この錬金術師に動物を!   作:薄翅蜉蝣

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どうも、七星天道です

見苦しくも投稿が遅れた言い訳をさせて頂くと、私用→風邪→モデムの故障、という三工程がありました。
誠に申し訳ございません。

それでは、本編どうぞ



第十五話 このめんどくさい勇者に鉄槌を!

「ぐだぐだじゃない」

「う、うるさい!」

 フィーネに辛辣な返しをされ、ミツル……キ?が少しひるむ。

 それでも流石はまっとうな転生者。すぐに和真に目を向け、言い放った。

「僕はこの人たちをこんな境遇においてはおけない。君たちも、僕のパーティにおいで」

 こいつらは、この提案をどう思うのだろう。

 ミツ……カン?の方がまだ俺たちよりも金持ちだし、流石にあっちのパーティがいいな、とか思ったのか?

 不安になった和真と俺は、後ろの会話に聞き耳を立てる。

 

「ちょっと、ヤバいんですけど。あの人本気で、ひくぐらいヤバいんですけど。ていうか勝手に話進めるしナルシストも入ってる系で、怖いんですけど」

「それに、クリスさんの事を男だとか言っていましたよね。本当、最低です。内臓の中身ぶちまけてしまえばいいのに」

「どうしよう、あの男は生理的に受け付けない。攻めるより受けるのが好きな私だが、あいつだけは無性に殴りたい」

「撃っていいですか? あの苦労知らずの、スカしたエリート顔に、爆裂魔法を撃ってもいいですか?」

「激しく同意するわ! 私もあの男の顔面に、爆発を付与(エンチャント)した拳を叩きつけてやりたいくらいよ!」

 

 全然心配する必要がなかった。

 それに、クリスも男だと言われたことに相当腹を立てて、現在砂遊び中だからこっちも心配の余地なしだろう。

「……どうせあたしなんてぺったんこだよ、まな板だよ……どうせ、どうせ……」

 もはや恐怖するレベルだ。

 帰ろう。この自己中は俺たちの手に負える相手じゃない。

「さあ、和真」

「おう、帰ろう」

「ねえねえ、本当に今回の報酬は私が貰っていいのよね?」

「もちろんです。今回の手柄は全部アクアのおかげですから」

「うむ、騎士として、あれは見習わねばな。……ハア、ハア、想像しただけで、もうっ!」

「そうですよ。ワニに攻撃されても踏ん張るアクアさん、かっこよかったです!」

「はあ、どうせあたしなんて……」

 そうして、和気あいあいとギルドへと向かって、

 

「待て!」

 そうやって制止の声を掛けたのは、予想通りミツ何とかだった。

「どいてくれます?」

「そろそろお父さんに頼んで指名手配かけてもらいますよ」

 ソフィ怖っ!

 国の右腕がかけた指名手配とか、死んでも嫌だ。てか捕まったら死ぬ。きっと死ぬ。

「わ、悪いが、僕に魔剣という力を与えてくれたアクア様を、こんな境遇の中に放ってはおけない。君たちにはこの世界は救えない。魔王を倒すのはこの僕だ。アクア様は、僕と一緒に来た方が絶対にいい。……君は、この世界に持ってこられるモノとして、アクア様を選んだということだよね?」

 心なしか声が震えていたのは俺の聞き間違いではあるまい。

「……そーだよ」

 この後の展開を予想し、身構える和真に、しかしクリスが押しとめる。

 その顔といったら、魔王すら尻尾を巻いて逃げだすような顔だった。

「なら、僕と勝負をしないか? アクア様を、持ってこられる『者』として指定したんだろう? 僕が勝ったらアクア様を譲ってくれ。君が勝ったら、何でも一つ、言うことを聞こうじゃないか」

