この錬金術師に動物を!   作:薄翅蜉蝣

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どうも、七星天道です

それでは、本編どうぞ


第五話 完璧なパーティ(?)

「はあ、あれだな。俺らってパーティのバランス悪いよな」

 和真とアクアと別れ、ギルドに戻った俺は、そう呟いた。

「どうしたのよ、いきなり」

「考えてみろよ、盗賊と支援魔法使いに錬金術師。どう考えても近接火力がないだろ!」

「あ、あたしってパーティメンバーだったんだ……」

 当たり前だろ。初心者二人でどうやって生きていくんだよ。

「よし、メンバーを募集しよう」

「そ、それは唐突だね」

「まあ、上級職である私がパーティにいるんだから、きっと誰か入ってくれるわよ!」

 その自信はどこから来るんだ? 仲間ができなかった理由もなんとなくわかったような……。

「よし、じゃあ近接ジョブ限定で募集掛けようぜ」

「うーん、近接ジョブだったらあたしの知り合いにいるんだけど、どうも他のパーティに目を付けてるみたいなんだよね」

 そうか、クリスの知り合いだったら話が早かったんだけどな。

「じゃあフィーネの知り合いに……ごめん、なんでもない」

「ねえ、なんで目をそらしたの!? いるわよ、知り合いくらい!」

 空想と現実を一緒にしちゃってるんだな。

 大丈夫、それでも俺はフィーネを見捨てはしないぞ。

「何よ!? その生温かい顔は!」

「フィーネの知り合いは近接型なの?」

 クリスは優しいな。

 フィーネの設定にとことん付き合ってあげるみたいだ。

「ミナト、今失礼なこと考えたでしょ! いいえ、近接じゃないわ。魔法の、それも爆裂魔法を使うちょっとファンキーな女の子よ」

「へえっ! 爆裂魔法を使う人って本当にいるんだね。あたし、見たことないから知らなかったよ」

 話についていけない。爆裂魔法ってなんなんだ?

「まあ、とりあえず募集の紙を書こうよ。善は急げっていうじゃん」

「そうだな」

「そうね」

 誰かが会話の輪に入れていなかったら話題を転換する。

 クリスは本当に気がきくということを改めて理解した。

 

「あっ」

「おっ」

 掲示板に紙を貼りに行くと、和真と遭遇した。

「どうしたんだよ。お前ら、三人もいたらメンバー足りてんじゃないのか?」

「近接が一人もいない」

「ああ、なるほど」

「お互い、いい仲間が来るといいな」

「おう」

 他愛のない会話をしながら、それとなく和真の募集メンバーを見る。

 ……おいおい。

「なあ和真。流石にこの募集は無理があるだろ」

 そこには、大きな字で黒々と上級職限定と書かれていた。

「それはうちの駄女神が以下略」

「……大変だな」

「ああ、本当に」

 和真と立ち話を楽しんだ後、俺は自分の席に戻った。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「あ、あ、あ、あの、近接ジョブの冒険者を募集しているのは、ここでよろしかったでしょうかっ?」

