それでは、本編どうぞ
「まあ、ミナトも初心者だし、最初はジャイアントトードの討伐くらいにしよう」
クリスが言うには、ジャイアントトードはカエル型のモンスターで、初心者もレベル上げに使うくらい倒しやすいらしい。
なんでも、金属を嫌い、ある程度の装備を付けていれば、まず攻撃されることは無いんだとか。
「でも俺、装備持ってないよ? こんな服で大丈夫なのか?」
なんといっても今の俺は喪服。防御力云々もそうだが、何より縁起が悪い。
「それなら、とりあえず装備屋から行こうか。お金は持ってる?」
「いや、冒険者登録だけで使いきったけど」
「じゃあ、お金はあたしが貸すよ。でも、ちゃんと返してよね」
「おぉ、サンキュークリス!」
盗賊なのに、気前よすぎだろ。
「じゃあ、装備をそろえに行こうか!」
「よっしゃー!」
ギルドの喧騒から少し離れた、クリスの行きつけだという装備屋に入店する。
どうでもいいけど……本当にどうでもいいけど、装備屋って葬儀屋に似てる気がする。字も発音も。
「おう、クリスの譲ちゃん! いらっしゃい! 今日はもう一人来てるな。そっちの兄ちゃんは?」
「おじゃまするよ、アルベールさん。こっちはあたしの友達だよ」
「初めまして、おじゃまします」
アルベールさんは、なんというか、豪快な人だった。
スキンヘッドに濃いひげ。荒くれですよ、と言われたら納得してしまいそうな風貌だ。……って失礼か。
「今日はどうしたんだ? そっちの兄ちゃんは見慣れない服装だが、もしかして冒険者志望で遠くから来た人だったりするのか?」
「あ、はい。つい先日こっちに越してきたんです」
「ほう、じゃあ初心者か。兄ちゃん、職業は?」
「錬金術師……って言って分かりますか?」
ギルド職員さんの話しぶりからして、そこまで知名度は高くなさそうなんだけど。
「ああ! あんたがあの期待のルーキーか!」
「へ?」
「いやな、今日冒険者登録した奴が、錬金術師とかいう聞いたことない職業で、更に見慣れない格好してるって聞いたもんでな。あんたの事じゃないかって思ったわけだ」
「ミナト、有名人じゃんか」
人の口に戸は立てられぬとはいうけども、いくらなんでも早すぎるだろ。異世界恐るべしだな。
「よし、今日は俺のお祝いだ。とっておきのを作るから、これからもごひいきにな」
「マジですか!? ありがとうございます!」
「せっかくだ、装備一式を俺が選んでやろうじゃないか。見かけによらず、俺は昔一線で戦ってた冒険者だぜ」
いえ、そのままでかなり凄腕の冒険者に見えます、という言葉をぐっと飲み込み、俺は軽くうなずき、感謝の意を示した。
アルベールさんはすぐに、店の奥に入って行ってしまった。
「じゃああたしが武器を選ぶよ。錬金術師はたぶん杖で大丈夫だよね」
「サンキュ、クリス。じゃあ俺は……何したらいいんだ?」
することないんだけど。
「まあいいからミナトは待っててよ」
そんなこと言われても。
「じゃあ俺、そこらをちょっと散歩してくる」
「分かった。気を付けてね」
――アクセルの街・中央広場
「へえ、結構いろいろあるんだなあ」
広場に着いてから最初に目に入るのは、ところ狭しと並んでいる露店。
鼻孔をくすぐる食べ物の匂い。
なんだかおなかがすいてきた。
でも手持ちの金はゼロ。今の俺に腹を満たすすべはない。
「なんか食べたいなぁ……うわっ」
「きゃっ」
露天に気を取られすぎて、誰かにぶつかってしまった。
「痛いじゃない、なにするの!?」
「エルフ……?」
いやいや、そんなわけないな。
「そうよ、私はエルフ。この長い耳を見たらわかるでしょ!」
「いやいやお譲ちゃん。嘘は駄目だと思うよ? エルフっていうのは、背がもっと高いと思う」
俺の首くらいまでしかないのに、エルフは無いな。
どっちかというならドワーフだろ。あれ? ドワーフはもっと低い?
「う、うるさいっ! 今から伸びるのよ!」
「ほらほら、その付け耳も取ってさ」
「付け耳じゃないもん! ちゃんと生えてるもん!」
あはは、そんな馬鹿な。
「痛い痛い痛いっ! 何でつねるのよ!」
「嘘、だろ? 作り物の耳じゃない……?」
エルフが長身じゃないなんて……。
俺がファンタジーに抱いていた夢がまた一つ潰えた……。
「もうっ! 私はフィーネ、ちゃんとしたエルフよ!」
「ふーん、そうか。気を付けて行くんだぞ。どこに行くのかは知らないけど」
「分かったわ! あなたもね……じゃなくて! 私が名乗ったんだから、あなたも名乗りなさいよね!」
えー、そんな法律無いでしょ。
いやまあ、名乗るくらいはいいんだけどさ。
「俺は湊。榊原湊っていうんだ。ただの人間で錬金術師だよ」
「あ、あなた、期待の新人とか呼ばれてる、あの!?」
「いや、そのくだりやったからもういいよ」
二回も繰り返す意味が……。
「意味分かんないわよ! あなたも、初心者なのね?」
「ああ、そうだけど?」
「い、いい話があるのよ。実は私も、冒険者になりたての駆けだしなの。よ、よければ、私とパーティ組まない? いや、どうしてもじゃないのよ! あくまで提案! 提案よ!」
パーティか。パーティ……パーティ?
「……パーティって、何?」
「ええっ? そんなことも知らないの? パーティっていうのは、一緒に冒険したり、協力したりするあれよ」
ああ、ゲームと同じか。
「別にいいけど」
「ほ、ホントに!? ……じゃなくてそ、そう。あなたがそう言うのなら仕方ないわね。パーティ、組んであげるわ!」
「いや、嫌ならいいよ、別に」
そのまま立ち去ろうとしたら、フィーネが、俺の腰辺りを掴んできた。
「ごめん、ごめんなさい。謝るから、私とパーティ組んでください、お願いします」
なるほど、この子、今までもこういうやり方で失敗してきたんだな。
「いいよ、パーティ組もう。まあ、俺も初心者だから、色々頼りないとこもあるかもだけど、よろしくな、フィーネ」
「う、うん。よろしく、ミナト」
冒険者開始一日目、最初の仲間ができました。
いかがでしたか?
オリキャラを一人出しました。
出せるかどうかは分かりませんが、あと数人、考えてはいます。
オリキャラがあまり好きではない方、すみません。
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