この錬金術師に動物を!   作:薄翅蜉蝣

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どうも、七星天道です。

それでは、本編どうぞ


第八話 この仲間たちとダンジョンボスを!

 突然現れたその巨大ヤツメウナギは、俺たちを見るなり、口を大きく開けた。

「いいいいいやあああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 もちろんフィーネはその姿を見た瞬間、俺の後ろに隠れる、を通り越して失神してしまった。

 無理もない。地球にも存在するヤツメウナギの巨大バージョンだが、あれは本当に駄目だ。

 面白半分で画像を検索したことがあるが、軽い、いや、とても重大なトラウマを植えつけられたものだ。

「わ、私、これは本当に駄目、です」

 なんとか意識は保てたらしいソフィも、目を手で覆い、俺の背中にはりついた。

 分かる。その気持ちは本当にわかる。俺だって、隠れる場所があったら隠れたい。

「ミ、ミナト。あれ、キミにお願いできないかい……?」

 どうやら女性陣は全滅らしい。

 これはまずい。異常にまずい。あの怪物中の怪物と戦うにあたって、俺だけじゃ戦力もメンタリティも絶対に足りない。

 逃げようと後ろを見るが、入ってきた扉は消えていて、もはや八方ふさがりだった。

「絶望しかない」

 もう運命に身をゆだねようと思い、そう呟いた時だった。

『なにゆえ絶望しておるのじゃ?』

 声がした。それも、絶対に目を向けたくないようなものから、知性溢れる声がした。

 この怪物の声は、他のモンスターの声とは違い、クリスたちにも聞こえるようだった。

「しゃ、しゃべったね」

「え、ええ、しゃべりましたね」

 なんでだよ! と叫びたくなった俺の気持ちを、どうか理解してほしい。

 なぜ、カエルやサソリみたいな、まだ気持ち悪さレベルの低いあいつらじゃなくて、この化け物がしゃべれるのだろう。しかも、人間の言葉で。

 ダンジョンのボスともなれば、そのくらいの事は出来て当然、的なノリなんだろうか。

 そうだとしたら、この世界を作った神をぶん殴りたい。

『聞きたるや? といふか、なるでこなたを見みざるなる。我はそちに話したるなりよ』

「い、いえ。あはは」

 もうあの歯は隠してくれたのだろうか?