 テーブルでくつろいでいた俺たちに、思いっきりテンパった声が掛けられた。

 見ると、眼鏡を掛けた女の子が直立不動で立っているのだった。

「ああ、確かに募集してたのは俺たちだけど?」

「わ、私をパーティに加えてください!」

 きっちり四十五度に頭を下げる、目の前の子。

 年は俺と同じくらいだろうか。

 礼儀作法がたいへんよろしいだな。

「えっと、一応聞くけど、職業は?」

「一応ランスマスターをやっています!」

 クリスが小声で、ランスマスターはランサーの上級職だよ、と耳打ちしてくれた。

 なるほど、槍か。

「名前は?」

「ソ、ソフィです。ソフィ=ブランシュと申します!」

 ブランシュと聞いて、クリスが不思議そうに首をかしげるが、今は放っておこう。

「疑ってるわけじゃないけど、一応ステータスを見せてくれ」

 すごすごとソフィが提示した冒険者カードに記されていたのは、俺と比べ物にならないほどの筋力と敏捷、器用度だった。

「分かった。 ソフィ、お前は今日から俺たちのパーティのメンバーだ」

 当り前だろう。入ってくれそうな人。それも上級職をみすみす捨て置くつもりもない。

「え、あ、い、いいんですか!? ありがとうございます! これからよろしくお願いします!」

「敬語はいいって。俺は榊原湊。錬金術師っていう職業をやってる。ミナトって呼んでくれ」

「すみません、これは癖でして……。えと、先ほども言いましたが、私はソフィ=ブランシュと言います。どうぞ、ソフィと呼んでください」

「私はフィーネよ。エルフでハイエンチャンターをやってるわ」

「あたしはクリス。見ての通り盗賊だよ。これからよろしくね、ソフィ」

 ようやくパーティメンバーも揃い、結構な顔触れになってきた。

 ちなみに俺はレベルも上がり、スキルポイントも増えたので、スキル、上級魔法をとってみた。

 近接、遠距離、支援に偵察。

 どこからどう見ても完璧なパーティじゃんか。

 と、俺はこの時思っていた。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「じゃあ、実力の確認がてら、クエスト行っとくか。これなんてどうだ? 『ポイズンスコーピオン討伐』。これだったらクエスト難易度も高くないし、なんとかなるだろ」

 フィーネが身震いしたのがわかったが、そもそもモンスターが嫌いなこいつに合わせてたら、何も選べない。

「ソフィはこれで大丈夫かい?」

「は、はい。たぶん大丈夫……だと思います」

「よしじゃあ行くか!」

「おおー!」

 

――アクセルの街郊外・とある洞窟

 ここに大量にいるはずなんだけど……。

 もう一度クエスト依頼書に目を通す。

 ポイズンスコーピオン討伐 ポイズンスコーピオンを十匹討伐せよ。

「なあ、このクエストって本当にちゃんとしてんのか?」

「さあ、あたしには分かんないよ。今までそれっぽいのは一匹も見てないしね」

「あ、あの、あれってなんなんでしょうか?」

 ソフィが指さす先に見えたのは、無数の赤い点。

「……絶対いや、絶対いや、絶対いや」

 フィーネがすぐに俺の後ろにピタッとくっついた。

 洞窟前で待たせた方が良かったかな。俺、動けないんだけど。

「ミナト、来るよ!」

 結局やっぱりテンプレ通り、あの赤い点はサソリの目だった。

『キシャアアアアア(ハイッテクルナ)』

 サソリともしゃべれるみたいだ。

「キシャアア、キシャアアアアアア。キシャア(お前らがここにいると、人間が迷惑するんだ。出てけ!)」

『キシャアアア(ニンゲン、キライ。オマエラ、コロス)』

 モンスターとは意思疎通は出来ても、意味がないものなんだ。勉強になったよ。

 そして、後ろの目線が異常に冷たいのも気になる。

「ミナト、あなた、やっぱり馬鹿でしょ」

「だ、大丈夫です、ミナトさん。私、何にも見てませんから!」

「何がしたいんだい、キミは」

 そりゃこうもなるな。

 いきなりゲロゲロだのキシャアアだの叫びだされたら、その人の異常性を疑い、できれば近づきたくない人ランキングの上位に食い込むだろうな、俺の場合。

「ち、近づいてくるんだけど。ミ、ミナト、なんとかしなさいよ!」

「ソフィ、頼めるか?」

「は、はい、わかりました!」

 ソフィが槍を構え、サソリの群れに突っ込む。

 ソフィの技はまさに絶技だった。

 すさまじいスピードで一匹目に突きが繰り出される。

 そして二匹目にも……と思いきや、ソフィは急にへたり込んだ

「きゃああああ!」

 そして、猛スピードで俺の背中の住人二人目になった。

「……なあ、ソフィ。どうしたんだ?」

「じ、実は私、流血恐怖症なんです」

「……え? ああ、もういいや、『錬金』!」

 とりあえず今は何で冒険者なんかやってるの? とか、せめて魔法使い職にしたらよかったのに。とかは置いておこう。

 結局近接戦も俺がやることになりそうだった。




いかがでしたか?

この回は、近々手直しするかもしれません

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