぞ。皆と話し合ったんだが、俺たちは今回、報酬はいらないから。報酬の三十万、お前が全部持っていけ」

「……このことを提案したのも和真だったりする」

「う、うるせーっ」

 報酬の事を聞き、体育座りで膝に顔を埋めたアクアの肩がぴくりと動く。気が滅入ろうがどうなろうが欲張りは変わらないんだな。

 しかし、それでもオリから出る様子はない。

「……おい、いい加減オリから出ろよ。もうアリゲーターはいないから」

「そうだぞ、そろそろ出ないとほんとに和真の気が狂うぞ。心配すぎて」

「んなことねーし! お前、しつこいわ!」

 軽口をたたき合っていると、オリから小さな声が。

「……まま連れてって……」

 ん?

「なんだって?」

「ワンモアプリーズ」

「……オリの外の世界は怖いから、このまま街まで連れてって」

 どうやらこの一件は、アクアに重大なトラウマを植えつけたらしい。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「ドナドナドーナードーナー、女神をのーせーてー……」

「……お、おいアクア、もう街中なんだからその歌はやめてくれ」

「きいたか? 和真はもうアクアの心配じゃなくて保身用にアクアを慰めてるぜ。そういうのってないと思わないか」

「うわー、カズマ。最低ですね、人として。爆裂魔法撃っちゃっていいですか?」

「うむ、そういうことなら私がカズマの盾になろうじゃないか。ぼ、冒険者たちの和真に向けられたその怒りをその一身に受ける。そ、想像しただけで武者震いが……ハア、ハア……」

「聞こえてるからな!」

 もちろん聞こえてるのは知ってる。

「ミ、ミナトさんもカズマさんもやめてください!」

「そうよ。私たちまで変な目で見られるじゃない」

「まあ、とりあえずアクアさんを街まで運ぼうよ」

 なんでクリスはアクアにさん付けなんだよ。

 そんなこんなでガヤガヤ楽しく歩いていると、

「め、女神様っ!? 女神様じゃないですかっ!! 何をしているのですか、そんなところで!」

 茶髪のイケメンと遭遇した。……こいつに恨みは無いが、イケメンってだけでなんかむかつくな。




いかがでしたか?

投稿が遅れまして、誠に申し訳ありません。
少しオリジナル回を改稿してみました。
ここをこうしたらいい、などの具体的なご意見、なんか面白くない、などの抽象的なご意見、どんなんものでもお待ちしております。

ご意見、感想、誤字脱字などお待ちしております。

※本当にすみません。明日は投稿できない可能性が高いです。

3/11 すみません。明後日も投稿できません。
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