「その勝負、カズマの代わりにあたしが乗ったあぁぁああ! もう容赦なんてしないからね!」

 和真の許可を得、潜伏スキルで背後に回っていたクリスが、右手を突き出しミツ何とかに殴りかかる。

「え? あ、ちょっ!?」

 腰に下げているダガーを使わないのは優しさか、自らの手で制裁を加えたいからなのか。はたまた、怒りでそこまで頭が回らないのか。

 いずれかは分からないが、ミツ何とかはそのおかげで命を拾ったようだった。

 なんというか、圧倒していた。

 まだ低レベルなクリスが、高レベル冒険者のミツ何とかを。

「あたしは、女! この、この! 『バインド』『スティール』『スティール』ッ!」

 

 少しして、そこに残ったのは、身ぐるみ剥がれ、虫の息となった何か。

 そして、やりきったような笑みを浮かべるクリスだった。

「ふう、すっきりした」

「でもさすがに女の子に男だっていうのはひどいわ! そう思うわよね、ソフィ」

「はい、男として、いえ、人として最低です。本当に刑務所送りにしてしまいたいくらいですよ」

 ソフィはどこまでもミツルギの事が嫌いなようだ。

「キョウヤ、流石に女の子の性別を間違えるのは失礼よ!」

「そうよ、流石にひどいわ!」

 俺のパーティメンバーどころか、自分の仲間にまでに冷たい目線を向けられたミ何とかが、こちらを救いを求めるような目で見てくる。

 そんな目されても知らん。

「自縄自縛だ」

「何、その四字熟語!? 僕、そんな四字熟語初めて聞いたよ……」

 何とかは、驚き、そして尊敬の眼差しでこっちを見てくる。想像以上に情緒にあふれてた。

 まあでも、そんなことを知ったところでどうこうしようという気は起きないけど。

 でもなんかあまりに可哀想というか、なんというか……。

 よし、チャンスくらいはあげるか。

「じゃあ、俺より四字熟語を知ってたらこいつらと仲直りさせる努力はしてやる」

「ほ、本当か!? でも、僕にそんな勝負を挑むのは間違いだったな。こう見えて、僕は国語だけは自信があったんだ」

「そうか、残念ながら俺も得意だ。毎回九十五点落としたことないんだからな」

「!?」

 国語どころか勉強だけは、あの要領のいい和真に負けたことがない。

 よし、異世界に来てから初めての古今東西。気合入るぜ。

「僕から行くよ。以心伝心」

「創意工夫」

「えーと、弱肉強食!」

「未来永劫」

「う、えー、じゃあ……」

「もったいぶらないでいいから早く言えよ。序盤でそんな振りいらないから」

「え、うー、……ま、負けました」

「寂滅為楽……っておい、ウソだろ? 今何て言った?」

 知らなすぎる。

 普通四字熟語って七、八百覚えてるもんじゃないのか?

 前にそう和真に言ったらお前が異常なんだよって言われた。解せぬ。

「さ、さっきは意味のわからない職業とか言ってごめん。いや、すみません! どうか、僕に勉強を教えてくれ! いや、ください!」

 え、誰コイツ。

 さっきまでの自己中はどこに行ったんだよ。

 っていうかコイツの名前、もう覚えてないんだけど。もう最初の一文字すら出てこない。

 それと、いきなり敬語とか使うなよ、気持ち悪い。

 まあ、いつも和真に教えてたし、勉強くらいなら見てやってもいいが。

 異世界まで来て勉強を教えるというのも変な話だけど。

「……ちなみに、高校で赤点取ったことある?」

 これは非常に重要な質問だ。

 異世界にまで来て勉強がしたいやつなんて、よほどの勉強好きか、日常的に生活するのすらままならないような馬鹿であるはず。

 もしも日常で困るレベルの馬鹿なら教え方がわからない。

 どうか勉強マニアであってくれ。

「いえ、それは無いです」

 ああ、よかった。これなら教えれ

「僕、中卒ですから」

 あんまりだ。

 




いかがでしたか?

風邪とネットの故障で久しぶりに見たら、お気に入りが百件を超えていました。感激です。

少しだけオリジナル展開を加えました。
そして、そろそろオリジナル回か幕話を加えたいと思っています。

それから、今日から三日は投稿できる可能性が非常に低いです。
投稿速度は遅くなっておりますが、どうぞこれからもこの作品をよろしくお願いいたします。

ご意見、感想、誤字脱字などお待ちしております。
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