 と、淡い期待を胸に恐る恐る見上げるけれど、まだあった。例の物が、まだあった。

 あぶない、めまいがした。

『質問に答へよ。それとも食われたいのか?』

「い、いや、そんな歯で食べられたいわけないだろ!」

 あの歯で肉をえぐられるところを想像しただけで、鳥肌が直立不動だ。

「……う、うぅ。あれ? ここは?」

「おう、目が覚めたか?」

 どう攻めるか考えあぐねていると、どうやらフィーネが目を覚ましたようだった。

「あの化け物……夢だったのかしら」

「おいフィーネ! 今振り向いちゃだめだ!」

「え? い、い、いやあああ!」

 遅かった。本日二度目の気絶をしたフィーネ。

 今起きた意味がない。

「ねえねえミナト。このボスモンスター、なんとか説得できないかな? あたしは目を向けれないよ」

「すみません、ミナトさん。私もあれはだめなので、お願いします」

 まあ、まさか女子にあいつの相手は頼めないしなぁ。

 仕方ないか。

『そち。我の話が聞こえていたのか? 何に絶望したというのだ?』

「お前を倒さないとダンジョンはクリアできないだろ? 無理な気がして絶望しただけだよ」

『ほっほっほ。なるなり。さることを気にしておったのか。我を倒さずともこの迷宮を踏破する方法ならばあり』

「マジで! 教えて!」

『簡単なり。我の作りし試練に成功しせばよきのみなり』

 要するに、ゲームにクリアしたらいいってことだな。

「やってみる。いいよな、二人とも」

「もちろん。あの怪物と戦うこと以外だったら何でも手伝うよ」

「わ、私も手伝います」

 うん。いい返事だ。

『では初めに、この絡まりあいし二つの輪を外したまえ』

 どんな難題が提示されるかと身構えていたが、現れたのは、三つの鉄の塊。というか知恵の輪だった。

 地球で暇つぶしに知恵の輪を百以上クリアした俺だからわかる。

 この知恵の輪のレベルはかなりのものだ。

「よし、やってやる」

「あたし、こういうパズルゲームは苦手なんだけどな」

「頑張ります!」

 知恵の輪を始めて数十分。フィーネが起きて失神してを二十回ほど繰り返した時、ついにカチャッと鉄の輪同士が外れた。

「よっしゃ、できた!」

「私もできました!」

「……う、ぐぬぬ」

 どうやら盗賊さんはまだクリアできていないようだった。

「おい、代わろうか?」

「じゃ、じゃあ……」

『手伝うでないぞ』

 ヤツメウナギの鋭い声に俺たちはびくっと肩を震わせた。

『試練の意味がないならざるや』

 そこからクリスがクリアするまで、時間にして、もといフィーネにして五十フィーネくらいかかった。

「で、できたよ!」

 息も絶え絶えになりながら、クリスが知恵の輪の終了を宣言した。

『うむ、いとよろし。次の試練は、この紙に記されし線のうち、正しき線のみをたどりて、目的地まで進む、といふものなり』

 これは迷路だよな? 俺たちの前に現れたのは、一枚の大きな紙。俺の見知った迷路とは多少違うところはあるけど、それは世界の差、というものだろう。

「ていうか、レトロなゲームばっかだな」

 その迷路もとても難しく、三人で協力しても約百十フィーネ程かかった。

『ふむ。では次は……』

 ヤツメウナギの出すゲームを三十個くらいクリアしただろうか。

 その時、急にヤツメウナギが口を開いた。

『これが最後なり。最後の試練では、我とこの盤の上で駒を、打ち合ひ、取り合ひ、最後に一番奥の駒をとりし方が勝ち、といふ遊戯を行ふ』

 最後のゲームは将棋だった。

 もちろん駒の名前は違うが、ルールは将棋そのものだった。

 将棋は大得意だ。俺一人でもこいつに勝てる。

『では、始む』

 一言で言うなら、ウナギは弱かった。

 どれくらい弱かったかというと、将棋初心者でも勝てるくらいには弱かった。

 というか、駒の動かし方すら覚えていないらしく、対局中、ルールが書いてある巻物的なものを何度も読み返していた。

「はい、王手」

『負けき……』

 最後の試合も、無事に勝つことができた。

 なんでこいつは、自分が苦手なこのゲームで最後にしたのだろう。

「そちよ。ミナト、と言ひしや? なかなかに楽しかったゆえ、また来るがよい」

 いつの間にか、ヤツメウナギは人間の姿になっていた。いわゆる、擬人化というやつだろうか。擬人化したウナギは、日本の平安時代の姫のような姿だった。

 かなりの変化だったが、人間の言葉を話した時よりも驚きはなかった。

 どちらかというと、あの歯を見なくて良かったくらいだ。

「ああ、その姿でいてくれるなら、いつでもくる。ていうか、お前の知らないゲームもいくつか教えてやるよ」

「本当か!」

 いや、別に人間の姿が好きなタイプ、とかそういう意味ではない。あの歯さえ見せなければ、こいつはなかなか楽しいやつだと思った。

 それに、将棋で負けた時、とても悔しそうだった。

 あれは本当にゲームが好きじゃないとできない目だ。

 レトロゲーム好き仲間として、こいつとはこれからも仲良くしていきたい。

「じゃあな。またくるよ」

「あ、あたしは来るかわからない、かな?」

「わ、私もです」

「う、うぅ。もういない?」

 今回全く役に立たなかったフィーネが目を覚ました。

「うむ、そちは眠ってばかりおるな」

「いやああああ!」

 もはや声だけでもだめらしい。

 結局フィーネは街まで担いでいかなければならなかった。




いかがでしたか?

今回のぐだぐだ加減はいつもの比じゃない気がします。
いつかきっと手直しが入ると思います。……たぶん

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